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異世界転移の英雄譚 ~悩み多き英雄さま~  作者: 北山 歩
第2部 第3章 謎めく古代遺跡 編
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90話 未知への渇き

※当作品の登場人物名称(対象はフルネームの完全一致および酷似した名称)、貨幣の名称と特徴、特有の魔法名称と特徴、理力眼といった特有の能力スキルにおける名称と特徴、国家・大陸名称、魔力導線の構造及び魔石と魔力導線を使用した発明品・兵器の構造等の内容ならびにテキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

 気を失い倒れたロランはルディスに担がれ何とか地上に出た。


 地下から出てきた一行の異変に気づいた教皇庁の衛士達が駆け寄ってくるとモンパーニュは


 「…我らは新教皇である『マグネリオ6世』様より"魔力印"が施された通行証を所有する"要人"であるぞ…」

 「許可なく我らに近寄ってくるのは無礼であろう…」


と大声を出し衛士達を威嚇する。

 

 モンパーニュの気迫に圧倒された衛士達はその場で立ち止まりそれ以上近寄ることはなかった。


 『公爵のこのような姿を誰にも見せたくない…』

 『公爵との付き合いが浅い我しかこの場で冷静でいる事はできない…今が踏ん張りどころだ…』


と覚悟を決めたモンパーニュは矢継ぎ早に対策を打っていく。


 「…ピロメラ殿、外が暗く空気が"ビリビリ"震えるほどの【力】と怒りの感情で圧し潰されそうである…恐らく6天竜とその眷属が引き起こしているのであろう…」


 「そちらも問題だが【至高の門番】達が各々の軍を引き連れ神聖ティモール教国に侵攻してこないよう…【至高の門番】の方々に公爵は命に別状なく気を失われているだけだと御伝えいただきたい…」


とロランが倒れた事により『邸』で待機している【至高の門番】達が暴走し軍事侵攻する懸念に対し即時に対策を打つ。


 『はぁ…ただの古代遺跡調査のはずだったのに…どこで歯車が噛み合わなくなったのだ…』

 『こんなことをしている場合ではない…空を覆う6天竜とその眷属達を何とかしなければ…なんて厄介な…』と思いつつもモンパーニュは矢継ぎ早に対応していく。


 「ブリジット君…君は公爵に強心剤を飲ませてくれ給え、ルディス君は皆の魔法鞄から毛布をかき集め体温が低下しないよう公爵の体を包んで欲しい…レイチェル君は公爵のバイタルをセンサーで監視して欲しい…」


ルディスもブリジットもレイチェルもいつもの素早さが失われていた。

 

 自分の全てを捧げた『不死』であるはずのロランが倒れ苦痛に満ちた表情を浮かべている姿が激しく心を動揺させたからである。


 モンパーニュは皆に指示を出し終わるとテレパスを使用し『アリーチェ』に【邸】で騒動が起きた場合、治めるよう依頼した。

 

 『アリーチェ』への依頼を済ませるとモンパーニュは教皇庁を一気に駆け抜け外に出る。


 その後、竜の言葉である『シエルヴォルト』以外で竜とコミニケーションがとれると伝承されていた【古代キルド語】で天に向かって叫びだした。


 ""…怒りを鎮めていただきたい…命に別状なし…この度の失態は全て配下である我らの責任…この国の民に罪はない…""

 

モンパーニュの魂の叫びが奇跡的に6天竜に届くと、6柱の1柱である【風を司る】白く輝くヴァイスドラゴンが返事をしてきた。


 ""…小さき者よ…そなたの願い聞き入れよう…我ら6天竜と眷属達はこの地を蹂躙せず…""

""…ただし我らが【生命を司る同胞】を地につけた罰は受けてもらう…""


稲妻がモンパーニュの腹を貫く。


6天竜と眷属を立ち去らせる事に成功したモンパーニュは教皇庁に戻ると毛布で包まれたロランを抱きかかえ項垂れる皆を引き連れ皆が待つ『邸』へ向かった。


 それから5日後…


 ロランはベッドに横たわった状態で意識を取り戻した。


 意識を戻して直ぐ心臓が限界に達していることを感じた。


 天竜達の血を飲んだことで『不死』となったロランであったが複数の世界線が異なる世界から理力を吸い込み暴走した『理力眼』を無理やり強大な『魔力と霊力』で抑え込んだ反動であることは明白であった。


 ロランは強大な『魔力と霊力』を生み出し続けるため体中の細胞一つ一つに栄養素と酸素を送り高活性化させるため強制的に鼓動を早め血流量を増加させていたからである。


 鼓動を強制的に高速で可動させたため【テロメアの修復】が不完全となり細胞分裂が限界点に達し臓器である心臓が限界に達したのだ。


 『このままでは心臓が停止した途端、天竜達のような永久機関のような構造の心臓となってしまう…それではもう…人とは言えない…人のままでい続けたい…』


と思ったロランはベッドに横たわった状態で右手の手のひらを心臓の位置に持っていった。


 するとロランは光属性魔法と火属性魔法を混成分解魔法で結合させ"光を極限まで増幅し放つ"魔法である【フォトンノヴァ】を発生させ高エネルギーのレーザービームで胸に穴をあけ心臓を消失させた。


