4話 人生計画
※当作品の登場人物名称(対象はフルネームの完全一致および酷似した名称)、貨幣の名称と特徴、特有の魔法名称と特徴、理力眼といった特有の能力スキルにおける名称と特徴、国家・大陸名称、魔力導線の構造及び魔石と魔力導線を使用した発明品・兵器の構造等の内容ならびにテキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
『…それにしても臭い…』と思いつつ、ロランはトイレの穴の底に設置されていた桶を取り出し、中身を教会裏の地面に掘った穴に捨てていた。
『…さてと次はトイレで使用する葉っぱ収集か…』
『…葉っぱ収集が終わったら、人生計画を考えよう…』
と考えながらロランは教会から歩いて50分ほどかかる森へ向かい、森に着くと"理力眼"を使用し葉っぱを収集した。
この森ではトイレで使用する葉に酷似したかぶれる葉があり、他の子供達は違いが判別できないため、葉の違いが判るロランが収集の役目を担っていた。
もし、かぶれる葉を収集しトイレで使用した場合、痒みが最低10日間はひかず、歩行にも影響が出るため、教会の役目の中では重要な役目とされていた。
ロランは葉の収集を終え教会に戻るとシスターであるエディッタに対し作業が終了したことを報告する。
「…エディッタさん、トイレで使用する葉の収集終わりました…」
「…戻る途中で、掃除用の水が減っていることを思い出しセレネー川で水を汲んでおいたので使ってください…」
エディッタは子供ながらに気を使いすぎるロランを心配しながら労をねぎらい休憩を与えた。
「…ロラン、お疲れ様でした…」
「…お夕飯まで時間があるから、それまでは遊んでいていいわよ…」
ロランは夕飯までの自由時間を利用し、人生計画を立てることとこの世界の検証に取り組むため、再び森へ向かった。
ロランは森に着くとお気に入りの場所の木々が茂っていない日の光が差し込み、自然のステージとなっている真中にある大きく平らな石の上に腰掛けた。
近くに落ちていた小枝を拾ったロランは、地面にこれまでに知った情報や人生計画を書き込み、頭の中を整理していく。
『…この世界の人間は"火・水・風・土"の四元属性魔法のうち一つあるいは複数の適性があり、魔法を使用することができるようだ…』
『…会ったことはないが、"勇者や賢者、聖女"と呼ばれる特別な存在は、四元属性魔法の他に光や闇属性の魔法も使用できるらしい…』
そこで、ロランは"理力眼"を使用し自身をMRI投影するイメージで分析してみた。
すると、透過型のヘッドマウントディスプレイのように景色に透過した状態で眼前に文字と数値が
現れるのだった。
【名前】ロラン・スタイナー、【年齢】5歳、
【体力】10、【魔力】20、 【能力】理力眼
『…本当に5歳に若返っているんだ…』
と魔法世界にいるんだということを再認識し、現在の自分の能力値を確認するとこの世界で生き抜くための人生計画の作成にとりかかった。
『…この世界の教育課程は、小学校に相当する初等教育が5年、中学校に相当する中等教育が5年、高校に相当する高等教育が3年の5・5・3の計13年か…元の世界のフランスに近いな…』
『…ただし、例外もあると…』
『…1つはエスペランサの学校を卒業し、王都"カント"にある王立魔法学園を留年しないで卒業すれば11年で高等教育に相当する資格を取得したことになるから2年短縮できる......』
『…2つ目はエスペランサの学校を卒業し、"カントパス"と呼ばれる大学入学資格試験に合格することだ…何だか元の世界のような制度だがこれだと数年短縮できるな…』
ロランは試験の難易度が極端に高い"カントレア"よりは現実味がある王立魔法学園への入学を想定した人生計画を考えることにした。
『…確か、王立魔法学園の入学金は1エルリング硬貨が2枚(日本円で200万円)だったな…』
『…カール記念学校に通っている5年間に、エスペランサの街で靴磨きをし、体捌きを覚えるため街の体術道場で投げられ役を行うことで費用を貯めていこう...』
『...足りない費用は、王都で元の世界の知識を活用して製品を開発し、特許を取得しライセンス契約で得られる収入で、入学金と生活費を捻出していこう…』
という大雑把な計画で締めくくった。
「…よし、大まかな人生計画を決ったから、次は体を使ってこの世界の物理法則や科学法則を検証していこう…』
とロランは勢いよく立ち上がるのだった。
・2019/2/28・・・貨幣の呼び名修正
・2020/6/20・・・加筆・削除修正