地味な私も転生したみたいです
誤字脱字などお見苦しいところがあると思いますが、よろしくお願いします
それは駅の階段から始まった
いつも人目につかないように生きてきた……
自他共に認めるブス。
目は小さく、ガリガリで背だけが高い。
神様は不公平だと嘆いてもしょうがないとさとったのは小1の時だっただろうか。
せめて他人を不快にさせないように、目立たないように生きることが自分の最善だと思ってきた。
そんなかなりブスな私だが、優しい両親のおかげで地味ながらもそれなりに元気に過ごしてきたつもりだ。
一番の趣味は読書。
小説はどんなジャンルも幅広く読んだが、最近ハマっていたのは異世界ジャンル。
自分には縁のない冒険にはとてもワクワクして、読んでいると現実を忘れ自分が主人公になれる。
大学に入ってからも私は、目立たないよう、なるべく人様に不快な思いをさせないようにいようと誓った。
あの日も大学の講義を終えて、足早に駅近くの本屋に向かった。
待ちに待った大好きな小説家さんの新作だ。
早く帰って読もう。
いっそ帰りの電車で読もうか。
急ぎ地下鉄の階段に差し掛かった時、誰かが後ろからぶつかってバランスを崩した。
落ちる!!
小さい頃からの両親とのやりとり、入学式、文化祭、大学受験……。
ああコレが走馬灯か……お父さんお母さんごめんなさい。
それと買った本読みたかった……。
そんなどこかのんきなことを考えながらも、やっとこの人生を終わらせることができるかもしれないと少しホッとしたのを最後に意識を失った…。
「おぎゃあぁ!おぎゃあぁ!」
「奥様!生まれました!女の子ですよ」
ん?何?
眩しくて目が開けられない。
この泣き声は私…⁈
ガヤガヤ周りがうるさい。
私は助かってしまったのだろうか?
ここは病院?
「旦那様と同じ綺麗なプラチナブロンドでお顔もとても整っていらっしゃいます」
ん?プラチナブロンド?
誰の話?
「まぁ、ほんとに可愛い子ね」
なぜか目が見えないが優しそうな声が聞こえてくる。
ここがどこか聞こうとして、自分が思うように話せないことに気がついた。
体も上手く動かせない。
一体私どうしたの?
あれから半年……しっかり目も見えて体も動かせる…。
そろそろ現状を整理してみよう。
どうやら私は転生したらしい。
まさかそんな小説のようなことが本当にあるとは。
というのも第1に完全に赤ちゃんになっている。
寝返りを繰り返して、やっとなんとかお座りができるようになったところだ。
第2に、どうやらここは日本ではないらしい。
時代も中世ヨーロッパあたりだろうか。
部屋の中には凝った作りのシックな家具が置かれ、私の今いるベビーベッドも素敵な装飾がほどこされている。
窓の外には可愛らしいヨーロッパ風のレンガの街並みが広がっている。
それならタイムスリップという可能性もあると思うだろうが、なんとここは魔法が日常として使われてるらしい。
電気でもない灯りがともり、洗面器にはどこからともなく水が流れ出す。
どうやら魔道具たるものがあるらしい。
私も憧れの魔法が使えるのだろうか。
ワクワクが止まらない。
私が今まで会った人物は5人。
いつもいるのが私をお世話してくれるメイド。
名前をマリアと言うらしい。
まだ10代後半くらいだろうか。
茶色の髪にパッチリした茶色の目。
少しそばかすが見えるとてもハキハキした元気そうな少女だ。
次が母親のエルザ。
金髪、青い目のゴージャスな美女だ。
バストも文句なくゴージャスである。
前世の私のガリガリな、バストとは違い、出るところは出て、ウエストはキュッとしまっている。
女神か!と思わずツッコんでしまったほどだ。
父親はハンス。
村人Aのような名前ながら、プラチナブロンド、グリーンの目の爽やかイケメンである。
父親は忙しいらしく滅多に現れないが、両親はどうやらとても仲がいいらしい。
いいことだ。
両親に連れられて姉と兄もやってきた。
どちらもハニーブロンドの美幼児だ。
姉はどうやら8歳、兄は3歳らしいがどちらも母親似の完璧に整った天使フェイスをしている。
姉は母よりやや明るいブルーの目。
兄はターコイズブルーの目をしている。
今のところ会う人全員美男美女だ。
ここはこのような整った顔が一般的なのだろうか。
私も今回は美しく生まれているのだろうか?
それにしても今世の我が家は裕福なようだ。
まだこの部屋から出たことがないので詳しくはわからないが、家も立派なようだ。窓の外にはヨーロッパ風のバルコニーがあり、マリアが時々そこから外を見せてくれる。
早く部屋の外にも出たいものだ。
家族が着ている服も中世貴族風な洋装だ。
私も着心地が良いながらも可愛い服を着せられているし、メイドは可愛くて優しいし、至れり尽くせりだ。
ひとつ不服があるとすれば、兄である。
読んでいただきありがとうございました。