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世界に1つだけのショルダーバッグ

誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします

3人が街の方角へ去っていき、見えなくなった。


「それでは私たちも帰りましょうか?」


私はお師匠様を振り向いて言った。


「ところでアンジェ、何か忘れてないか?」


え?バッグの素材は取ったし、他に何かいるものがあったっけ?


「アップルパイだよ!アップルパイを食べずには帰れんぞ!」


そういえば、アップルパイを食べようとしていたんだった。


そう言って、師匠は魔法袋からブランケットを取り出し、アップルパイとティーセットを広げ出した。


ちなみにすぐそばにはオークの死体が転がったままだ。


「え?今この状況で食べるんですか?」


それも魔物の出る森の中だ。


「オークの死体があるところに、魔物はしばらく出ないだろ」


問題はそれだけではない気がするが…。


「もうわしは待たない。先に食べるぞ」


そう言ってお師匠様はアップルパイにかじりついた。


「ん〜!お前のとこの料理人のアップルパイはやっぱり最高だ!」


喜んでいただけて良かったです。


「よければ私の分もどうぞ」


私は自分のアップルパイの載ったお皿を、お師匠様に差し出した。


「いいのか?なんか悪いな」


そう言ってお師匠様は2個目のアップルパイにかぶりついた。


とてもじゃないですが、オークの横では食事をする気にならないです。


満足したお師匠様は広げた物を片付けやっと帰路に就くことができた。


もちろんオークも回収だ。


いつものようにお師匠様は冒険者ギルドで解体を頼んでくれるらしい。


バッグの素材ができるのが待ち遠しい。


家に帰って、入浴を済ませたあとマリアにお師匠様に作ってもらう魔法バッグの事を話した。


「素材は持ち込みでおしゃれなバッグを作ってくれるところを知らない?普通に出かける時に持てるようなショルダーバッグがいいんだけど」


夕食用に着替えをしながらマリアに聞いてみた。


「それならウィンライト家がいつもオーダーメイドする革製品の店に話をつけておきましょうか?」


それなら間違いなさそうだ。


「そこに、お願いできる?」


「かしこまりました。ちなみにどんな皮で作られるのですか?」


マリアは私の髪を梳かしながら聞いた。


「レッドサラマンダーよ。さっき取って冒険者ギルドに解体を頼んでくれているの」


髪を梳かす手が止まった。


「お嬢様、レッドサラマンダーの革製品はとても珍しくて高価です」


「そうなの?」


結構簡単に見つかったけど?


「もし大きな個体で、もう一つバッグが作れるなら、奥様の物も作られては喜ばれるのではないでしょうか?もちろん普通のバッグですが」


「たぶんできるんじゃないかな」


結構大きかったもんね。


「わかりました。先に話を通しておきますので、素材を入手次第作らせましょう」


さすがマリア。仕事がスムーズ。


それから10日後、私のショルダーバッグと、お母様のハンドバッグが完成した。


待って、このバッグ可愛すぎない。


上品なツヤがあり、肌触りはとてもなめらかだ。


そしてなんといっても軽い。


ショルダーベルトが調節可能になっているので、大きくなっても使える仕様だ。


「すごく素敵!」


マリアが直々に素材を持ち込んでデザインも交渉してくれたらしい。


さすがマリア!センス抜群だ。


お母様のバッグもかなり素敵に仕上がっている。


「ありがとうマリア。とても気に入ったわ」


お母様も絶対気に入るはず。


「喜んでいただけて良かったです」


マリアはいつものように微笑んだ。


お師匠様はバッグが仕上がったと聞いてすぐに我が家にやってきてくれた。


「お師匠様、お願いします!」


さっそくお師匠様に術を付与してもらう。


「よしよし、この鞄だな。準備は万端だぞ」


お師匠様は細かな術を空中に描き、それを縮めてそっとショルダーバッグに載せた。


「できたぞ。リクエスト通りに保存魔法もつけておいたぞ」


お師匠様の魔法袋は温かい飲み物をそのまま保存できるので、その機能もつけてもらえないか頼んでいたのだ。


これで料理もそのまま保存できる。


「ありがとうございます!さっそく、使ってみていいですか?」


「もちろんだ」


私はバッグを開けて、温かい紅茶の入ったティーカップを入れてみた。


開けたバッグに近づけるとフッとティーカップが消えた。


一度バッグから出した手をもう一度入れ、ティーカップを意識すると陶器の感触が手に当たった。


私は温かい紅茶の入ったティーカップをバッグから取り出した。


「最高です、お師匠様」


世界でひとつだけの私専用魔法バッグだ。


それも見た目の可愛さも抜群だ。


さすが侯爵家御用達。


お母様のバッグは普通のバッグだけど、マリア曰く珍しい皮を使ったバッグだから、お母様はきっと喜んでくれるはず。


今日はお母様も家にいたからさっそく渡しに行こう。


ウキウキして廊下を歩いていると、うなだれたお父様に遭遇した。


「お父様、どうかされました?」


お父様は涙の出そうな顔でこちらを向いた。


「あぁ、アンジェか。実は、お母様を怒らせてしまって。

明日のお出かけが仕事でダメになってしまって。怒って口を利いてくれないんだ」


明日のお出かけをお母様はかなり楽しみにしていた。


きっとショックは大きいだろう。


「お父様!ちょうどお母様に、この新しいバッグをプレゼントしようと思ってたんですが、お父様から渡してもらえませんか?」


「ん?このバッグどうしたんだい?」


「私と師匠で取った素材で私とお母様の分を作ったんです。我が家の御用達の皮小物の店でバッグにしてもらったので、お父様のお支払いにしときます。お父様からということで渡してください」


「いいのかい?アンジェが渡したかったんじゃないのかい?」


夫婦ケンカが収まるかもしれないなら、その方がいい。


「その代わり私のバッグ代もお父様持ちですよ」


「もちろんいいよ。ありがとう、アンジェ!助かったよ!」


お父様は何度もお礼を言ってお母様の所に戻って行った。


私としてもバッグ代を出してもらえてラッキーだ。


こうして私は一生物のショルダーバッグをタダで手に入れたのだった。


読んでいただきましてありがとうございました。

引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。

よければ評価ブックマークもよろしく願いします。

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