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異世界転移の英雄譚 ~悩み多き英雄さま~  作者: 北山 歩
第1部 第1章 アゼスヴィクラム暦729年の異世界 編
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6話 理力眼

※当作品の登場人物名称(対象はフルネームの完全一致および酷似した名称)、貨幣の名称と特徴、特有の魔法名称と特徴、理力眼といった特有の能力スキルにおける名称と特徴、国家・大陸名称、魔力導線の構造及び魔石と魔力導線を使用した発明品・兵器の構造等の内容ならびにテキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

 「ポツ…ポツ…ポツ…ポツポツ…ポツポツポツポツポツ…」


 『…今日は朝からすごい雨だな…』と思いながら朝食を済ませたロランはカール記念学校に入学する準備をしていた。


 確認作業は単調であるため、ロランは声を出しながら鞄に必要な道具を詰めた。


 「…持っていくものはA4版の黒板とチョーク、それと黒板を消す布だったよね…」


 ロランが黒板やチョークを詰め込んでいる鞄は元の世界で使用していた鞄であるため、他の子供達が使用している鞄と比べると遥かに立派なものであった。


 そのため、ロランは他の子供達に配慮して皆が学校に行っている間に準備をするようことにしていた。


 雨のため役目であるトイレの汚物処理は中止となり、ロランは神父であるウィルターナとシスターであるエディッタと共に昼食を摂った後、部屋で『()()()』の能力を検証することにした。


 『…この()()()とは何なのだろう。教会に寄贈されている書籍を読んでも記載されていない…』

 

 『…単に物理法則や化学法則を分析する能力ではなさそうだ…』

 

 『…いろいろ試して潜在的能力を確認しなければ…』


 ロランはこれまでの()()()の能力を整理していく。


 『…イメージした対象を分析し結果を文字や数値で表示する分析能力がある…』


 『…それだけでなく、無意識下でもこの世界の言葉を収集して言語体系を解析するだけでなく、脳の言語野にこの世界の言語体系を関連付け意味を理解し話をできるよう再構築した…』


 『…分析能力というよりは、もっとすごい能力のような気がする……』


 ロランは思考を巡らすがそれ以上のことを得ることができず、学校に行っていた子供達が帰宅する時間になっていた。

 

 するとリリーはデビットの傷を治療するよう、サバサバした口調でシスターにお願いをする。

 

 「…シスター。デビットが学校で喧嘩して怪我をしているから治癒魔法で治療をお願いします…」


 デビットは、ばつが悪そうに悪態をつく。


 「…リリー余計な事言わないでくれよ、ウィルターナ神父にまた怒られるだろう…」

 「…それに対した傷じゃないし、リリーはおせっかいすぎるんだよ…」


 シスターのエディッタは、2人が口論になりそうだったので静止し、デビットを治癒魔法で治療する。


 「…はい、2人ともそこまで。デビット腕をこちらに向けなさい…」

 「…ヒール…」


 エディッタはデビットの治療を終えると優しく言い聞かすのだった。


 「…デビット、怪我の事は神父様には内緒にしておくから心配しないの…」


 ロランは夕食の準備のために部屋から出てきており、エディッタが治癒魔法を使用する行為を見ていた。


 身体の中で妙なエネルギーの流れを感じたロランは、()()()を使用し自身を分析するとスキルに【ヒール】が追加されていた。


 ロランは、もしかしてと思い左手の切り傷に向い右手を近づけ「…ヒール…」と唱えた。


 すると、ロランの左手の切り傷は跡形もなく消え去った。

 

 そして、ロランは理力眼の秘めたる真の能力を確信した。


 『…この()()()は無意識下で常に稼働し、因果律を超えて発動される魔法を取得することができるんだ…』


 『…スキルとして魔法が登録されるので、金型のように【発動した魔法がどのように事象に作用するかといった工程】を保有し、魔法適性がない者でも魔力をその金型に流し込めば取得した魔法を使用することができるんだ…』


 ロランは、飛び上がって喜びたい衝動を抑えながら、皆と一緒に夕食の手伝いを行った。


 無性に喜びを表現したい衝動にかられたロランは夕食を早めに済ませるとウィルターナとエディッタに薪を割ってくると伝え、外に飛び出した。


 ロランは教会裏へ着くと小さめの事で喜びの雄叫びを上げながら、力強くガッツポーズをとるのだった。


 「…よっしゃー…」


 その後、ロランは興奮を抑えるため薪を割る。


 『…これからは魔法の使用を決して見逃さずスキルとして保存される魔法を増やしていこう…』

 

 『…今は硬貨から魔力を吸収することで魔力を増加させることはできないから、それ以外の方法で魔力を増加させる方法を見つけなくては……』


  ロランは薪を割りながら今後の目標を定めるのだった。

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