ドラッグストアを始めよう①
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします
10歳になりました。
お姉様が18歳になる今年、王太子様とお姉様は正式にご成婚される。
つまりお姉様は、いよいよこの国の王太子妃となる。
ということはこの国が栄えていく事が、今後のお姉様の為になるということだ。
私のもしもの為の自立の資金作りも兼ねて、商売に乗り出す時ではないか?
しかし、私はもの作りは好きでも商売については全くの素人である。
ここは誰か商売に詳しい人の助言がほしいところだ。
私の知ってる商売人といえば、師匠といつも素材を買いに行く、市場の近くでお店を開いているリジーさんしかいない。
さっそくマリアと共にリジーさんを訪ねた。
「いらっしゃい、アンジェちゃん。今日はオズワルド様は一緒じゃないの?」
「はい、今日は個人的なお願いできました」
「個人的なお願い?」
リジーさんは魔石を磨いていた手を止めて私に向き合った。
「実はこの町で薬や化粧品を扱うお店を開きたいと思っているのですが、なにぶん商売のことはよくわからなくて」
まずは我が領地で実験店舗だ。
「えっ、店ってアンジェちゃんが?」
流石に侯爵令嬢が店番に立つわけにはいかない、そこはちゃんと考えがあるのだ。
「私はオーナーとして店を作って、実際には雇った者に店を任せるつもりです」
「そうねえ…私もアドバイスできるほどでもないから、この街の商業ギルドに相談してみたらどうかな?
紹介状は書くよ」
商業ギルド!そんなものがあったのか…。
冒険者ギルドがあるなら商業ギルドがあってもおかしくないじゃないか。
自分の領地のことなのに全くの無知だった。
「はい!ぜひお願いします」
私はリジーさんから紹介状をもらい、マリアとその足で教えてもらった商業ギルドに向かった。
「ここが商業ギルドか…思っていたより大きいな」
我が領地の商業はなかなか栄えているようだ。
2階建石造りの立派な建物にマリアと入り、受付へと向かう。
「すみません、リジーさんの紹介できました。この町でお店を開きたいのですが」
受付嬢はどの世界でも美しい。
10歳の子供の発言に驚きつつも、リジーさんの紹介状に目を通す。
読んでいるうちに表情がこわばってきたような…、リジーさん、なんて書いたの?
「と、とりあえず、応接室へどうぞ」
私は受付嬢の案内で、2階の応接室へ通された。
別の女性に運んでもらった紅茶をマリアと飲んでいると、バタバタという足音と共に慌てた様子の受付嬢と恰幅のいい中年の男性がやってきた。
「大変お待たせしました。ウィンライト様。商業ギルド、ウィンライト支部長のゴランと申します」
あっ、リジーさんに口止めするの忘れてた。
「初めまして。アンジェ=ウィンライトともうします」
ここは得意の第一印象アップだ。
「この度は、街へ出店したいとのお話でしたが、ウィンライト侯爵様かオズワルド様のお店でしょうか?」
リジーさん、師匠のことも書いたのか…。
「いいえ。私の個人的な店を出したいと思ってます。
家名も伏せて一般の方と同じように出店したいのです」
実験店舗なのにお父様の名前を出しては意味がない。市場調査も兼ねているのだ。
「はぁ、とりあえずお話を伺いましょう」
明らかに態度が変わったギルド支部長だったが、話は聞いてくれるようだ。
私は向かいに座ったゴランと受付嬢にどのような店を出したいか話し出した。
まずは実験店舗として大通りから少しだけ離れたところがいいこと。
実際の店は知り合いに任せて、自分はオーナーとして運営に参加すること。
ウィンライト家の名前は一切使わないこと。
薬や化粧品、雑貨など取り扱う予定であること、以上だ。
始めはめんどくさいのに関わってしまったと思い切り顔に出ていたゴランだったが、私がどんな商品を取り扱うかを説明し終わった時には前のめりになり、目も輝いていた。
「素晴らしいアイデアです、アンジェ様。貴族の間だけに流通しているシャンプーやリンスの話は有名ですよ。ぜひ我が街に出店をお願いします」
「ウィンライトの名前を隠してもきっと成功するでしょう。私も全力で協力させてもらいます」
最初とえらい違いだな、ゴランよ。
だが商業ギルドに協力してもらえるのはありがたい。
さっそく候補地を検討して、大通りから1本曲がった程よい大きさの土地を紹介してもらった。
今すぐゴラン自ら店舗候補地に案内してくれるようだ。
「こちらがご紹介の土地です」
店の前の道は思ったより広くキレイで、人通りもまずまずだ。
周りも衣服の店や飲食店、パン屋と競合店もなさそう。
「マリア、どう思う?」
マリアにも意見を求めよう。
「はい、お嬢様。ここでよろしいかと」
マリアもそう言ってくれるし、ここに決めよう!
お小遣いや魔石を売ったお金をコツコツ貯めてきて良かった。
店の建築もギルドが紹介してくれるらしい。
さあ、次は従業員だ。
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
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