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【四十六人目】 本物より写真がいいと言う幼馴染みの言葉の意味を知った俺

 ずっと俺の幼馴染みとして過ごしている彼女。

 俺にとってずっと好きな人。

 彼女は俺の気持ちなんて知らないんだ。


 だって、ほらっ。

 また俺の部屋で、好きなアイドルの写真を見せてくる。


「格好いいでしょう?」


 彼女の目はハートマークになっているようだ。

 彼女の目には俺なんて見えていない。

 今日もアイドルの写真しか見ていない。


「そんなに好きならコンサートとか行けばいいじゃん?」

「それは行かなくていいの」

「折角、本物を生で見られるのに?」

「いいの」


 彼女はニコニコしながら俺を見て言った。

 彼女の目には俺は映ってはいないのだろうな。


「明日は友達の家に泊まるから、俺の家に遊びに来ても俺はいないからな」

「えっ、そうなの? 残念ね。明日は学校が休みなのにな」

「どうせ俺の部屋に来ても、写真を見るんだろう?」

「それだけじゃないでしょう? あなたと話をしたり遊んだりするじゃない?」

「君は、いつも写真を見ている印象しかないんだけど?」


「そんなことはないわよ」


 彼女は頬を膨らませ怒って言っている。

 そんな彼女が可愛くて頭を撫でる。

 彼女は、私はあなたのペットじゃないわよと言って、また頬を膨らませ怒っている。



 次の日は朝から友達の家へ遊びに行った。


「お前、幼馴染みの彼女はいいのか?」


 友達の部屋で友達が俺に話しかける。


「あいつは俺より、アイドルが好きなんだよ」

「でも彼女って、お前以外の男子とへ話さないよな?」

「それは、あいつには少し、人見知りな所があるからだよ」

「そうなんだな。彼女っていつもお前と楽しそうに話をしているから、好きなのかと思っていたけど、そうでもないんだな?」


 好き?

 彼女が?

 ある訳がない。


 俺みたいな何処でもいるような普通の顔だぞ?

 彼女は何処にでもいないような貴重な美少女なんだぞ?


 俺なんかを相手にするかよ。


「好きなのは俺だよ」

「知ってるよ」

「知ってるなら、彼女にどうすれば好きになってもらえるのか考えろよな」

「お前は何様だよ。だいたい告白すれば早いじゃん」

「はあ? それは却下」

「なんでだよ」

「幼馴染みじゃなくなるからだよ」

「もしかして、フラれたら彼女を失うって思ってんのかよ?」


 当たり前だ。

 気まずくなって話さなくなって、俺の部屋にも遊びに来なくなるんだ。


 そんなのフラれるよりショックだ。

 だから俺は言わない。

 彼女を失うくらいなら言わない方がマシなんだよ。


「彼女が俺の生き甲斐なんだよ」

「変な奴だな」

「これが俺なんだよ」


『プルルル』


 俺のスマホが鳴っている。

 液晶画面を見る。

 彼女からだ。


「あいつから電話だ」

「顔がニヤけているぞ」

「うるさい」


 俺はニヤけている顔を引き締め、彼女からの電話に出た。


「もしもし」

「あっ、私だけど今、何処にいるの?」

「友達の家だけど?」


 俺は彼女と話せる嬉しさを押さえながら、平常心を保ちながら話す。


「もう、お泊まりに行ったの?」

「そうだけど?」

「顔が見たかったのに、、、」


 顔が見たい?

 どういう意味だ?


「えっ」

「あなたの家に、写真を忘れちゃったのよ」


 アイドルの顔が見たかったのかよ。

 俺に言っているんだと期待したじゃん。

 なんか恥ずかしくなった。


「写真なんて、沢山持っているだろう?」

「あの写真がいいの。後でおばさんに言って、あなたの部屋に行き、取ってもいい? 」

「うん。好きにすればいいよ」

「分かったわ。写真を取ったら、また電話をするわね」

「何で? 用事はないだろう?」

「あっ、そうだね。あなたは友達と楽しんでいるのよね? ごめんね」


 彼女の声が悲しそうだ。

 だから彼女がしたいようにさせようと思った。


「そんなことはないけど、俺に電話する必要はある訳?」

「うん、あるよ。だって声が聞きたいもん」


 声が聞きたいって、俺は君の恋人なのかよ?

 そんな話は聞いたことがないけどな?


「分かった。また後で、電話したいならしてきなよ」

「うん。じゃあね」


 そして電話を切った。

 彼女の言葉はどうしていつも、俺を期待させるんだ?


