準備
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
「アンジェ、動いたらいけませんよ」
「お嬢様、もう少しだけ我慢してくださいね」
「頑張れアンジェ!これも結婚式のためだ」
うう、重い、疲れた、動きたい。
同じ姿勢をずっと保つのがこれほど苦痛だとは。
私は今、お母様とフォード公爵家に来ている。
ここでラスティさんにウェディングドレスの調整をしてもらっているのだ。
さっきからずっと同じ姿勢で立っている。
「お嬢様、果実水をどうぞ」
マリアが果実水を飲ませてくれる。
立ったまま飲めるように吸飲みに入れてくれているのは流石だ。
それにしてもお母様方とラスティさん共同作品のこのウェディングドレスは想像以上の素晴らしさだ。
胸の上から首までと、肩から手の甲までは透ける素材のレースでできており、そのほかはシルクのような肌触りの素材だ。
全体に繊細な刺繍が入っているが、その刺繍が全てキラキラ光る糸でできている。
後ろはどれだけ長いかわからないトレーンが取り外しできるようになっている。
こちらももちろん繊細な刺繍入りだ。
どれだけの金額と労力がこのドレスにかかっているのか想像するだけでも怖い。
「アンジェ?少しだけ入ってもいいかい?」
そしてさっきからルークが度々部屋に入ろうと試みてくるが、あまりにしつこいので皆無視している。
「それはそうとハンスは大丈夫か?」
サラ様がお母様に聞いた。
ちなみにハンスと言うのはお父様である。
「結婚式が近づいてきたから、最近はしょっちゅう涙ぐんでいるわ」
お母様がため息をつきながら答えた。
そうなのだ、最近お父様の情緒が不安定すぎる。
最近は屋敷ではお父様の前で結婚式の話題は出さないように気をつけている。
結婚式の話を耳にした途端すぐに泣き出すからだ。
お姉様の結婚の時も不安定だったが、2人目だからかさらにひどい。
これはなんとかしないと結婚式で泣き崩れそうだ。
「お嬢様、お疲れ様でした。もう脱いで大丈夫ですよ」
ラスティさんの声がかかると、マリア達がウェディングドレスを脱がせてくれる。
ふう、解放感。
このドレスはとても素敵だが、着ているのはなかなかに大変だ。
ラスティさんの作業が終わり、マリアがラスティさん達を玄関まで送って行った。
私が普段のドレスに着替え終えると、サラ様が外のルークに声をかけた。
「ルーク、もう入ってもいいぞ」
「アンジェ!あ、やっぱりウェディングドレスもう脱いだのか」
「そうだよ。新郎は当日まで見ちゃダメなんだから」
「わかってるけど、見たくてたまらないんだ。当日だけなんてもったいないよ」
「なんと言われようと、もう脱いじゃったし」
悲しむルークの隣に座る。
「ウェディングドレスはルークのために着るんだから元気出して」
「アンジェがオレのために…」
「そうだよ」
「そうだね。オレと結婚するために着るんだもんな」
機嫌が直ったようで良かった。
「ハンスもこんなに簡単に元気が出るといいんだがな」
「そうねえ」
お母様とサラ様はお父様の心配をしているようだ。
私もお父様には元気で送り出して欲しい。
「アンジェ、侯爵様と1日ゆっくり過ごしたらどうかな?」
「ルーク、いいの?」
お父様と思い出作りをしたいが、いよいよ結婚式なので色々忙しいんじゃないかと思っていたのだ。
「ドレスが大丈夫ならオレは別にいいよ」
おお、ルークの心が広くなった気がする。
「それでは、決まりだな」
「良かったわ、ありがとうルーク」
サラ様とお母様の同意も得て、お父様と思い出作ります。
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
よければ評価ブックマークもお願いします。




