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他の転生者と共にいざ、音楽の旅へ行きませう  作者: 皆麻 兎
共闘編

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36/45

二手に分かれて向かった先には

今回は、スルタン→マリアーノと視点が変わります。

変換地点では”※”を表示しているので、注意してご覧ください。

「はぁ…はぁ…はぁ…」


私―——スルタンが、ザック達の元へたどり着く少し前のこと。


私とゲルト対ロキサーヌ。そして、マリアーノとフレイプ対ラゴウの戦いは、何とか勇者一行側(わたしたち)が勝利した。しかし、徒党(パーティー)がどちらも半分ずつしかいなかった事。加えて、敵がかなりの実力者だった事もあって私達4人の身体が傷だらけ且つ全員の息が上がっていた。


「…ひとまず、全員の傷を治すわ」

「うむ、頼む」

「よろしくー…」


私が一言述べると前衛二人は答え、フレイプは黙ったまま首を縦に頷いた。

その後、私は一人ずつ治癒魔法で傷を癒していく。


 ゲルトは一見するとかすり傷だけど、結構奥深くまで斬り裂かれている…。腕や脚がもげなかったのは、彼が丈夫だから…?


私が治癒魔法を使っている間、その場にいる全員が黙ったままだった。戦いによる疲労もあってか、会話をする気力があまりないのだろう。

そうして順番ごとに傷を癒していく。フレイプに関しては後衛なのもあってほとんど傷はなかったものの、マリアーノは戦いで剣を折られたラゴウの素手による攻撃で心臓を一突きにされそうだったらしい。そのため、寸前のところで食い止めたという結果が傷として残っていたのである。


「…使って。まだこの先、貴方の治癒魔法が必要になるだろうから」

「あ…ありがとう」


全員の傷を癒し終えると、フレイプが私に魔力を回復させる回復薬(ポーション)の小瓶を手渡してくれた。


冒険者の基本として、傷や魔力を回復させる回復薬(ポーション)は常備しているが、今私が治癒魔法を4人分使用したからか。そしてフレイプの言う通り、この先まだ傷を負う可能性は非常に高い。ひとまず今回は、彼女の厚意に甘えることにした。


「さて、先へ進む前に諸々整理しておこうかの」


私が回復薬(ポーション)を半分近くまで飲んだ辺りで、マリアーノが話を切り出す。


「えぇ。一応、遮音の魔法をかけておくわね」


フレイプの一声で、私達の周囲に結界が張られたのを私は感じた。


 同じ魔法でも…エセルも割と発動までの詠唱時間が短い方だったけど、彼女(あのこ)は無詠唱でやってのけたわね…


私は、「伊達に勇者一行の魔法使いではない」とその場で考えていた。


「アイウィッグの話が本当ならば、件の魔法使いに魔封じ及び縛魂の術をかけている魔族(やろう)は、魔王の近くにはいないって事だよな?という事は…」

「二手に分かれる…かしら」

「…えぇ、ご名答」


ゲルトがイルジオの事を話に出すと、私は今何すべきか即答できたのである。

私の呟きを聞いたフレイプは、少し意地悪そうな笑みを一瞬浮かべた。


「魔力隠蔽はアイウィッグの得意魔法だけど、今彼女はバッシュと一緒。その代わり、敵の魔力探知は私の方が長けているので、私がイルジオを捜すわ。それと…」


フレイプは、話しながらマリアーノを一瞥する。


「前衛はゲルトの方が一番良いけれど…バッシュ達の方へもっと強い前衛(やつ)を回した方がいいと思うので、私と組むのはマリアーノ。貴方に頼むわ」

「…うむ!任されたぞい…!!」


そんなかんじで、私とゲルトがザック達の元へ合流。そして、フレイプとマリアーノはイルジオを捜し出して倒すという形で二手に分かれることになったのである。

因みに、フレイプからご指名を受けたマリアーノは、数回ほど瞬きをしてから答えていた。やはり、耳長族(スルタンのしゅぞく)と組むのは好まない故の反応だったのだろう。



「マリアーノ、イルジオの奴を見つけたらぼっこぼこにしてやって!」

「無論じゃ。終わったら合流するので、ザック達のことは頼んだぞい!」


熾烈な戦いを経て2体の魔族を倒したワシ——マリアーノと他3人は、二手に分かれて行動する事になった。

これは、別れ際にワシがスルタンと交わした会話である。


「私の収納魔法でアンタの古代楽器も預かっているけど…これ打楽器?」


ワシと二人で魔王城を探索していると、不意に黙ったままのフレイプが口を開く。


 ワシだけ“あんた”扱いかい!!まぁ、ワシも名前呼ぶ気ないから好都合ではあるな


二人きりになったからか、フレイプの口調は明らかにドワーフを嫌っているエルフのようになっていた。それを一瞬不快に感じたものの、元々お互いの相性が悪く仲が良くないのはわかりきっていたので、あまり深くは気にしない事にした。


「“打楽器”の意味はようわからんが、彰彦(あやつ)が言うには異界にあった“小太鼓(スネアドラム)”に似ておるそうじゃ」

「“スネアドラム”…。異界の発音って、本当に面白いのね」


歩きながら話していると、会話の中でフレイプがクスッと笑った。


 やっぱり、音魔法とやらを少し使えるからか?あの姉ちゃん、僕のいた日本に興味あるのかもしれないな…!

