お店を作ろう
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします
次の授業の日、私はお師匠様にドラッグストア計画のことを話した。
「そんな面白そうなこと、なんでもっと早く教えてくれないんだ」
お師匠様はあやうく機嫌を損ねそうになったが、早めに報告したことで何とか機嫌を持ち直した。
このおじぃちゃんは拗ねるとやっかいなのだ。
「お店の設計と建築は希望を出してプロに任せるつもりですが、問題は商品の品揃えと安定した仕入れなのです」
どんな商品を置きたいか。
街の人々に日用品として買ってほしいからそんなに高いものは置けないが、従業員を養っていくには利益も大切だ。
まずは平民用に効果を薄めてコストを落としたシャンプーとリンス、石鹸。
洗濯用の石鹸もいいな、汚れのやや落ちやすいもの。
化粧水っぽい保湿液もどうだろう?売れるかな?
それとドラッグ部門として下級ポーションと、下級魔力回復薬。
手荒れの軟膏なんかもいいな。
とりあえずはこんなところにしようかと思うんですけど、どうでしょう?
「そうだな、素人で量産していこうとするなら、まずはそんなものかな」
お師匠様は何か考えているような顔をした。
「オレの知り合いに石鹸とシャンプーリンスを作らせてもいいか?」
「はい。もちろん構いませんが、どなたですか?」
お師匠様の紹介なら安心だ。
「俺の友人の孫が染め物の工房をやっているんだが、さいきん景気が悪くて、何か違うものを作れないかと言っていたんだ」
「それなら是非お願いしたいです。まずは試作品をお願いしたいです」
お師匠様の紹介でも品質は大切だ。
「ポーションはどこに頼むか心当たりはあるのかい?」
そうだ、ポーションは薬草を蒸留や精製しなくてはいけないので、ある程度の設備が必要だ。
さらに水魔法が使える人が必須だ。
「ポーションは商業ギルド支部長のゴランさんに紹介してもらえないか聞いてみます」
「それと手荒れの軟膏は孤児院で作ってもらうのはどうでしょう。あれなら材料も簡単だし子供達でも手伝えます」
それなら孤児院の収入にもなる。
「お師匠様、まずはそれぞれの見本品を作りましょう」
商品が良くなければ始まらない。
私とお師匠様は、家計にも優しいお値段以上の品を作るのだった。
上手く量産できるといいな。
ちなみに手荒れの軟膏は多めに作って、花の香油も入れてメイド達に配ったら大好評だった。
次の日、さっそくお師匠様と例の工房に来ていた。
「オズワルド様がこんなところにいらっしゃるなんて。どうされたのですか?」
この工房の主人で師匠の友人の孫はディビットさんといい、奥さんと2人の息子さん、従業員が4人でやっているそうだ。
師匠が石鹸、シャンプー、リンスの見本を見せながら説明すると、ディビットさんと2人の息子さん達は驚きつつも、試作を作ることを約束してくれた。
奥さんは商品を見て興奮した様子で
「これは人気が出ますよ!絶対にうちで作らせてください」
と言ってくれた。
あの奥さんがいれば大丈夫だろう。
その後、ポーションの方もゴランさんの紹介の工房で試作品を作ってもらえることになった。
こちらは一般的に出回っているものを少しアレンジして、効き目をよくしているだけなので、問題なく作れるだろう。
それにしてもお師匠様と一緒だと、子供といえども丁寧に対応してくれる。
お師匠様って何者なんだろう?
結局今回もはぐらかされてしまった。
最後は軟膏だ。
孤児院には後日マリアと2人でやってきた。
私は見本として軟膏を作ってみせることにした。
蜜蝋やはちみつ、数種類のハーブオイルなどを混ぜて、小瓶に移し入れる。
「このまま置いておいて、固まったら完成です。配合が変わると商品として出せなくなるから、配合を間違えないようにしてね」
どうだろう?これなら孤児院の収入も増えるし。
「アンジェ様、とても良い仕事をありがとうございます。これなら私たちでもできそうです」
院長先生も乗り気なようだ。
「決して無理はしないでくださいね。できる分だけで大丈夫なので」
子供達が張り切ってオーバーワークにならないように釘を刺す。
これで商品の目処は立ったかな。何か忘れてるような気もするが、困った時はその都度改善していけばいいだろう。
つぎはどんな店舗にするかだ。
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