 心臓が消失する直前に"冥界の王"の能力である【生命そのものを操作する能力】で胸の穴の周辺細胞を"万能細胞"と化し臓器である心臓と血管に変化するよう万能細胞を制御していく。


 さらにロランは新たに生成された心臓の血管と既存の血管に"生命"を持たせ繋がるべき血管同士が接した時点で最上級回復魔法である"スプレマシーヒール"を使用し結合させるとともに【フォトンノヴァ】で焼きただれた細胞を消滅させ正常な細胞を増幅させた。


 当然、心臓を消失させ新たな心臓を創造し血管を繋ぎ終わるまで脳に酸素が供給されないため全体的に損傷を受けた脳細胞を修復するため両手を頭にあて"スプレマシーヒール"をかけ続け損傷を完全に修復させる。


 さらに正常状態に戻った『理力眼』で全身をくまなく検査し問題が無いことを確認すると再び眠りについた。


 ロランは【フォトンノヴァ】を放つ前に部屋に強力な魔力障壁を展開していたため【フォトンノヴァ】が部屋を貫く事はなかったが轟音が鳴り響いた。


 轟音を聞きつけた【至高の門番】である【ルミール、バルトス、マルコ、クロス、フェネク、アルジュ、ポルトン、ランド、ピロメラ】達とアリーチェ、ツュマ率いるLVSIS、ジェルド率いるRedMistの面々がロランの部屋に入ってきた。


 暫くの間、言葉を発する者は誰もいなかったがアルジュが皆の思っていることを口に出した。


 「…ダーリンのベッド…何だか凄く焦げ臭いと思わない…」


 アルジュの問いに答えるようにルミールが確信をついた答えを口にする。

 

 「龍神様が魔力障壁を展開し【フォトンノヴァ】を使用しましたね…ここに痕跡があります…」


 部屋に集まった者達は『はぁ…行う事が極端過ぎる…』と思い"やれやれ"といった表情を浮かべているとアリーチェが皆に指示を出した。


 「…ロラン様はまだお休み中です。目覚めるまで"そっ"としておきましょう…」


アリーチェに促され一同はロランの部屋を後にした。


 さらに2日後…


 ロランは目覚めるとベッドの左側の椅子に座り足を組みながら自分をみつめるモンパーニュの姿があった。


 「…モンパーニュ…ずっといてくれていたのかい…」


 「…ずっとではありませんが多少長くおりましたかな…」


と少々疲れた声でモンパーニュはロランの問に答えた。


 「…公爵…あの古代遺跡で何がありました…白い服を着た11人を見てから急に顔がくもりましたがご存知の方がおられましたかな…」


 「……」


 「まぁ、いいでしょう。公爵が御倒れになった事で天竜とその眷属達が神聖ティモール教国を消滅しようとし…至高の門番方々は各々が保有する軍を引き連れ進軍する行動を起こしかけました…」


とロランは自分が倒れたことで甚大な出来事が多発していた事を知った。


 「…さらに【バルトス、マルコ、クロス、フェネク】達と【ルミール、ポルトン】達が一触触発の状態となり、アルジュとロベルトは闇属性魔法の"漆黒のマリオネット"を使い召喚した無数の【ドラウグル】達を解き放とうとしたそうです…」


 ロランは『そんな事になったら複数の国に跨る甚大な被害が発生していた…』と思い"ぞっ"とした。

  

 「…公爵、今後もし公爵が御倒れになる事も想定し、有事で公爵が不在あるいは意識不明の際は『アリーチェ殿』が全権を掌握し皆を一時的に支配下におくと宣言いただきたいと考え、ここにおりました…」


 モンパーニュの提案は『…正論だ…』と思いながら、


 「…モンパーニュの言う通りだ…正式に皆に伝える…」


とロランの意思を確認できるとモンパーニュは部屋を後にした。


 モンパーニュが部屋から去り一人になったロランは『"スタイナー計画"とは何なのだ…それになぜ白衣の男女11の中に"あの者"と瓜二つの女性が居たのだ…』と思いつつ…


 『新たな手ががりを掴む(つかむ)ためには別の古代遺跡を調査しなければならない…』と考えるのであった。


 するとタイミングよくドアがノックされ入室を許可するとピロメラが入ってきた。


 「…ロラン様、古文書を解析し新たな古代遺跡が存在する位置の目処が付きました…」


 「…場所はどこになるかな…ピロメラ…」


 「…ケトム王国となります。古文書には"永久の魂に守られし腐敗の神殿"が存在すると書かれておりました…」


 『腐敗の神殿か…獣人が多く。国土の大部分が密林と言われるケトムか…』

 

 未知の"腐敗の神殿"の調査に()()()()()()を抑えて準備を行うロランなのであった。

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