絶望の始まり
四年前の五月十八日にある大手薬品会社で大規模な爆発が起きた。原因は不明。死者は0人という奇跡が起きた。しかし、従業員総勢365人は目を覚ますことはなかった。全員が昏睡状態なのだ。原因はある薬品の効力。その効力は、肉体と精神を分ける・・・つまり幽体離脱をさせることができる薬だ。この薬については表には出てこなかったために、爆発して初めて世に顔を出した。その製作者である瀬沼嶺は四年たった今でも行方不明。なおも重要参考人として捜索中である。
そして、その365人の中に俺の親父がいる。当時は小学6年だった。事態が飲み込めず・・・いや、本当は分かっていたさ。けど現実を見たくはなかったんだ。だって死んだわけじゃない。眠ってるだけなんだ・・・だからあてのない希望にすがってたんだ。だけど、中学1年、2年、3年と年が上がるにつれ次第に現実を見るようになった。大人になったのかもね。高校一年になった今ではいつまでも目を開けることのない親父にかわり母さんを支えてる。ちゃんと親父のところには行ってるよ。今日の出来事と、今日も家族は元気に過ごしてるって報告をしにね。
「………ってことがあったんだ。親父、今日は遅いからまた明日来る。おやすみ」
俺は、明日の講義のために親父との一方的な会話をやめて家に帰った。
「ただいま、母さん」
「おかえりなさい、りょうちゃん」
あぁ、やっぱ家はいい。心が暖かくなる。
おっと、そういえば自己紹介がまだだったな。俺の名前は西川涼介だ。
俺はその後、ご飯を食べて風呂に入って寝たよ。さっき言った通り明日講義があるからな。なんの講義かって?人権に関するもんだとよ。
翌日、俺はチケットを片手に持ち、とある戦場カメラマンの荻野雄大氏の講義を聞くためとある会場の前で長蛇の列の中にいた。
「はぁ、暑いな」
太陽が容赦なく地面を照りつけ、地面から反射した熱気がまた暑さを倍増させてる気がする。それにこの人の多さも相まって暑く感じてるに違いない。そんなことを考えながら一歩、また一歩体育館の玄関ホールに近付いていってる。そんなこんなで時間が過ぎて、ようやくチケットを受付の若いお姉さんに渡して体育館の中に入れた。てか、なんでチケットなんだろ?俺はそんな疑問よりも今はクーラーが効いてるホールに向かうことを優先した。だって暑いんだよ。
ようやくホールに到着し、受付でチケットと交換してもらった紙に書いてある席につき、ただ時間が過ぎるのを待った。すると、
「あれ?西川?」
隣から聞きなれた声が聞こえた。横を見るとそこには、友人の斎藤翔が椅子に座るとこだった。
「なに?斎藤も来てたのか?」
「あぁ。にしても、まさか西川が来ていたとは。驚きだな」
「それはこっちのセリフだぞ。人権になんか興味ないくせに」
「それを言うなよ!!ちっとばかし人権について考えてたんだぞ!」
考えてないくせにと考えながら
「はいはい嘘おつ」
「うそじゃねぇよ!」
「はいはい」
適当にあしらっていると、ビーーーというブザーの音がホール全体に響きわたった。
「そろそろ始まるぞ」
「嘘じゃないのにぃ」
まだ言ってるのかよ、内心つっこんでステージへと目をやると
「!?」
そこに荻野雄大氏がうつ伏せに倒れていた。そこに、ある男がステージ横から出てきた。その男は、国際的に捜索されている瀬沼嶺、その人であった。
「なっ!?」
もちろん俺はびっくりした。なんでいるのだと・・・。
「レディースエンドジェントルメーン!みなさんようこそお越しいただきましたね!それでは、私の実験台にさせていただきますよー。え?荻野さんはどうしたのかって?」
そこまで言うと瀬沼は、口を大きく歪めてニンマリと笑いながら
「君たちもこうなるのだから・・・私からは言わないヨ。」
俺は何を言ってるのか分からなかった。それは隣の斎藤をはじめ、ここにいるみんなにも言えることだろう。
「それでは、あとはごゆっくりお楽しみくださいませ。私のかわいいかわいい実験台ちゃんたち」
そう言いうと瀬沼はガスマスクを装着して、
「デスゲームの始まりです!」
瞬間、目の前が真っ暗になった。
どうも、パソコンが戻ってきてウハウハな藍那珂コウです。
誰も望んでなさそうだけど、2作品目となる兇夢狂奏を出しました(おい)
けれども、楽しく読んでもらえたら幸いです。
この話は、某ライトノベルを参考にして、そこに某ゲームの要素をぶっ込む予定ですのでお楽しみに。ちなみに残酷な描写は次から出てきます。ご注意を
では、また次の機会に