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世界を救い、そして滅ぼした魔女ニティア  作者: 月白
序章〜 暖炉の火と紅茶の匂い
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12 消えた魔女


 カーテンから差し込む光が顔を撫でる。鳥の囀りと共に、自然と目を覚ましたフィニスは上半身をゆっくりと起こし、大きく背伸びをしようとしたら……


 すぐ横に、フィニスの着替えを持ったニティアが立っていた。


「お……おはよう」


 ニティアと目が合い、あいさつをするフィニス。


「おはよう。これ着替え」


 そう言い残し、着替えを置いてニティアが部屋から出て行った。


「なんだ……?」


 そう小さく呟き、渡された着替えに袖を通す。

 着替えが終わり、顔を洗いに行こうと部屋のドアを開けると……


チャプン


 水の入った桶を持ったニティアが部屋の前で立っていた。


「顔、これで洗って」

「お、おう……」


 言われるがまま顔を洗うと、そのまま桶を持ってニティアはいなくなった。


「………?」


 そのままリビングへと足を運ぶフィニス。紅茶とトースト。それから目玉焼きが、すでにテーブルの上に並んでいた。

 椅子に座るフィニス。ニティアも少し遅れてやってきた。


 「「「いただきます」」」


 フィニスが早速トーストを食べようと手を伸ばすと……


ヒョイっ


 ニティアにトーストを奪われた。


「お前なにっ……!」


 何してんだよ!

 そう言おうとニティアの方に身体を向けると……


 少し顔が赤くなっているニティアが、手に持ったトーストをフィニスに向けていた。


「あーん」

「………」


 固まるフィニス。


「早く!あーん!」


 フィニスの勢いに負けて食べてしまった。正面のジャヌスが顔を背けて震えていた。


 朝食を食べ終わり、一休みしたら話があるとジャヌスがみんなに言う。

 今のうちにトイレに行っておこうと立ち上がり、トイレのドアの前に立つフィニス。


 後ろを振り向くと……ニティアがフィニスのズボンを掴んでいた。


「ズボンおろそうか?」

「だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!いいかげんにしてくれ!!!」


 リビングから震えた声のジャヌスが声をかける


「ニティア……フィニスはもう大丈夫ですから……こっちで待っていなさい……」

「は〜い……」



「何よ…ちょっとだけ体動かすの大変だろうなって思ったから……そんなに怒らなくてもいいのに……」


 テーブルを囲む2人と、頬を膨らませ不貞腐れているニティア。フィニスはこれ以上機嫌を損ねさせないよう……なるべく優しく言う。


「俺はもう大丈夫だから、身体も動くし!」


 そう言いながら肩を回す。


ズキっ


「ほんと……?」

「大丈夫だって!だからもう気にするなよ」

「わかった……」


 くすりと一度笑ったジャヌス。しかし、次の瞬間……


「さて、先日のフィニスの件です」


 真面目な顔になり、2人と向き合った。


「村の外で変な声が聞こえると向かった先で……魔族に遭遇したと」

「……え?魔族!?」


 ニティアが大きな声を出して驚く。魔物ですら最近見なくなっていたのだから、この反応は当然と言えば当然だ。


「えぇ。しかし、不思議なことに……その魔族は、コアの一部が白く濁り、傷がついていた。そしてフィニスがコアを破壊すると、黒い炎を纏って消滅……」

「はぁ?あんた魔族と戦ってたの!?バカじゃないの?!」

「あれを無視してたら……みんなに被害が出るかも知れなかったから仕方がなかったんだよ」


 一瞬だけふっと笑ったジャヌス。しかし、すぐに表情を元に戻し、話を続けた。


「そして、その魔族は死ぬ間際……ノクスが生きていれば。白髪の……まぁおそらく魔女……と言っていたみたいです」

「ノクス……確か勇者一行……魔法使いの名前ですよね」

「そうですね。そして、黒い魔女の名前でもあります」


 ジャヌスの発言に目を大きく見開くニティア。


「え……って言うことは……?」


 話がトントン拍子に進んでいる。ニティアに全部話すことにしたジャヌスの意図を、フィニスは顔を見て察した。実際に彼には内容の半分も頭に入っていなかった。


「魔力が供給されれば、コアも修復されるはずです。そのコアが修復されずに傷ついており……」

「……その魔族が黒い炎で消えたと言うことは……もしかして?」

「……王都で見た文献によると、ここ10年くらい……黒い魔女の目撃情報はありません。そこから考えると……」


 考えるように眉間に皺が寄っているジャヌスとニティア。


「黒い魔女はもういない可能性もありますね」


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