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2 strange 4 me  作者: 日下部素
11/11

11.山荘初日6

スキー板、ストック、スノボード、スキーのためのブーツなどが置かれていた。


久我山はそれを見るとすぐに玄関を開けようとした。


「?」


久我山が扉を開けようとしたが開かない様子だった。


「どうした?鍵がかかっているんじゃないか?」


「そうですね……おや?これを見てください」


金属製の引き戸の扉であったが曇りガラスでなんとなく向こう側が見て取れたその玄関の右手の取っ手の部分を指さした。


取っ手の上にはこちら側から開くためなのか、よく見る鈍色の鍵穴があった。


「なんだ?これは?」


私の考えですが、と言い

「防犯上の理由で開閉はスタッフの方が管理しているのではないでしょうか?」


「そんな物騒なことがあるのか?」


「例えばですが基本的にはスキーグッズは夏季では使用しません。冬の時期から何かしらの理由で開けっ放しにしてしまうと誰かが外から入ってきて、物を盗んでしまったり勝手に入られたりするのを防ぐためではないでしょうか。また逆もしかりお客さんがものを取っていってしまったりなども考えられます」


なるほどと俺は頷いた。真っ当なことを語ってはいたが俺は徐々に興味を失いつつあった。何がしたいんだ、久我山よ。


「あと、今気が付きましたがそこに物置部屋があるようですね」


久我山は指をさした方向を見るとそこには『倉庫』と書かれたプレートがかかった扉があった。


「玄関に気を取られて気が付かなかった」


今度は俺が近づきそれを開いた。


「……そうだな。普通の物置だ」


中はよく見えなかったが廊下側からの光で中の様子がなんとなくわかった。四畳半ほどの大きさだろうか。


所狭しと物が置いてあった。壁にも服がかかっているのがなんとなく見て取れた。


久我山が俺に覆いかぶさるように覗き込んだ。こちらの扉は人ひとりが通れるほどの幅しかなかったためだ。


「そうですね。段ボールとウインタースポーツ用のウェアの収納部屋でしょうか」


俺はしびれを切らした。


「久我山もういいだろう?戻ろう。奈々幸たちが帰ってきたら面倒だ」


そうですねと久我山が言ったのを聞き、俺らはもと来た道を戻った。


階段が見える位置まで来ると階段に明かりがついていなかった。


「あれ?暗いな」


近づいていくと勝手に階段の光が付いた。


「人勧センサーでもついているんですかね?」


俺らは特に気にせず、階段を上って行った。登りきると扉が閉まっており、それを開いた。



「いらっしゃいませ~」


正子氏のやや高めの声が玄関側から聞こえた。


咄嗟に俺は身を引いて階段側に隠れた。


「いつもありがとうございます。今年も山登り?」


「ええ。たまに登らないと体が鈍って仕方なくなりますので」


正子氏と話しているのはどうやら中年男性のようだった。


俺は強張った体を解きほぐし一階の廊下へと出た。


「お、こんにちは!」


「こ、こんにちは……」


彼はこちらに気が付いた。いきなりのあいさつで戸惑った。久々のコミュ力不足が否応なく発揮される。


「どうもこんにちは。しばらくお世話になります、オールラウンドサークルのリースです」


久我山が俺の後ろから出てきて作り笑顔全開で対応した。


「こちらの方は元山岳救助隊の猪瀬さん。いつもこの山荘を利用してもらってるの」


「改めまして猪瀬道久(いのせ みちひさ)です。しばらくの間よろしく」


清々しい挨拶を返した猪瀬は山のぼりのせいなのか、健康的な肌をしておりまさしく肉体的の体つきをしていた。少なからずとも身長は180㎝程度ありそうだった。背負ってきたリュックのほかにもスーツケースを持参していた。長めの宿泊なのだろう。


俺らは軽く会釈をして自室へと戻った。




「安全管理上、どこに何があるか確認しておきたかったので」

久我山は先ほどの各部屋の確認の意図を述べた。


それであれば俺を自室においてきてからでもできただろ。と心の中でつぶやいた。



しばらくすると奈々幸たちが戻ってきたらしかった。


時計の針は午後四時を指していた。


コンコン


202号室の部屋が叩かれる。


「どうぞ」


こちらからも声をかけた。


「大丈夫かい?」


扉の向こう側に立っていたのは西宮先輩と渡良瀬川先輩だった。


久我山が椅子に腰かけて、俺は布団に寝ころんでいた。


「すみませんご心配をかけて……」


身を起こし、立ち上がろうとした。


「いや、そのままでいいんだ」


「もう大丈夫なので自由に動けます」


「申し訳なかったね。こちらが配慮が足りなかった。新入生に無理をさせた」


西宮先輩が軽く頭を下げた。


俺は咄嗟に声をかけた。


「いや、自分の体調管理ができていなかったので俺のせいです。以後気を付けます」


いつもの笑顔に申し訳なさが混じっていた。


「今日は夕食を食べてゆっくりするといい。また明日、イベントなどをやろう。時間はまだたっぷりある」

じゃあといって二人は202号室を後にした。


何の気なしに久我山に目をやる。


「……ちょっと申し訳なかったですね」

久我山は眉をひそめながら苦笑した。


俺も久我山と同意見だった。


「今度はもう少し言い訳ややり方を考えよう」


奈々幸の能力にあてられたのは確かだが西宮先輩の責任感と優しさに俺らは温かな苦い思いを共有した。


よろしければブックマーク、☆の評価、感想をいただけますと幸いです。


作者の励みになります。


ここまでお読みいただきありがとうございます。


これからもよろしくお願い申し上げます!

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