 …かもしれんな


すると、いつもは眠ったままの彰彦が反応し、ワシも同調の意を示した。


「あやつ…ワシの中にいるのは、“彰彦”っていう男の餓鬼なんじゃが…。お主は、彼らが生きてきた異界に興味があるのかの?」

「…そうね。ご存じの通り、私達エルフは1000年以上の永き時を生きる。そして、魔法使いである以上魔法や色んな事を探求していきたいしね。あぁ、私の中にも”異界からの来訪者“が来てくれないかしら」

「ワシとしても、彰彦がいて特に不自由しておらんが…。ワシらの世界に来るという事は、異界では一度“死”を経験しているという事じゃ。その発言、ワシ以外の者の前では口にせんでくれよ?」

「…そうね。“あんた自身”はこの世界の住人だけど、魔王に捕らわれているエセルやザック及びスルタンの肉体を今動かしているのは、”異界からの来訪者“自身の魂ですものね」


ワシはこの時、以前に訪れた法の神殿で転生前とやらの記憶を思い出していたエセルの事を考えながら、フレイプにくぎを刺していた。



「…む…?」


何気ない会話をしながら探索していたワシら2人だったが、城内の階段を少し上った先に出た際、ワシらの目の前に何かが出現していた。


そこには、黒い光で作られた鏡のように薄い楕円みたいな形をした”何か“があった。


「一見したところ…流石に、私達を吸い込む罠とかではなさそうね」


少し近づいたところで立ち止まり、フレイプがそれを分析する。

気が付くと、その鏡らしき物体(もの)は何か映像らしきものを映し出していた。


「これは…パウラ!?」


映し出されたのは、手荷物をいくつか持って森を歩くワシの亡き叔母———パウラだった。


「あんたの同胞…?」


面と向かってその映像を見るワシに対し、フレイプは少し後ろの方から覗き込んでいた。


パウラが歩いている場所は、ワシもよく知るドワーフの村付近にある森だ。おそらくこれは過去の映像であり、手荷物の種類を見る限り村の外へ出かけた後に村へ戻ってくるまでの道中を映し出しているのだろう。

「何故こんな物体(もの)が」と警戒するべきところだろうが、ワシはその映像が何を映し出しているのかが気になってしまい、見入っていた。


「…何だか、男のドワーフと話しているけど…冒険者かしら?」


残念ながらこの映像に音声はなく、見える映像と会話をしている唇の動きからフレイプは“同じ村のドワーフではない”と判断したのだろう。


「まさか…」


パウラと話していた男のドワーフは、明らかに村の人間ではない。

一見すると冒険者のドワーフが、地元住民に道などを尋ねるための会話に見えるだろう。しかし、この後見られる光景に嫌な予感がしたワシの心臓は強く脈打っていた。


「!!!」


嫌な予感はよくあたるというが、まさにその通りだった。


映像に出てきたドワーフの男は、パウラの隙をついて彼女を殴り気絶させる。その後、まるで手慣れているかのように着ていた洋服を全て脱がせた後————その姿はドワーフではなく、子供体型の魔族に戻りパウラの肉体をナイフでめった刺しにしていた。

そしてドワーフの村でラゴウと共にいた魔族と同じ顔だったことから、”パウラがどのようにして殺されたのか“を映す映像だったという事が後で判明するのであった。


「くそっ…!」

「マリアーノ…!!!」


そうして、”魔族が人族を食らう“というおぞましい場面(シーン)及び、その子供体型の魔族がパウラに化けた瞬間を映し出した辺りで、異変に気付いたフレイプがワシの名前を呼んでいた。


「…はじめまして。そして、さようなら」

「…!!!」


映像に気を取られていたワシは、すぐ隣に四天王の一人・眩惑のイルジオが立っている事に気づきそびれてしまう。

そして、その一瞬の隙だけでイルジオは次なる魔法を発動していた。


 おい…マリアーノ…!!?


頭の中で彰彦の声が響く中、魔法にかかったワシはその場に座り込んでしまったのである。


「マリアーノ…!!くっ…!!!」


後ろから、ワシの頭ごしにフレイプの声が聴こえる。

今のワシには視認できないが、おそらくフレイプとイルジオ。どちらも魔法使いのため、魔法による攻防が始まったのだろう。しかし、イルジオによる幻影魔法にかかったワシはそれを目にすることなく、深い幻影に囚われていくのであった。


いかがでしたか。

フレイプの優秀さは、スルタンとマリアーノの両方から同じこと思われてましたね(笑)

さて、今回はスネアドラムの話題が少しでましたね。

スネアドラムは”小太鼓”とも呼び、両面太鼓の一種です。因みに、大太鼓は別名”バスドラム”ですね。

思えば、皆麻が小学生の頃はこの太鼓呼びがほとんどでしたが、中学から吹奏楽部へ入部した際、この”スネアドラム”と”バスドラム”の呼び名を知りました。覚えるまでは、最初はどちらがどの太鼓かすぐには解らなかったかも(笑)

まぁ、皆麻と同じような考えの方はいるでしょう、おそらく。そんでもって、スネアドラムは持ち運びしやすい事もあって、フレイプの収納魔法でも管理が可能だったのでしょう。リズムを取るにも、バスドラムよりもスネアドラムの方がやりやすいですしね(皆麻の経験より)

さて。何気にマリアーノ、ピンチ!?

フレイプは同じ魔法使い故かは不明ですが、今のところ幻影魔法にはかかっていない様子。

さて、この二人はイルジオを倒すことができるのか…次回もお楽しみに★


ご意見・ご感想があれば、宜しくお願い致します。


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