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【四十八人目】 見つめてくる可愛い後輩に聞きたい。何故、見つめるのか?

ブクマや評価などありがとうございます。

執筆の励みになっております。

 彼女と出会ったのは部活だ。

 彼女はマネージャーとして俺の部活に入部してきた。


 最初は何も違和感はなかった。

 しかし俺が三年で部活をやめる時期が近くなると、彼女は変わった。


「マネージャー」

「あっ先輩。どうしたんですか?」

「暇だから遊びに来たよ」

「またですか? 先輩が来ると、みんなが部活をしなくなるので、そんなに毎日のように来るのは止めて下さいよ」

「だってあいつらと話すの楽しいからさ」

「みんなは先輩と違って忙しいんですよ?」

「じゃあ、マネージャーに会いに来たよ」

「じゃあってなんですか? 仕方なく言うのは止めて下さいよ」

「分かったよ。今日は帰ることにするよ」

「はい。そうして下さい」

「じゃあな」

「はい」


 彼女との会話の後にあれは起きる。

 そう、彼女が俺を見つめてくる。

 一、二、三。

 三秒経ったら、彼女は見つめることを止める。


 他の人と話をした後に彼女を見ても、彼女はその相手を見つめることはしない。

 俺だけなんだ。


 彼女は俺に何を言いたいのだろう?

 目で何かを訴えているんだと思うんだ。

 でもそれを俺は分からない。



「先輩」


 ある日、俺が屋上で昼休みを過ごしていた時、彼女が屋上に来て俺を呼んだ。


「マネージャー? どうしたの?」

「……」


 彼女は何も言わず、いつものように俺を見つめた。

 一、二、三。

 あれ?

 まだ俺を見つめている彼女。


 今日は長い?

 いつもは俺との話が終わった時に見つめるのに、今日は会っていきなり見つめてくる。


 いつもと違う。

 何かが変だ。


「どうしたの?」


 俺は彼女を見つめたまま言う。


「先輩」

「何?」

「先輩」

「泣くなよ」


 泣きそうな顔の彼女に、俺は泣いてほしくなくて優しく言う。


「先輩」

「ん?」


 彼女は泣くのを我慢しているか、目には涙が溜まっている。

 それでも彼女は、俺を見つめることを止めない。

 だから俺も彼女を見つめる。


「先輩。私が見つめているのは知っていますか?」

「うん。知ってるよ。気付かない奴なんていないと思うけどな? 今だぅて見つめているじゃん」

「私も知っています。そんな私の瞳を逸らさないで見つめてくれる、先輩の瞳を」

「だって見つめられたら眼は逸らせないでしょう?」

「そんなことはないですよ。私だったら、嫌な人は逸らしますからね」

「あっ、そうかもね。君は可愛いから見ていたいのかな?」

「それは冗談ですか?」

「違うよ。君は可愛いくて目が離せなくなるよ」


 俺がそう言うと彼女は、俺を見つめることを止め、俺に背中を見せて後ろを向いた。


「どうしたんだよ?」

「先輩はどうしてそんなことを言うんですか?」

「思ったから言ったんだよ?」

「先輩が分かりません。先輩は私を見る時、優しい眼をするんです。それは何故ですか?」


 彼女にそう聞かれると返事に困る。

 だって彼女は可愛いし、目を離せなくなる時があるけれど、それを恋だと思ってしまっていいのか分からない。


 ただ気になる存在。

 見ていて飽きない存在。

 そんな彼女を見る眼なんて、意識したことがない。


 今、彼女の顔が見えなくてすごく不安だ。


 彼女はどんな表情をしているのだろう?

 彼女は、もしかしたら泣いているのかもしれない?

 彼女に、いつものように見つめられたい。


 俺はもしかしたら、彼女の眼に依存しているのかもしれない。

 彼女に見つめられるのが当たり前になってしまって、彼女に見つめられたい衝動が生まれている。


 あれ?

 よく考えてみたら彼女の眼じゃなくて、彼女自身に依存しているのか?


 彼女の眼だけじゃない。

 彼女の笑顔や彼女の怒った顔、色んな彼女の表情が見たいんだ。


 だから毎日のように彼女に会いに、部活を見に行っていたんだ。

 なんだ。

 俺って彼女が好きなんだ。


 そう思ったら何故か迷いがなくなった。

 彼女が好き。

 それが彼女を優しい眼で見る俺の理由。


 そして俺は、彼女を背中から抱き締めた。

 彼女はビクッと驚いていたが嫌がらない。


「先輩」


 彼女は俺の方を向き、俺を見上げて見つめる。

 彼女の眼が、何を言っているのかは分かる。


「好きだ」


 俺は彼女を見つめて言った。


「私も先輩が大好きです」


 彼女はそう言って俺を見つめたまま笑った。

 こんな可愛い彼女の笑顔を、俺は忘れることはないと思う。


「君は見つめることが恥ずかしくなったりしないの?」

「それは私の瞳を見て判断してください」


 彼女はそう言って俺を微笑みながら見つめた。

 その眼と頬を赤くする彼女を見れば分かるよ。


 恥ずかしそうにしている彼女は、いつも勇気を振り絞っていたことを。

 今頃、気付くなんて俺ってバカだよな。


◇◇


 そう言えば。

 彼女の泣きそうになっていた理由を聞いた。

 それは、俺がもうすぐ卒業するって考えたら、悲しくなって俺に会いに来たんだって。


 そして俺の顔を見て、いつものように見つめていたら、俺への想いが溢れてきて、それが涙になったんだって彼女が教えてくれた。


 それを話している時の彼女も、また泣きそうだったから、俺は彼女の安心する言葉を言ってあげたんだ。


「俺はいつまでも、君の隣で君を見つめているから泣かないで」


 それを言って彼女が泣かない訳がなかったけどね。

 俺の隣で泣くのはいいんだ。

 だってそんな彼女も可愛いからね。


 涙目で俺を見上げてくる彼女は、俺をドキドキさせる。

 彼女の瞳に俺は、一生惑わされるんだと思う。

 それを嫌だと思わない俺は、彼女から離れることはない。


 だって彼女は俺の大切な人だから。

読んでいただき誠に、ありがとうございます。


次のお話は、付き合っている彼女からプロポーズをされた主人公が、馴染みの彼女にその話をすると、彼女は怒り、そして彼と話さなくなる物語。

幼馴染みはどうして話さなくなったのか?

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