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Angel bless you -天使のご加護を-  作者: JEY
アレン
3/3

リース村での日常


リース村の中心地を歩くアレンとユミナ。


村では朝市が行われていた。




品揃えは様々で野菜などの食材はもちろん、


新鮮な川魚や食用肉などが売られている。






「おはようアレン!ユミナ!」


「アレーン!今日も朝から鍛練か?」


「アレン・ユミナや。おはよう。」






村は朝から活気に満ちあふれている。


市場のおっちゃん達や朝市を利用する老人みんなが


アレンとユミナに声をかけてくれる。


アレンはこの雰囲気・村の人達の暖かさが


心の支えであり、好きであった。






「おう!みんなおはよう!」






アレンは手を振りながらみんなに挨拶をする。


これは毎朝のことなのだが、嫌な気はまったくしない。






市場を離れアレンはユミナに礼を言いそれぞれ家に入る。


家の中は住むために必要な物以外は特になく、


本棚に多くの本があるぐらいだ。






自室に本を持ち込みそれを開く。


本のタイトルは【天界大戦争】。


この本は生前の父からもらった本であり、


かつて天界であった神へ反逆を起こした


大天使ルシファーと戦う大天使ミカエルの視点で書かれた本だ。






アレンはこの大天使ミカエルに憧れていた。


大天使ミカエルの勇ましさ、人間を愛する心。


美しい程磨かれた剣術。天使のみが使えるという天術。


まさに美と強さを兼ね備えた完璧な存在。






他にも大天使はおり、




怪我や病気を瞬時に治すことができる


【大天使 ラファエル】




神の意志を人間に伝え、守護と導きを与える


【大天使 ガブリエル】




神の光の異名を持ち、美しく前向きな心を持つ


【大天使 ウリエル】




この4大天使は“アークエンジェルス“と呼ばれ、


天界大戦争では活躍をしたそうだ。


先に紹介したミカエルはリーダー的立ち位置にいた。


この天使達は人々の信仰の対象である。






この戦争の結末はアークエンジェルスが一丸となり、


ルシファーを倒して反逆を阻止。


神の意志に反旗を翻した罰として地獄に落とされた。


つまり、堕天されてしまったのだ。


しかし、ルシファーの野望は潰えておらず、


地獄で魔王となり、悪魔や同じく堕天された者を率いて


再び争いを起こすであろうとされている。


憎き人間、憎き天使、憎き神を滅ぼすために。いつの日か。






現在の人間世界には魔物がいる。


魔王ルシファーの配下の堕天使や魔物達が


人間達を見境無く襲う世界だ。






ーーーー本を閉じながら窓から外を眺めるアラン。




「正しきものは常に強く、正しきものは最後に勝利する。決して希望を捨てるな。」


外を眺めながらそう呟く。


これは、ミカエルの言葉であり、アランがとても感銘を受けた言葉。


決して諦めない。魔法が使えないアランにとっては


この言葉に何度も励まされ、自分を奮い立たせてもらっている。








いつの間にか外は夕焼けに染まっていた。






明日からはセイクリッド学園への入学のため、王都へ行く。


15歳からの入学が義務付けられており、


様々な平民や貴族が入学する。


不安が無いといえば嘘になる。


魔法を扱うのが主流な現在。剣術のみを磨いてきたアレンは、


魔法の前では思うような戦いができない。




それは村での大人たちとの模擬戦で痛感している。


村の防衛やたまに村の外で魔物を狩っていたアレン。


魔物との戦闘は近接戦闘が通用する。


魔法の使い手は遠距離からの攻撃が可能であるため。


回避、接近を行う必要がある。


立て続けに打ち込まれたらなすすべ無く終わる。






セイクリッド学園は魔法の正しき扱い方、


体術、剣術などの技術向上が目的で存在している。


もちろん学術も身につける目的もある。


過去に卒業した人達はその後それぞれに適した職に就く。


王宮騎士団・行商人・魔法研究・神父・シスターなど


様々な職に就いていると聞く。


中でも多いのが冒険家だ。






俺はこの冒険家になり、世界を見て回りたいと思っていた。


また、今もなお人々を苦しめる魔王とその配下の魔物達。


弱きを助けるという正義感がアレンには強くあった。


お人好しなのが玉にきずなのだが……








【笑顔であふれた世界にしたい】


それがアレンの願いであった。








「頑張るぞー!!」


何かを決意したようにアレンは気合いを入れた。














ーーーここは天界






聖堂のような建物に


コツッコツッコツッと


歩く音が響いている






「神よ、参りました。」


6枚の羽根を背に持つ綺麗な赤髪をした女天使が


建物の中心で跪く。






《ミカエルよ…よくぞ参った。》


天から声が響いている。どうやら神のようだ。






《お前に神託を与える。魔王ルシファーが再び動き出そうとしている。かつての大戦では奴を退けることができたが、今は相当の力と勢力を手にしている。一筋縄ではいかんだろう。》




ミカエルは跪いたままだがその握った手には力が込められている。






《ラファエル、ガブリエル、ウリエルと共に魔王ルシファーの再びの反逆を止めるのだ。》






「承知致しました。それでは失礼致します。」


ミカエルはそう返答し、立ち上がりお辞儀をして去ろうとする。








《待つのだ……》


神の声に足を止め振り返る。






《此度の反逆阻止の任に人間界の者を一人加える。》


「……っ!お言葉ですが神よ。我々が守護する対象の人間にこのような危険な任をさせるなど私は……」






《お前の言いたいことは理解できる。だがもう天界だけの問題では無くなっている。魔王は人間への憎悪も強く、人間界も滅そうと動いている。》




《我々天界の問題を大きくさせ、人間界も危険に晒してしまった。普通であれば我々が何とかするべきなのだ。だが、先に言ったとおり魔王の力は絶大だ。もう我々の力だけでは奴を倒すことは難しい。》






ミカエルは黙って聞いているが納得いっていない様子だ。






《これは神託だ。先に言ったとおり、アークエンジェルスと人間に魔王ルシファーの反逆阻止を命ずる。》






「……っ!承知致しました。」


その場に跪き、そう答えるミカエル。 


その表情は不満に溢れていた。


【押し付け】まさにこの言葉に尽きる。


ましてや危険に晒すなど論外。


だが、納得できなくとも神託となれば従わなければならない。


神の神託は絶対なのである。






《その人間は普通の人間ではない。少し特殊な存在だ。近い内に会うことになるだろう。ぞんざいな扱いは許さぬ。我に仕えると同様にその人間の力となるのだ。》






「……承知致しました。」


ミカエルは立ち上がり再びお辞儀し、その場を去る。


その表情は変わらず悔しさに溢れていた。


だがそれとは別に決意の表情も現れた。


(私がその人間を守る)


いくら神託とはいえどもこの任は危険度極まりない。


ミカエルは任を共にする人間を守る決意をした。








ミカエルが去った屋内が静寂に包まれる。








《すまぬ……ミカエルよ。》










《すまぬ……アレンよ。》






神の呟きは誰にも届かなかった。

近い内に世界観等を載せたいと思います。

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