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似た者同士

作者: 二階堂暦


あるところに、美人で頭も良く、誰からも好かれるまるでお伽話のお姫様のような女の子がいました。

皆に愛され笑顔で応える彼女は、本当はめんどくさがりで、他人に興味がありませんでした。



「だって、私に媚びるだけの人間なんていらないもの」



またあるところに、美形で頭も良く、誰からも好かれるまるで童話の王子様のような男の子がいました。

皆に頼られ笑顔で応える彼は、本当は自分が一番の俺様で自分にしか興味がありませんでした。



「俺が一番とか、決まりきってる事聞いてんじゃねぇよ」



そんな2人は偶然同じ学校に入り、お互いを見て思いました。



「「(あ、コイツ嫌いだわ)」」



同属嫌悪という言葉を見事に体現した彼らが、やがてめんどくさい恋をする事になるとは、誰も考えてなどいませんでした。



「――――鈴華、この前の実力テストの結果貼り出されてるって」



くるりと巻かれたブラウンの髪に、傷1つない陶器のような白い肌。

声をかけられた少女、猫宮鈴華ネコミヤスズカはふわりと花のように微笑んだ。



「私あまり自身がないの…

前日ほとんど勉強していなくて…」

「今誰もいないけど、本心は?」

「私がトップに決まってんでしょ。

高校の勉強なんて覚えるだけで大体の点数は取れるんだから」

「アンタ本当に猫被りよね…」



唯一鈴華の本性を知っている友人が呆れた。

彼女を天使だ女神だと崇めている連中にこの姿を見せたら、どんな地獄絵図になるだろう。



「おー、今回もあの2人がトップかー」

「あの2人についていける奴なんているのか?」

「成績も運動神経も良し、おまけに性格も良いんだから不公平だよなー」



「あの2人」

その言葉に気付かれない程度に反応する。

またか、またなのか。

今回は結構頑張ったのに。



「ああ、猫宮さん。

トップおめでとう。

流石猫宮さんだね」



前から歩いてくるのは癖のないさらりとした黒髪に、意志の強そうな瞳の少年。

名は、猫宮朔ネコミヤサク

偶然にも、鈴華と同じ苗字を持つ男子生徒だ。



「猫宮君も1位おめでとう。

本当凄いわ」

「そんな事ないよ。

たまたま勉強したところが出てきただけだから」

「私も猫宮君に負けないように頑張るわ」

「お互いを励みに頑張ろうね」



にこりと笑い合う。

掲示板前で別れ、周りに本性を知っている友人しかいない事を確認して、口を開いた。



「「あーウザい」」



「何なのあの男ホント鬱陶しい。

苗字が同じってだけで腹立つのに名前と一文字目が「さ」と「す」ってだけでアイツの後ろに毎回載らなきゃいけないなんて。

大体何がお互いを励みに、よ。

アンタとなんか絶対ごめんだわ」

「何なんだあの女ウゼェ。

俺の隣に名前並べやがって。

下民が俺の横に立つんじゃねぇよ。

本当凄いわ、だぁ?

何でテメーに言われなきゃいけねぇんだよ」



「「…その本心は?」」



「「…好き」」



「もう何あの顔ホント好き。

顔だけならパーフェクト」

「何だよアイツめっちゃ可愛い。

笑顔最高可愛すぎて死ぬ」



「「めんどくさっ」」



さて、素直じゃない2人の素直じゃない恋の行方は?




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