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世界を救い、そして滅ぼした魔女ニティア  作者: 月白
第2章〜 ギルドと白い影
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46 片割れの閃光


訓練場


 大きな岩の正面に浮かび、術式を構築しているニティアと、少し離れたところでそれをぼーっと眺めているフィニス。

 閉じていた目をゆっくりと開き、岩目掛けて杖をかざすと……


キィーン……ヒュン!


 甲高い音が鳴った次の瞬間、細い一筋の黒い線が岩目掛けて放たれた。


パキン!


 ニティアが杖を下ろすと同時に消えた黒い線。岩を貫通し、そのまま射線上の地面に小さな穴が空いていた。


「ふぅ……」


 小さなため息をつき、地面へ降り立つニティア。

 それを見ていたフィニスが穴の空いた岩を見ながらゆっくりとニティアに近づいた。


「すごいな……岩が貫通してるじゃん……」

「まだ術式構築が微妙かも。魔力が消費もえげつないし。多分魔族達はもっと上手く構築しているはずだよ……」


 そう言いながら苦笑いをするニティア。


「実戦で使えない事はないだろ?」

「まぁ、まだ改良の余地はあるけどね」


 そう言い、穴の空いた岩をじっと見つめていたフィニスが、はっと目を大きく見開く。

 背中に収めている双剣に一度手を触れたあと……


「悪い、ちょっとルシオのところに行ってくるわ」


 手を軽くあげ、足早に訓練場から出ていくフィニス。突然の行動に驚いたニティアは。穴が開いてしまった地面にいそいそと杖を突き立て、地面の穴の修復をしたあと、足早にフィニスの後を追っていった。



「切れ味を上げる魔法か……」


 そう呟き、フィニスを見るルシオ。


「前回は結果的に良かったけどさ。紅炎龍だってろくに攻撃が通らなかっただろ?」

「まぁ鱗の薄いところには刃が多少は通ったけど、確かに硬い場所には全く通らなかったな」


その話を聞いていたアルテアが、書類の整理をしていた手を止めてゆっくりと口を開く。


「何をどう切るのかにもよるのかも知れないですよね。超高温で焼き切る。物体を腐食、または腐らせて切る。凍結させて砕き切る。ノコギリのように削り切る……など」

「なるほど……切るって言っても色々あるのか……」

「あとは剣に込める魔法によってインターバルも違うから、その辺も考えないとだしな。めっちゃ切れるけど一度使ったら何ヶ月も使えないとかだと連戦では使えないし」


 フィニスの隣で話を聞いていたニティア。気になったことをふと聞いてみる。


「そもそもそのインターバルって実際に使用する前に分かるものなの?決めた後に使えないってなったら大変じゃない?」


 ルシオがニティアへ顔を向ける。


「魔法ギルドに行けば教えてくれるぞ」

「それなら行ってみてそれっぽい魔法がどれくらいのインターバルになるのか調べてみてもいいかもな!」

「確かに、それから決めてもいいかもしれないわね」


 そのやりとりに、にやりと笑うルシオ。


「ただし、一回の調査料が、前回の荷物搬送の報酬でも足りないくらいの高額だけどな(笑)」

「は?」

「いやいや高すぎでしょ」

「さすがにそれは現実的ではないですよね……」


 そんな3人の反応をよそに、ルシオがテーブルに立てかけている盾を手にした。


「あともう一つは、これだ」

「ルシオの盾じゃん」

「それがどうしたの?」


 首を傾げる3人に、ルシオがドヤ顔で答える。


「あくまで俺の感覚だし、純粋な方法じゃないから正確ではないけどな。例えば焼き切る魔法にする場合、その焼き切るような炎の魔法を俺に放ち、それを俺が盾で吸収する。その時に持っていかれる魔力の量で、なんとなくだけど多分これくらいかな?って言うのが分かるんだ」

「おぉ……すげーじゃん!」

「でもルシオさんのその盾って……」

「そう。危害が加わるような攻撃魔法じゃないと吸収できないから、その辺も含めて正確ではないかんじなんだよな。強化魔法や回復魔法じゃ分からないし」

「大体でも分かるなら充分じゃない」


 小さく笑い、盾を片手に立ち上がるルシオ。


「それじゃ、いくつか試してみますか」

「おう!」

「仕方ないわね……」

「あ、私も少し見てみたいので行きます!」


 そう言いながら3人はルシオに続き、訓練場へ向かっていった。



ズガガガン!


 先程ニティアに穴を開けられた大きな岩が、いくつもの小さな塊となり崩れていった。


「ふぅ……」


 その正面には、片方の剣を振り抜いたままの体勢で岩を見つめて止まっているフィニス。


「「お〜」」


 ニティアとアルテアは驚きの声を上げていた。


「大体発動してから効果が切れるまで、持続時間が5秒くらいか?これなら1〜2時間に一回くらいのペースで使えると思うから、今日は様子見て正確な時間把握しておけよ」

「おう!」


 1本の剣を鞘にしまい、振り返るフィニス。ルシオもアルテア達の方に身体を向けると……


「そんじゃひと段落ついたし、アルテアちゃん!ご飯食べに行こうぜ♪」

「あ、すみません……私まだ書類の整理が終わっていなくて……」


 申し訳なさそうに頭を下げるアルテアの隣のニティアがニコニコしながら答える。


「あら、ルシオ悪いわね。ご馳走様」

「あざーす」


 それに乗っかるフィニス。

 アルテアもくすくすと笑い、終わったら合流するので先に行っててくださいと言い残し、書類整理のために室内へと戻っていった。

 大きなため息をついたルシオは、トボトボと寂しそうな背中を見せながら、フィニスとニティアを引き連れてギルドを後にしていった。

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