魔物の素材を集めよう
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします
「もうすぐお姉様のお誕生日です。お姉様の15歳のお誕生日には特別なプレゼントを贈りたいんです」
お師匠様とワクワク実験室にて。
お姉様はこの国で数少ない聖魔法の使い手ということで、お父様のお仕事に度々呼ばれる。
最近は特に王城や魔法局に出向くことが増えた。
この世界は魔物という存在がいる。
魔物は瘴気によって生み出されることがわかっているが、魔物の一部には人間を瘴気によって傷つけるものがいる。
瘴気によってつけられた傷は普通の傷とは違い、今のところ聖属性の魔法でないと浄化できず、なかなか治らないとされている。
お姉様たちは主にそのような傷を負わされた人達の治療をおこなっているのだ。
ちなみにお父様はこの国で有数の魔法の使い手なので瘴気の元が見つかれば、浄化することもできる。
まぁ、街に魔物が現れることはほとんどなく、大体は冒険者が狩って素材や肉をギルドを通じて卸している。
瘴気のない魔物は、肉は食べることができるし、素材は武器や道具の元になったりもする。
ちなみに以前作ったシャンプーにもスライムの素材が入っている。
お師匠様がいうには、潤いを保つにはスライムの粘液は欠かせないらしい。
「今年のお姉様の誕生日には何か身に着けられる物を贈りたいと思うんです」
私はお師匠様と次に作るものを相談していた。
せっかくなので自分で作ったアクセサリーをお姉様に贈りたい。
それもいつも頑張っているお姉様を癒せるようなものがいいな。
「身に着けているとお姉様の体のご負担を減らせるような、そんな機能を付けたいです」
「そうだな、それでは付与魔法でアクセサリーを作るのはどうだろう」
お師匠様がナイスな提案をしてくれた。
最近練習している付与魔法をさっそく活用できる。
「今私ができるのは、身体強化と疲労回復です」
私はメインは水魔法と火魔法だが、師匠に教えてもらい色々な魔法を少しずつ習得している。
火魔法や水魔法の応用から使えるものが多いそうだ。
今まで属性しか知らなかったのだが世の中には色々なことが魔法でできるのだ。
「それでどんなアクセサリーにするんだ?私はアクセサリーのことはさっぱりわからないからな」
そういえば、お師匠様の私生活はあまり知らないな…。
ウチに来てない日にお仕事をしていることもあるらしいけど、何度聞いてもはぐらかされる。
結婚はしていなさそう。
「そうですねえ…ネックレスにしようかと思います」
「お姉様の瞳と同じ明るいブルーの魔石があればなぁ」
付与魔法は魔石に行うのが一般的だ。
難しい付与なら純度の高い物が良いらしい。
青い魔石に疲労回復を施すなら水系の魔物の魔石が良さそうだ。
「お師匠様、さっそく市場にちょうど良い魔石を見つけに行きましょう」
私は今日は市場に行くつもりで、マリアにお忍び用の平民風の洋服を用意してもらっていた。
兄やルークには時々街に連れて行ってもらっているが、お師匠様と街の市場に行くのは久しぶりだ。
過保護なウチの両親やルークも、お師匠様と出かけるのは許してくれる。
色んな意味で安全らしい、よく意味がわからないがお許しが出るのはありがたい。
お師匠様と市場で散々買い食いをしてから(お師匠様は甘党なのでスイーツにも喜んで付き合ってくれる)市場の大通りから路地を一本入ったお目当ての店に入った。
「いらっしゃいませ!あらオズワルド様にアンジェちゃん、お久しぶりね」
店主のリジーさんは今日も元気に声をかけてくれる。
この店は爽やかな店主に似合わず、古い。
さらに魔物の骨や皮やよくわからない色々な物が至る所に積み上げられており、一見すると恐ろしげな店内だ。
しかし私とお師匠様には宝の山だ。ここはとにかく品質がいい。
今日はたっぷりお小遣いも持ってきた。お姉様のためならお金は惜しまない。
「今日は何をお探しなの?」
「水系の魔石をお願いします!品質の高い大きめの物を!」
私は張り切って答えた。
「水系ね〜、ちょっと待っててね」
リジーさんが奥から青い魔石をいくつか出してきてくれた。
「うーん、思ったより高いですね…」
思っていた大きさだとお小遣いではとても足りない。
さらにお姉様の瞳の色より濃かったり、薄かったり、しっくりくるものがない。
「それにお姉様の瞳の色がないです…」
どうしようかと考えていると、お師匠様が意外な提案をした。
「それじゃあ、わしらで魔石を取りに行こう」
お師匠様とは、たまに魔法の実践として魔物を倒しに行ったことはあるが、本格的な狩りは初めてだ。
「はい!ぜひお願いします」
「今日はもう遅いから、次の授業の日に改めて行こう」
私は、お姉様にピッタリの魔石、見つかるといいな、とのん気に考えていた。
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。