実施訓練が厳しすぎるんですが
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
「アンジェ!右からウェアウルフ5体!」
ウェアウルフならウォーターカッター。
ザシュッ!ザシュッ!
ウェアウルフの胴体が真っ二つに分かれる。
「左からゴブリン3体!」
シンさんの指示が飛ぶ。
ゴブリンならアイスバレット。
ドドン!
「前方にオーク2体!」
「火魔法を使え!」
ドンドン!
「考えてから撃ってたんじゃ間に合わなくなるぞ。反射的に打てるようにならなきゃ」
シンさん、私は何を目指しているのですか?
「もう無理ですシンさん!魔力がもたない!」
「心配いらんぞ。魔力回復薬ならたっぷり持ってきたぞ」
今日の師匠は鬼ですか?
シンさんが到着して、実地訓練に出発したのだが、そこから数時間…ずっとこんな感じだ。
シンさんが探知で魔物の位置を見つけ、私が魔法で倒している。
そしてお師匠様は回収係だ。
次から次へと探知した魔物のもとへ行くので、私は身も心もボロボロだ。
「そんな弱音を吐いてちゃS級冒険者になれねえぞ」
強くなりたいとは確かに言った。
それは間違いない。
しかしS級どころか冒険者にもなる気は全くないんだが。
「お師匠様、シンさんに今日のことなんて言ったんですか?」
お師匠様は明らかに目を逸らしている。
あなたの仕業か!
「シンさん、ちなみに今私がやっている訓練ってどんな人達がするのですか?」
一応聞いてみよう。
「どんな人って、オレが個人的にやってる訓練法だけど?」
え?
「まぁ、俺は剣がメインだけど」
「魔物を見つけて狩るのを魔力と体力の限界近くまでやって、ポーションと魔力回復薬飲んだらまた狩る」
ひええ。
「それを何日かずっと繰り返すんだよ」
ひええええ。
「それはシンさんだからできるんですよ。普通は無理です」
「普通はここまでもできないけどな」
お師匠様が後ろで呟いた。
「とにかく、私は強くはなりたいですが、S級冒険者どころか冒険者になる予定もありませんから」
「お前なら高ランクの冒険者になれると思うんだけどな。もったいない」
シンさんは残念そうに言った。
「それじゃ、この魔物を呼び寄せるアイテムはしまうかの」
お師匠様、そんなのつけてたのか。
どうりで次から次へと魔物に遭遇すると思ったよ。
「まぁ人生何があるかわからんから、冒険者になる時には声かけてくれ」
確かに、そんな日がぜったい来ないとも言い切れない。
「それじゃあ、休み休み行こうか」
午後の休憩に、2本目の魔法回復薬を飲んでからまた歩き出した。
やっとなんとかついていけるペースにしてくれたようだ。
「次は急所を狙って火魔法を撃ってみろ」
だいぶコントロールのコツが掴めてきた気がする。
「よし次は少し大きめの敵に行くが大丈夫か?」
「はい!」
慣れてきた今ならいけそう。
「前方にオーガ2体!」
オーガ!?オーガなんて大きめどころの騒ぎじゃない。
「オ、オーガなんて、私に倒せるのか…」
「どうした?やらなければやられるぞ。オレは左の方を相手するから、お前は右をやれ!」
そう言ってシンさんは剣を構えて左のオーガに向かっていった。
私も…やらなきゃ。
右のオーガが私の方に向かってくる。
オークなんて比じゃないくらい大きくて強そうだ。
足が自然にガクガクする。
「ファイヤーウォール!」
ゴウッと音がしてオーガが炎に包まれた。
あたった!
その時炎の中からゆっくりオーガが現れた。
ダメだ!効いてない。
「一発でダメなら、何発でも打ち込め!」
もう一体のオーガと戦いながら、シンさんが私に向かって叫んだ。
そうだ!諦めるのはまだ早い。
よく見ると、オーガの足取りもフラフラしているようだ。
「ファイヤーストーム!」
できた!ファイヤーストーム。
ゴーと音がして渦を巻いた火柱が空に上がっていくが、火力がイマイチで仕留めきれない。
「アンジェ!効いてるぞ。もう一発じゃ」
お師匠様も見守ってくれている。
もう一度だ。
「ファイヤーストーム!!」
ゴゴーッと音がしてすごい勢いの火柱が渦を巻いて行く。
火の渦は膨らんでシンさんの方まで大きくなった。
「危なっ!」
シンさんが慌てて離れると、火の勢いはシンさんの戦っていたオーガも巻き込んで空に昇っていった。
ゴーッという音が止むと、ドサッとオーガが2体空から落ちてきた。
「…オーバーキルな」
シンさんの声が聞こえたと思ったとたん、ほっとした私はその場にへたり込んだ。
「アンジェ、よくやった。及第点じゃ」
めちゃくちゃ疲れたけど、お師匠様に褒められるのはとても嬉しい。
「はい、ありがとうございます」
「オレもアンジェを中級冒険者と認めよう」
シンさん、だから冒険者にはなりませんから。
「さぁ、腹も減ったしそろそろ帰るか。今日はオレの行きつけの店に連れてってやるよ」
確かにお腹はぺこぺこだ。
「それは嬉しいな。アンジェ、せっかくだから連れて行ってもらおう」
そうして私はやっと実地訓練を終えたのだった。
読んでいただきましてありがとうございました。
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