今生も地味かもしれません
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします
「「アンジェ、誕生日おめでとう!!」」
私の2歳の誕生日、この日は珍しくお父様も早く帰宅されて、家族みんなで食卓を囲んでいる。
お父様はどうやら魔法局の局長という立場にあるようだ。
魔法局とは、この国の魔法に特化した機関で、そこに合格するためには高度な魔法技術はもちろん、とても難しい筆記試験もクリアしなけらばならない。
この国で魔法が得意な者ならば憧れの職場らしい。
もちろん国の直属機関ということでお給料も破格だ。
お父様も今日は私の誕生日ということで、仕事を頑張って終わらせて帰ってきてくれた。
「ありがとうございましゅ!」
にっこり微笑んでお礼をいう。
少し舌足らずなのはご愛嬌だ。
狙ったわけではないが家族には刺さったようで、父と兄は真っ赤になって胸を押さえている。
「アンジェは2歳なのにしっかりしてるわね」
あいからわず3人の子持ちとは思えないお母様。
にっこり笑った後ろにオーラが輝いてます。
こう見えても元女子大生、中身は成人女性である。
「アンジェも2歳になったのだからお茶会に参加できるのよね?」
10歳になったローズお姉様は最近お母様に似て、ゴージャス系美少女まっしぐらだ。
まつ毛長っ!!
爪楊枝どころかボールペンが乗りそうだ。
そんなお姉様は最近魔力量がメキメキ増えて、使える聖魔法が増えているらしい。
さすがお姉様です。
優しくて、美しくて、一生ついていきます。
私はと言えば、ゴージャス美形の家族の中では微妙に地味である。
髪は父親譲りのホワイトブロンドだが、お姉様やお母様のようなさらさらヘアではなく、ふわふわ広がっている。
瞳の色もブルーやグリーンではなく、青みがかったバイオレットだし、お母様達に比べてホリも深くない。
どう見てもゴージャス美少女ではない。
はっきり言ってこぢんまりしている。
幼児にしてはほっそりした体に、色白すぎる肌。
ブスではないと思いたいが、地味な感じが拭えない。
神様…そんなに上手くはいかないのですね……。
せめてお父様やお姉様のような、珍しい聖魔法でも使えればよかったのだが、私の使えるのは火と水。
2つ使えるのはありがたいが、2属性というのも特に珍しくはないらしい。
さらに便利ではあるけれど、ありふれた火と水。
使える魔法も地味である。
まぁ、贅沢を言ってもしょうがない。
まだまだ人生これから。
今あるものを最大限活用して生きていこうと思う。
ともかく今はお茶会の話である。
「まずは来週サラのところとお茶会をするつもりなの」
「サラ様のところにもアンジェと同じ年の男の子がいるんですよね」
お母様とお姉様の話しているサラ様とは、お母様の独身時代からのお友達で、うちの隣に領地を構えるフォード公爵家に嫁いでおり、今でも仲良く行き来している。
私にも何度か会いにきてくれたが、母とはまた違うキリッとした中性的な黒髪美女だ。
サラ様には2人の息子がいる。
お兄様と同じ年の長男ルークと、私の2ヶ月ほど前に生まれたロイだ。
私はまだ2人に会ったことはないが、お兄様はルーク様と仲が良い。
ルークとロイのお父様である公爵様は王立騎士団の団長をしている関係か、お兄様もルーク様のお宅に剣の練習に通っている。
「お茶会かぁ〜、めんどくさいなぁ」
お兄様はお茶が苦手なようだ。
5歳のやんちゃ盛りの幼児には退屈なのだろう。
しかし私は初めての貴族らしいイベントにドキドキだ。
「アンジェは何を着てもかわいいだろうなぁ。楽しみだ」
父も私同様ウキウキした様子。
父よ親の欲目ですね。
お母様とお姉様が私にどんなドレスを着せるか真剣に話し合っている。
「アンジェは妖精みたいにかわいいから、薄いグリーンにピンクの花の刺繍はどうかしら?!」
「それならお母様、アンジェは天使のように愛らしいから白地にゴールドの刺繍はどうかしら?!」
お母様…お姉様…あんまりハードルを上げるのはやめてください。
それにしても私は今世でもこんな仲の良い家族に囲まれて幸せだ。
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。