表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移の英雄譚 ~悩み多き英雄さま~  作者: 北山 歩
第1部 第3章 諜報部隊 LVSIS(ルブシズ) 実行部隊 RedMist(レッドミスト) 創設・始動 編
44/147

44話 急襲(1)

※当作品の登場人物名称(対象はフルネームの完全一致および酷似した名称)、貨幣の名称と特徴、特有の魔法名称と特徴、理力眼といった特有の能力スキルにおける名称と特徴、国家・大陸名称、魔力導線の構造及び魔石と魔力導線を使用した発明品・兵器の構造等の内容ならびにテキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

 リビングはパールホワイトを基調(きちょう)に統一し、中身が(わら)と鳥型魔物の羽毛(うもう)である一人掛けのソファーにロランとアルジュが座る。


 アンティークのテーブルを挟んで(はさんで)反対側に設置している7人掛けのゆったり寛げる(くつろげる)円弧状のソファーに"ジェルド、リプシフター、エクロプス、ルディス、オム・マーラ"が座った。


 ロランは、皆に対し今回のミッションは『ダイス・フォン・ロット・ツー・ダムロイ』伯爵邸を急襲(きゅうしゅう)し、地下牢に閉じ込められている『ミネルバ・サンチェス』を奪うことだと告げた。


 「…オム・マーラ。千里眼(クリアボヤンス)の能力で、伯爵邸を透視し間取りを伝えてるように…」


 「…僕がオムの情報を基に(もとに)(やしき)間取り図(まどりず)を|作成する…」


 「…承知しました。ロラン様…」


 ロランからの指示を受けたオムはソファから降りると座禅(ざぜん)を組み、両の掌を上にし膝の上に置くと瞑想(めいそう)を始めた。


 オムの両目は、幼少時に()()()()に焼きごてを押しつけられ失明し、今でも酷い火傷(やけど)の傷跡が残っている。


 だが、その際に()()()の能力が覚醒し、普段でも能力を使用し周囲を見ることが出来るため、日常生活は全く支障がないとのことであった。


 しばらくすると、オムは伯爵邸の間取りを言い始めた。


 ロランは、オムの情報を基に間取り図を作成し、1時間後には地下から2階までの間取り図を完成させた。


 「…次に急襲の方法だが伯爵邸の上空から地面まで降下する…」


 「…地上降下後、催眠ガス入りの容器を各階の通路で使用し従者達を眠らせてから、地下のミネルバを奪って帰還(きかん)する。作戦行動時間は30分。何か質問は…」


 RedMistのアインスであるジェルドがロランに対し上空で待機、移動する手段を質問した。


 「…さすがですね、ジェルド。実は急ピッチで飛行船を製作しようと既にゴンドラ部は作成していたのだが奴隷オークションなどで資産の9割を使用したため中断している…」


 「…そこで、今回は製作したゴンドラをドラゴンに運搬させることにする…」


 ジェルドに対するロランの回答が皆の顔を曇らせた。


 目の前にいる少年がドラゴンを使役(しえき)できる能力者である事と乗り心地はかなり酷いものになると瞬時に理解できたからである。


 「…宜しいですか。催眠ガスを使用するという事ですが私達は眠くならないのでしょうか…」


 ルディスの質問を聞いたロランは、魔法鞄から装備品一式を取り出しテーブル上に置くと説明を続けた。


 「…ルディスも鋭い質問だ。君達には、このブラックのサーフフードを頭から被りウェットスーツを着てフルフェイスのマスクを装着してもらう…」


 「…空気はフルフェイスマスク内のレギュレーターから吸引してもらう。空気を吐く際はレギュレーターから空気を吸わないで吐き出せばいいからね。あと酸素ボンベは忘れないように…」


 「…加えて頭部を防護するヘルメットと胴体と背中を防護するプレートアーマー、切創手袋と肘当て(ひじあて)膝当て(ひざあて)脛当て(すねあて)、安全靴と武器として発射音を削減できるサウンド・サプレッサー付き拳銃と中型の黒刀を装備してもらう…」


 ロランはテーブルの上においた装備品を手に取り一つ一つ説明していく。


 「…ロラン様、サウンド・サプレッサー付き拳銃とは何でしょうか…」


 「…ジェルド。拳銃とは黒色火薬を使用し小さな弾を高速で打ち出す武器の事だよ。サウンド・サプレッサーは弾を射出(しゃしゅつ)する時に発生する音を削減する(つつ)と思ってくれれば問題ない…」


 「…ジェルドは火属性魔法を、リプシフターは水属性魔法を、エクロプスは土属性魔法を、ルディスは風属性魔法を得意としていることは分かっている…」


 「…だが、魔法を使用するとある程度の音が発生し敵に気づかれるリスクが高まる。そのリスクを回避するための拳銃と思って欲しい。魔法はあくまで最終手段として使用するように…」


 ロランは装備と作戦行動について話し終えると皆に質問がないか確認した。


 「…ロラン様、黒色火薬とは何でしょう…」


 「…爆発する黒い粉で原料は3つ。1つ目は細い木を大量の(わら)籾殻(もみがら)で燃やした後、蒸らして(むらして)得られる原料。2つ目はセメントの原料となる鉱石(こうせき)採掘(さいくつ)できる鉱山で得ることができる原料。3つ目は灰汁の上澄みを使用し熱処理することで得られる原料の計3つ…」


 ロランは急襲の話から脱線してしまった事に気付き話を元に戻した。


 「…うっうん。話が脱線してしまい申し訳ない。フルフェイスマスクは魔法で暗闇でも周囲の環境を視認することができる暗視機能をつけているから暗闇の中でも行動できる…」


 「…地下廊の鉄格子はジェルドに黒刀で切断してもらうことにしよう…」


 「…もしミネルバが嫌がるようなら気を失わせてでも連れてくる事。作戦行動時間は30分とする。僕とアルジュはゴンドラで待機し皆に危機が発生したら助けにいく…」


 「…リーダーはジェルドとする。皆、頼んだよ…」


 「「「「…畏まりました(かしこまりました)。ロラン様…」」」」


 「…無理せず、怪我をしないように。万一、捕まったら拷問(ごうもん)を受ける前に素性(すじょう)を言って構わない…」


 「…その時は僕とアルジュで敵を殲滅(せんめつ)するから。君達を失う事は大変な損失なんだ。もう一度言う無理せず捕まったら素性を直ぐに言うこと。これは絶対厳守とする…」

 

 そういう言うとロランは皆を解散した。


 翌日の夜10時、ロランは"アルジュ、ジェルド、リプシフター、エクロプス、ルディス"と共に突貫工事で天井を取り付けたゴンドラに乗り込んだ。


 ロランは、全員シートベルトを着用した事を確認すると()()()()()()()を使用しタウゼント級のドラゴンを呼び出するとゴンドラを持たせロット伯爵邸に向かわせた。


 ロランはゴンドラにドラゴンが運搬(うんぱん)し易いように『取っ手』をつけていなかっため、ドラゴンの爪が壁から突き出してきたが支障はないため作戦は続行された。


 暫くして、ドラゴンが伯爵邸の上空に到着するとロランはドラゴンにホバリングを命じた。


 ドラゴンは一定の場所に居続けるため、大きく翼を羽ばたかせた為、ゴンドラは想定以上に上下に揺れた。


 不安定なゴンドラからロープを下すとミネルバ奪取に向け"ジェルド、リプシフター、エクロプス、ルディス"が颯爽と降下するのだった。

2018/08/28 誤字・脱字・リビングの色の整合性修正を行っています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