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異世界転移の英雄譚 ~悩み多き英雄さま~  作者: 北山 歩
第1部 第2章 フォルテア王国 王都カント 編
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23話 王都でのスローライフ(2)~『石鹸・シャンプー・シャンプー専用リンス製造』編~

 ロランは商品開発を行う上でどうしても欲しい魔法がある。


 それは、付与魔法である。付与魔法は『風属性・水属性・火属性・土属性』の四つの属性魔法全て使用できる者のみ使用できる希少な魔法である。


 特性は、物に『動き』を刻印し魔力を供給し続けさえすれば、刻印した『動き』が継続し続ける便利な魔法であるため、モーターや一定温度の熱を発し続ける二クロム線の代替品製作に活用できるからである。


 ロランの場合、付与魔法を使用している光景を『理力眼』で見れさえすれば取得可能であるが、付与している『動作』しか使用できないこと、そもそも付与魔法を使用できる者がわずかであることから、結局のところ付与魔法が必要となる。


 魔法を使用できない者でも"クリスタルの腕輪(ブレスレット)"を入手し四つの属性魔法を身につければ使用可能となるため、ロランはどうしても"クリスタルの腕輪"を落札したいと考えていた。


 気を取り直し、ロランは「付与魔法を使用できなくても作成可能な商品の開発を行っていこう!」と考えを切り替え『石鹸』と『シャンプー』の開発を行い始める。


 石鹸の原料は、水酸化ナトリウムと精製水と油(オリーブ油・ヤシ油・椿油等)を使用することは元の世界の書籍で知っていたが『水酸化ナトリウム』の作成方法が分からず、ロランは悩みだす。


 先ずは、鍛冶工房に行きドラム缶を作成し底に釘を使用し小さな穴を開けていく。また、ドラム缶の直径より大きい漏斗も作成する。


 次に、ロランは海産物を取り扱うシレーネ商会のデビット・エックハルト会頭に手紙で送付し、大量の海藻を購入する。


 同時に、クレイグ氏からは石灰とオリーブオイル、薔薇のエッセンシャルオイルを大量に購入する。


 ロランは作業工程の中と作成した原料が危険なことを知っていたので、手袋とマスク、ゴーゴルを着用し、作業に取り掛かる。


 購入した大量の海藻を燃やして灰にし、その灰をドラム缶に移し、灰の上から大量の水を掛け染み出てくる灰汁を漏斗の下に設置したガラス容器に、2日間掛けて貯めていく。


 灰汁の水の部分だけを丁寧に鍋に移し、粉状になるまで加熱する。沸騰させている時に出る蒸気は、危険なのでロランは吸い込まないようにする。


 石灰も粉状になるまで粉砕し、粉状になった石灰に水を入れ放置し消石灰を作成する。


 容器に、灰汁を煮詰めた粉と消石灰を入れ、精製水の代替品として炭で濾過した水を入れ粘りが出るまで混ぜ、粘りがでてきたらさらにオリーブオイルを加え、香り付けに薔薇のエッセンシャルオイルを適量入れ、木型に流し込み1日冷却させ『石鹸』を作成した。


 シャンプーは作成した『石鹸』をおろし器を使用して削っていき、容器に『石鹸』を削ったものとお湯を少しずつ入れ、泡が立ってきたら容器に入れ『シャンプー』とした。


 また、髪がごわごわにならないよう、この『シャンプー』専用リンスとして、レモンの果汁を水で『シャンプー』が中和する濃度まで薄め、香り付けに少量の薔薇のエッセンシャルオイルを入れ『リンス』として完成させた。


 その後、ロランは『石鹸』『シャンプー』『シャンプー専用リンス』を特許申請し特許取得に成功する。


 また、『「プラス・マイナス」のドライバー、六角レンチ、レンチ等の工具』と『おろし器』『ガラス製コップとその金型』をワーグと連名で特許申請しこれらの製品も特許取得に成功した。


 ワーグは、ロランに


 「商品の試作品を鍛冶工房で製作したり、わしが試作品を製作・精度向上のアイデアを出したからといって、いつもわしの名を発明者として加えなくてもいいなじゃぞ。」


 「それは、ダメです…」


 「そうかの。わしが連名となって特許を取得した商品の全てが、お前のアイデアなんだから、それにライセンス料もこれまでの商品のもので、もう十分じゃぞ。」


 「それでは、私だけが得をすることになります…」


 「そうかの…」


 『石鹸』『シャンプー』『シャンプー専用リンス』の特許取得後、あまりにも原料費がかかるため、安価にオリーブオイルとレモンを入手する方法を商会連合の商会に相談する一方、薔薇のエッセンシャルの代わりに安価な蜂蜜を使用することとした。


 ロランの予想通り、多くの商会は「毎日湯船につかる。もしくはシャワーを浴びる習慣のない、この世界で『石鹸』『シャンプー』『シャンプー専用リンス』は人気がないだろう」と考え販売を見送ったが、カティス・ブリアン商会のヨナス・キンケル会頭だけは、ロランに全面的に協力した。


 結果は、爆発的な人気商品となりヨナス氏は笑いが止まらない状態となり、各商会は延々と後悔することとなる。


 ロランは早く付与魔法を使用できるようになり、『ドライヤー』『湯船用の湯沸かし器』『コンロ』『扇風機』の開発を行いたいと思うと共に、次が『紙』特にトイレットペーパーの開発だなと考えていた。

次回は・・・『24話 王都でのスローライフ(3)~『紙製造・エアロビ』編~』です。

ロラン、紙の製造を行うとともに、なぜか『エアロビ』を広めていきます。お楽しみください。

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