 なんなんだよ。

 横を見ると、友達がニヤニヤとしている。


「何でニヤニヤしてんだよ?」

「彼女は絶対に、お前が好きなんだって思わないか?」

「何でそうなるんだよ?」

「声が聞きたいのは、好きだからだよ」


 電話で話をしている会話を聞くなよな。

 まあ、聞こえたんだと思うけどな。


「でもあいつは、アイドルが好きなんだよ?」

「そのアイドルって名前は分かるのか?」

「うん。最近、人気が出てきたアイドルグループの一人だよ」

「顔が見たいからネットで検索しようぜ」


 そして友達はネットで検索をした。

 一番最初に名前が載っていた。

 サイトを開いて、俺達はそのアイドルの顔を見た。


「何かお前に似ていないか?」

「俺に似ているか?」


 友達は、俺とそのアイドルの画像を見比べながら言った。

 俺がアイドルに似ている訳がない。

 こんな普通の俺なんかが似ていたら、そのアイドルが可哀想だ。


「やっぱり彼女は、お前が好きだって。次に電話が来た時に聞いてみろよ」

「何でそうなるんだよ?」

「いいから確かめてみろよ!」


 それから俺は彼女の電話を待った。

 心臓はバクバクだ。


『プルルル』


 スマホが鳴った。

 液晶画面には彼女の名前が出ている。

 俺は深呼吸をして電話に出た。


「もしもし」

「あっ、私だよ」

「うん」

「写真を取ってきたから、もう大丈夫だよ」

「そっか」

「どうしたの? 何かあったの?」


 彼女は俺の異変に声だけで気が付いた。


「写真は今、見ているのか?」

「うん。見ているよ」

「そんなに好きなのか?」

「うん大好きよ」

「どっちが?」

「どっちって何と比べるのよ?」

「俺とそのアイドルのどっちが好きなんだよ?」

「えっ」


 彼女は驚いた後、答えを教えてはくれない。


「どうして答えてくれない訳? アイドルって言わない訳?」

「気付いたの?」

「何が?」

「アイドルの彼の顔と、あなたの顔が似ているってことよ」

「うん」

「そうなんだね。それなら言わなくても分かるでしょう?」

「分からないから聞いているんだよ」

「それなら、毎日あなたの部屋に行って、あなたの声を聞いて、あなたの顔を見ていても気付かないの?」

「待ってて。電話では、こんな大事な話をしたくはないんだ。今から帰るからさ」

「うん」


 俺は友達に、今日は帰ると言って自分の家へ帰る。

 友達の家を出る時に、頑張ってこいよと友達に言われた。


 そして、早く彼女に会いたくて家まで走った。

 俺が家へ着くと、彼女が俺の家の前で待っていた。


「おかえり」


 彼女は嬉しそうに笑った。


「ただいま」


 俺はそう言って、彼女の手を引いて俺の部屋へ向かう。


「先に俺の気持ちを聞いてほしいんだ」


 俺は部屋に着いて、彼女の方を向き言った。


「うん」

「俺は君の事が好きなんだ。幼馴染みじゃなくて、ずっと好きな人だったんだよ」

「私もだよ」

「でも君は、アイドルが好きだっただろう?」

「うん。あなたに似ているアイドルが好きなの」

「俺に似ているって、そのアイドルが可哀想じゃん」

「だって似ているんだから仕方がないよ」

「ところで、俺に似ているから、アイドルの写真をいつも見ていたのか?」

「それは違うよ」

「それなら何で、いつも写真を見るんだよ?」

「こうするからよ」


 彼女はそう言って、いつものようにアイドルの写真を見る。


「こんな風にあなたを背景に写真を見るフリをして、あなたを見ていたの。気付いていたかしら?」

「だからいつも俺は、君の写真の裏側しか見ていなくて、そのアイドルの顔を知らなかったんだな」

「やっぱり写真より本物が一番よ」


 彼女はそう言って笑った。

 こんな可愛い彼女が恋人なんて、俺は幸せ者だよ。


 それから彼女は写真を見なくなった。

 その代わり、毎日のように俺を見て嬉しそうに笑っていた。

読んでいただき誠に、ありがとうございます。


次のお話は、魔法使いに憧れている可愛い幼馴染みに、魔法にかかったと演技をしたら、彼女はどうするのか試してみた主人公の彼の物語。

いつもはできないことを彼は彼女にします。

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― 新着の感想 ―
[一言] あまい…… キュンです……(//∇//) 顔が見たい、声が聞きたい、素敵な言葉ですね♪
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