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世界を救い、そして滅ぼした魔女ニティア  作者: 月白
第2章〜 ギルドと白い影
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35 初めての女友達


「突然お誘いしてしまってすみません」


 小さな喫茶店に入ったアルテアとニティア。それぞれ飲み物を頼んだ後、困ったような笑顔でニティアに謝罪した。


「大丈夫だよ。それにしても……どうかしたの?」

「いや、急に時間ができてしまって……」

「ん?」


 運ばれてきた紅茶を飲みながら話始めるニティア。


「いつもは教会で雑務や、孤児院等へのお手伝い。貧しい方達への炊き出しなど……普段であればやることは沢山。そう言ったことがなくても、普段は教会でお祈りをするのですが……」

「うん?」

「あ、すみません……昨日の奇病を治療し、解決できたことを聖母様に……聖光十字教会の1番偉い方に報告をしたんです」


 紅茶を一口飲むアルテア。


「そしたら昨日の夜に、神官の方々が私の元へ急に来られまして、しばらくお休みしていい……教会での仕事やお祈りをしなくていいと言われてしまいまして……」

「ん?よかったじゃない、お休みもらえて」


 持っていたカップをテーブルに置くニティア。


「私……物心ついた時から教会にいたので……休みと言われても、何をしていいのかが分からなくて……」


 今朝の自分を思い返すニティア。その気持ちは分からなくもない。


「まぁ確かに……急に時間ができても何やればいいのか分からないわよね」

「ニティアさん達ならきっと、何か楽しいことをしているのかなって思って歩いていたら……丁度見かけてしまったので……つい……」


 少しだけ顔を赤くして俯いているアルテア。何だこの可愛い生き物は。ニティアは心からそう思った。


「別に私も暇だったから、全然気にしないでよ!」

「そう言ってもらえると助かります。あ……そう言えば……」


 何かを思い出したか。人差し指を上に向けながらアルテアが口を開いた。


「ニティアさんとフィニスさんは幼馴染って言ってしましたよね?」

「幼馴染というか……私たちは親がいなくて、2人とも小さい時から一緒にジャヌスさんに育ててもらってたんだよね」

「お2人は……何というかその……お付き合いされているとか……?」


 口に含んでいた紅茶が吹き出るニティア。見事にアルテアの顔にかかってしまった。


「ごごごごごめん!!」

「いえいえ!全然大丈夫ですよ!」


 持っていたハンカチで顔や服を拭うアルテア。


 カタカタ震える手で、カップを手に取るニティア。


(いや、私の聞き間違えよね。うん。純粋無垢なアルテアがそんなこと言うはずないもんね)


 そう思い、再び口に紅茶を含むニティア。


「それで……フィニスさんとはどこまでお済みなんでしょう……?」


 再び紅茶を吹き出すニティア。


「さっきっから何言ってるの!どうしたのアルテア!?」


 紅茶まみれのテーブルを拭きながらニティアがアルテアに視線を向ける。

 ハンカチで顔を拭きながら、ニティアに視線を合わせるアルテア。


「い、いえ……中々教会ではこう言う男女のお話ができないので……いわゆるがーるずとーくというやつでしょうか?」


 ハンカチをしまい、紅茶を手に取るアルテアの目がキラキラと輝いている。


「色々お聞かせください……お2人がどんな関係で……どこまで進んでいるのかを!」


 はぁはぁ荒い息をしながら身を乗り出すアルテア。


「いや……だから私はあいつとはそういうのじゃなくて……」


 乗り出した身がピタッと止まるアルテア。


「そうなんですか?」

「そ、そうだよ!ただ一緒に暮らしていた……兄弟みたいなものだし」

「それならば!私がフィニスさんと仲良くなってもよろしいですか?!」


ピクッ……


 その言葉に無意識に身体が反応するニティア。


「べ、別にいいんじゃない!なんだ、アルテアそうだったんだー。あなたも物好きだね!あんな人を好きになるなんて!」


 空になったカップを口につける。


「命懸けで私を助けてくれたんですよ?それに優しくて、とても素敵です!」


 そう言い、両手を合わせて身体をくねくねさせているアルテア。

 そんな表情を見て、視線を下げるニティア。


「ふ……ふ〜ん………」


 明らかに元気が無くなっていくニティア。そんなニティアを見て、ぷっと笑うアルテア。


「冗談ですよ(笑)」

「……え?」


 涙目の上目遣いでアルテアのことを見るニティア。何なんでしょうか……この可愛い生き物は……

 そう思いながら話を続ける。


「私がフィニスさんを好きっていうことが……ですよ。全然素直じゃないニティアさんを……少しだけからかってみました(笑)」

「なっ……!!」


 顔が真っ赤になるニティア。それを見てさらにくすくす笑うアルテア。


「見ていたらわかりますよ。どれだけ大切に思っているのか、大切に思われているのか」


 そう言い、紅茶の最後の一口を飲むアルテア。


「だからそういうんじゃ……!」

「ニティアさん。ガールズトークです。少しくらい素直にお話ししてもいいんですよ」


 優しく笑うアルテア。


「……好きとか……そう言うのは分からない……」

「……」

「でも、アルテアの言う通り。1番大切な人……だとおもう……」


ズキュン


 真っ赤になってモジモジしているニティアに、アルテアは胸を撃ち抜かれた。



 店の外に出た2人。


「アルテア!さっき話したことはみんなには内緒だからね!」


 職業柄なのか、それともアルテアだからなのか……話を引き出し、聞くのがとてもうまいアルテアに、ほぼ洗いざらい話してしまったニティア。頬を赤らめ、精一杯の強がりを言うニティアに、我慢の限界になったアルテアは、ついて無意識にニティアを抱きしめていた。


むぎゅう〜っ


「もちろんですよ♪初めて女の子同士で楽しくおしゃべりできました!またやりましょうね♪」

「わかった!わかったから離れて!」


 柔らかい何かが顔に押し付けられたニティア。気持ちいい反面、恨めしくもあるこの物体を、とりあえず無理やり引き剥がす。


「私も……初めて女の子の友達同士……みたいな話しができて……楽しかった。また機会があったらね……」

「はい♪」


 そう言ってニティアは手を振り歩いていく。その背中を笑顔で見送るアルテア。

 ニティアの姿が見えなくなった瞬間……ふぅ……と小さなため息をつき、少しだけ視線を落とし、ニティアとは反対側へと歩いていった。

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