白髪少女はあの丘でもう一度笑う。
それはいきなり始まった。白髪少女 莉世からの一通の手紙によって。
俺は村瀬 快斗。ごく普通の家庭に生まれ、普通の暮らしをしていた。しかし、その普通は2日前に無くなった。
遡ること2日前…。
ピピピピピピピピピ…と、朝1番に聞く音がいつものように流れる。今日も学校か…と、平日の朝は毎回思う。特に月曜日なんか、始まった…といくつの学生が思うことか。俺は使い古したパジャマを着ながら階段を下りて、そのまま洗面所へと向かった。顔を洗い、顔を上げると寝起きの顔が目の前の鏡に映った。これも日常だ。もう一度上へ上がり、制服に着替え再び下へと向かった。ドアを開けると、すでに朝ごはんが用意されていた。なんの躊躇もなく俺は椅子へと座った。母がおはようと声をかけると、俺はおはよ…と少しそっけなく答えた。なんてったって思春期だ。母親の朝の挨拶におはよう!と元気よく返事するやつは、ものすごく家族思いのやつか、マザコンしかいねぇだろ。そっけなくなるのも仕方ない。そんなことを考えていたら、朝ごはんを食べ終わった。吸い込まれるようにドアへと向かい、行ってきます。と、小さな声で家を出た。学校の授業もつまんないし、親とも上手く接せないし、どこへ行けばいいんだよ。などと考えていたら、隣の家の莉世と会った。長い綺麗な白髪の髪をなびかせ、大きな目に長いまつ毛、整った顔立ち。とても綺麗だ。彼女は俺と幼なじみで、幼稚園から高校までずっと一緒だ。莉世は大人しく基本無口。それは中学2年の時からだと思う。昔はすっごく元気だったのに、。幼なじみだが何も知らない。莉世はぺこりとお辞儀をし、逃げるように走っていった。学校に到着し、様々な声が聞こえてくる。下駄箱を開けると、一通の手紙が入っていた。それをカバンに入れ、人影のない場所へと行った。宛先は、間違えなく俺だ。その手紙は星莉という人からのものだった。この学校の人だろうか。初耳だ。まさか、ラブレターとか?いや、それは無いな。しかし、どこか俺は期待を胸に恐る恐る開けた。そこに書かれていた内容は、
拝啓 村瀬快斗様
貴方に、お願いがあるのです。私は星莉。莉世の体の中にいる者です。私は私の意思で莉世を操ることが出来ます。しかし、普段いるのは通常の莉世。莉世が無口なのも莉世の意思です。莉世はあることにより、感情が消えかけています。今はまだマシな状態です。「あること」というのは、お伝え出来ませんが、まだ間に合います。莉世の感情が完全に消えてしまう前に、どうか莉世をお救い下さい。私が何者かは存じ上げることは出来ませんが、私は貴方達の味方です。それだけは分かってください。最後に一つ、莉世の感情を戻す方法は、「彼女の望みを叶えろ、そうすれば彼女はあの丘でもう一度笑うだろう。」としか、書いていません。ごめんなさい。私にもよく分からないのです。突然なのに、こんな事お願いしてごめんなさい。しかし、貴方がいないと莉世の感情が無くなってしまいます…。 星莉
何だこの手紙の内容は。イマイチ分からん。でも、とりあいずヤバい状況みたいだな、。これからどうするか…。