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異世界転移の英雄譚 ~悩み多き英雄さま~  作者: 北山 歩
第1部 第2章 フォルテア王国 王都カント 編
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26話 エアロビ普及の日々

※当作品の登場人物名称(対象はフルネームの完全一致および酷似した名称)、貨幣の名称と特徴、特有の魔法名称と特徴、理力眼といった特有の能力スキルにおける名称と特徴、国家・大陸名称、魔力導線の構造及び魔石と魔力導線を使用した発明品・兵器の構造等の内容ならびにテキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

 ロランは、ソフィアの学友である伯爵家の子息『アレックス・フォン・マクスウェル』と、シモンズ洋服店の息子である『ベン・シモンズ』と非常に気が合い、王立魔法学園が終わる時刻に広場に集合し『エアロビ』について熱く議論していた。


 3人は運動不足のマダムでも()()()()を楽しめるよう運動強度が低い『マーチ』や『Vステップ』、「タッチステップ』『ボックス』を増やし、『レッグカール』は減すといった構成について大声で議論したため、通行人から冷たい視線を浴びるのだった。


 「…そうだね。グレープバインで横移動する時に、腕のスィングと組み合わせても面白いかも…」

 

とベンが話すとロランとアレックスは最高だと相槌を打つ。


 「「…ベン、それ最高だよ!今度試してみよう…」」


 すると、今度はアレックスが音楽について話しだす。


 「…音楽はもっとバイブスがある音楽に変更したいんだけど、どうかな‥・」

 「…それは前から感じていた。魂のビートが開放できような音楽があればいんだけど…」


とロランが悪乗りをするのだった。


 入学から1ヶ月が経過する頃、"ロラン・アレックス・ベン"の3人はエアロビ界のアイドルとなっていた。


 練習を行う広場では、王都のマダムや他の学園の女生徒が集まり、黄色歓声が乱れ飛ぶ。


 3人は、集まったマダムと女生徒達に向かってとレッスン場への勧誘を行い移動する。


 「「「…ヴィクトリーナ達、今日も応援ありがとう…でもこれじゃ。交通する方々の邪魔になってしまうので、僕達のレッスン場に来て欲しいよ…」」」


 「「「…キャー。キャー。ロラン様…アレックス様こっち向いて…ベン様素敵…」


と黄色歓声が鳴り響く。


 ロランが昨年からエアロビを広め、さらに特許権をフリーにしたことで多くの者達が『エアロビ教室』を始めたため、エアロビは王国内で急速に普及していった。


 加えて、エアロビの聖地となった王都ではエアロビ界のアイドルである"アレックスとベン"による指導を受けることが出来るとあって、一気に人気が爆発、競技人口は王国の人口の10%にあたる3万人に達していた。


 3人のイケメン少年達が、優しく自分達に『エアロビ』を指導してくれる。


 その効果は絶大であった。


 「…ロラン、今日もヴィクトリーナ達がなかなか返してくれないね…」


とアレックスがロランに話しかけてきた。


 ちなみに、この『ヴィクトリーナ』という言葉はアレックスが、男性は『ヴィクトリー』女性は『ヴィクトリーナ』と呼ぼうと考え、広めていった言葉である。


 ロランもアレックスの話に悪乗りする。


 「…ヴィークトリーナ達が悪いんじゃないよ…」

 「…彼女達の熱いビートがそうさせてしまうのだから…」


 レッスン後、ロランはヘスティア商会に帰ると、カティス・ブリアン商会のヨナス氏が『石鹸』『シャンプー』『シャンプー専用リンス』の好評販売の御礼に来ていた。


 ロランは、正装に着替え皆で夕食を済ますと、会議室でクレイグ氏、ヨナス氏と会議を始めた。


 「…この度は、ロラン殿のお陰で『石鹸』『シャンプー』『シャンプー専用リンス』が飛ぶように売れており、嬉しい悲鳴をあげております…」


 ロランは、にこやかにヨナス氏に返事をする。


 「…そうでしたが、それは良かったです…」


 するとヨナスは独占販売権を通常の販売契約に変更することを申し出てきた。


 「…ただ、これだけ売れてきますと、そろそろ商会連合の他の方々も販売したいと思っているはず…」


 「…そのため『石鹸』『シャンプー』『リンス』の独占販売契約を通常の販売契約に変更したいと伺った次第です…」


 「ヨナス会頭は、欲深くないのですね…」


とクレイグ氏が話に加わってくる。


 「…クレイグ会頭ほど善人ではないですが。この世界、一人勝ちは恨まれますからね…」


とヨナス会頭が話を続ける。


 「私も正直、毎日湯船やシャワーを使用する習慣が無く市場は小さいため、王族や貴族の方向けに販売し、トップダウンの指示で徐々にすそのを広げていくことを考えておりましたが、その必要も無くなりました…」


 「…さすがヨナス会頭ですね。私とは逆の発想で販売戦略を考えていたとは…」


とロランが話すと、クレイグとヨナスはロランの言葉が気になり、質問をする。


 「…ロラン君、それはどういうことなんだい…」


 「…毎日、湯船やシャワーを浴びる習慣がなくても、さすがに大量の汗をかけば体の汚れを落とし良い香りもつき、体もスッキリする『石鹸』『シャンプー』『シャンプー専用リンス』が欲しくなるじゃないですか…」


 「…でも王国には大量に汗をかく運動が存在していなかったため、エアロビを王国全土に普及させることで、『石鹸』『シャンプー』『シャンプー専用リンス』の市場を大きくしようと思いまして…」


とロランが話しを終えるとクレイグとヨナスは呆気に取られていた。


 『他力本願』ではなく『市場がなければ市場を作れば良い』と発想し、実現させたロランの商売に対する感覚と実行力に驚愕したからである。


 「…商品が売れるためなら、新たな運動も普及させます…」


とロランは続けて話すとヨナスは


 「…ロラン殿の敵には、絶対なりたくないですね…」


と発言しクレイグも頷くのだった。


 続けてヨナスは氷のように冷めきった瞳をしロランに忠告をした。


 「…儲けさせて頂いた御礼に一つ忠告させていただきます…」

 「…今の話は他の商会の会頭達には、すべきではないですな…」

 「…ロラン殿が清濁併せ持っている人物と分かると、これまで以上にロラン殿を警戒しますからな…」


 ロランはヨナスの忠告を聞き、自分が調子に乗ってしたことを反省する。


 「…ヨナス会頭の御言葉感謝いたします。少し調子に乗っていたようです。自分の心の奥底は誰にも見せてはいけないということですね…」


 「それが、この業界で長生きしていく秘訣ですよ…」


 その場で、ロランはヨナスと独占販売契約を破棄し通常の販売契約にて契約をし直した。


 3人は、ロランと販売契約を結べば、他の商会も『石鹸』『シャンプー』『シャンプー専用リンス』を販売できる状態となったことは後日、商会連合に属する商会に伝えることにするのだった。

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