義妹が人気配信者であることを、俺だけが知っている。
気晴らしに書き殴りました。
続き欲しい人いたら、感想でも投げてください(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
俺――斎藤実には、生意気な義妹がいる。
継母の連れ子で凪というのだが、これが本当に言うことを聞かない暴君のような子なのだ。見てくれはかなり良いので、黙っていれば良いものの。
口を開けば二言目には「ウザい」だの「死ね」だの。
とにもかくにも、犬猿の仲、という表現がピッタリだった。
そのはずなのに――。
「そんな義妹がどうして――」
「………………すぅ」
――俺のベッドで、一緒に寝ているのか。
冷静になろう。
まずは練る前に何があったのか、それを思い出すんだ。
「えっと、たしかアレは夜中のことだったはず……」
◆
「ふぅ、今日はそろそろ寝るかな」
課題を終えてからのゲーム。
それが日課になっている俺は、時刻を確認してそう言った。
電源をオフにして、大きく伸びをする。そして、おもむろに立ち上がってトイレへと向かった。部屋を出ると一本の廊下があって、その先に目的地がある。
その途中には義妹の部屋があった。
静まり返っている様子からして、もう寝ているのだろうか。
「まぁ、もう二時だからな。俺もさっさと寝よう」
そう独り言を口にして、トイレを済ませた。
そして部屋へと戻ろうとした時だ。
「ん……? なんか、微かに声が聞こえる?」
義妹の部屋から、囁くような声が聞こえたのは。
耳を澄ませてみると、やはりそれは凪の声に違いなかった。いったい、こんな夜中になにをしているのだろうか。
俺はちょっとした好奇心から、耳をドアに押し当てた。
すると――。
「やばい、殺される――ひっ……――だれか、助けて……!」
「えっ……!?」
聞こえてきたのは、必死に懇願するような義妹の声。
殺される、とはどういうことか。それは分からないがあまりに真剣な声に、俺は驚き勢いのままドアを思い切り開いていた。
鍵はかかっていなかったらしい。
中に入ると、真っ暗な部屋の中で画面に向かう凪の姿があった。
茶色に染めた髪は肩ほどで切り揃えてある。
小柄で細身な身体は、実に女の子らしいというところだ。
そして横顔でもハッキリと分かる、整った目鼻顔立ち。そこまで首を突っ込んでないから分からないけど、読者モデルも経験しているとか……。
「おい、大丈夫か!? 凪!?」
「ふぇっ!? 兄貴!?」
「……って、アレ?」
そんなことよりも、俺が気になったのは――。
「なにやってんの、お前……?」
「…………」
義妹が豪華なパソコンや周辺機器で、ゲームをしていること。
そして、これは――配信?
「えっと、なになに……【ナギたんのFPSちゃんねる】?」
「………………」
硬直する凪を横目に、パソコンに表示された名前を口にする。
すると俺の声も拾っているらしい「え、お兄さん?」、「兄フラ?」といったコメントが表示されていた。
え、っと……?
これは、どういうことだ。
俺が困惑していると、凪がこう叫ぶのだった。
「お、お願いだから出てってぇぇぇぇぇぇ!?」
◆
そうして、部屋に戻って寝たのだ。
「いやいや、どうしてこうなってるんだ。重要な部分が抜け落ちているじゃないか。考えろ、考えるんだ俺……!」
しかし、そこから先は思い当たらない。
驚きはしたものの、普通に寝て起きたらこんなことになっていた。
「とりあえず、凪……起きてくれ」
「う、うぅん……?」
もう、ここまできたら事の次第を訊くしかない。
そう思って俺は、義妹の肩を揺すった。すると彼女は吐息を漏らしつつ、目を覚ます。そしてボンヤリとこっちを見てからこう言った。
「義妹に手を出したね、兄貴?」――と。
……はい?
こいつ今、なんて言った?
「凪、なにをふざけて――」
「あー! 白を切るんだ! アタシを傷物にしておいて!」
「はぁ!?」
朝から何を言いやがる!?
俺は思わず飛び起きて、義妹から距離を取った。
そうすると彼女は、ニヤリと笑って言う。
「いま、アタシがお母さんを呼んだらどうなるかな? こっちの言うことを信じると思うよ? ――ね、兄貴?」
「お前、いったい――」
なんのつもりだ、と。
俺がそう口にするよりも先に、凪はこう口にするのだった。
「分かったら、交換条件よ!」
ビシッと、こちらを指さして。
「このことをバラされたくなかったら昨夜、アタシがゲーム配信をしていたこと、秘密にしなさい!!」――と。
こうして、俺と義妹の秘密の共有は始まったのだった。
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