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異世界転移の英雄譚 ~悩み多き英雄さま~  作者: 北山 歩
第1部 第2章 フォルテア王国 王都カント 編
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19話 初デート

※当作品の登場人物名称(対象はフルネームの完全一致および酷似した名称)、貨幣の名称と特徴、特有の魔法名称と特徴、理力眼といった特有の能力スキルにおける名称と特徴、国家・大陸名称、魔力導線の構造及び魔石と魔力導線を使用した発明品・兵器の構造等の内容ならびにテキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

 ロランはいつもより念入りに髪の毛を整えると新調した"真っ白なシャツとタイトなスボン"に着替える。


 さらに磨きに磨きあげた茶色の革靴を履き、護身用に漆黒の刀を帯刀すると1階へと降りていく。


クレイグは初デートの為に"おめかした"ロランを見ると娘を独占される口惜しさが急に湧き出しロランを揶揄う(からかう)発言をする。


「…ロラン君、今日は随分()()()()しているね……」


 ロランは緊張のあまり余裕をなくしクレイグが揶揄った(からかった)発言をしたと思わずに真面目な面持ちで返事をする。


「…クレイグさん、何か変でしたら直ぐに直して来ます…」


クレイグはロランの真面目な面持ちに揶揄ってしまった事を申し訳なく思い反省るする。


「…ロラン君、からかって申し訳ない…とても素敵だよ。今日は娘を宜しくお願いするね…」


「…はい、任せてください……それでソフィアは……」


「…なんでもデートの直前まで洋服を秘密にしたいみたいでね…先に朝食は済ませているよ…」


「…そうゆう訳で今日は我々だけの朝食だけど宜しいかな…」


 ロランはデートの事で頭が一杯であり、クレイグとの朝食を淡々と済ませる。


 朝食中、ロランはクレイグに"どこに連れていくべきか"アドバイスを求めるのだが、それは男としてのルール違反だよと窘められる(たしなめられる)


 いざ、デートの時間となりソフィアが奥の部屋から出てきた。


 淡いローズ色のワンピースにピンクのストラップパンプス、胸には女の子らしいシルバーのアクセサリーを付け、青いリボンのついたつばが広い真っ白な帽子をかぶった姿がそこにあった。


「…どうロラン君…似合ってるかな…」


「…ソフィア、すごく似合っているよ…まるで天使みたいだ…」


 ロランの言葉を聞いたソフィアは顔を赤らめ下を向く。


 クレイグが()()()()している事に気づいたロランはソフィアを連れ足早に街に繰り出す。


 「ソフィア……少しだけ冒険者ギルドによっていいかな……」

 「一週間のデート期間中はギルドへ行かない事を伝えておきたいんだ……」


 ソフィアは顔を赤らめ頷く。


 『…傍から(はたから)見ればお子様のデートにしか見えないんだろうけど…こんなに楽しいとは…』


とロランは終始笑顔となる。


 20分ほど歩くと冒険者ギルドに到着する。


 ロランは、サブリナの窓口の列に並び、自分の順番となった時サブリナの神経を高ぶらせる不用意な発言をしてしまった。


 「…サブリナさん、これから一週間デートのため冒険者ギルドへ来れないことを報告に来ました…」

 「…それとクラウディアに一週間パーティを休むと伝えていただきたいのですが宜しいでしょうか…」


 血管が波打つ音がした。

 

「…ビキッ…」


 サブリナは窓口に備え付けられた机の下でペンを折り怒りを抑制するとロランに返事をした。


 「…えっええ、大丈夫ですよ。クラウディアには私から伝えておきます…」

 「…デートにしても正装しすぎでは…」


 サブリナからただならぬ威圧感を感じたロランは感謝の言葉を述べるとソフィアを連れそそくさとギルドを後にした。


 デートの行き先が思いつかなかったロランは鍛冶工房にソフィアを連れていこうと考えたが、念のためソフィアに行きたい場所の確認をする。

 

 「…ソフィア、行きたいところはある…」


 「…特には、ロラン君にお任せします…」


 ソフィアは本当はカフェに行きロランと話をしたかったのだ。


 だが、ロランはソフィアの言葉を真に受け鍛冶工房へと向かった。


 2週間前にエスペランサの街からワーグが自分を追って王都に引っ越し鍛冶工房を開いたと聞いていたからであった。


 鍛冶工房に着くとロランはドアノッカーを叩き、大声で親方を呼ぶ。


「…親方…ロランですよ…」


 扉が開くとそこにワーグの姿があった。


 実に5ヶ月ぶりであり、ロランとワーグは再開を喜び合った。


「…おおっ、ロランじゃないか…ところでそのお嬢ちゃんは誰なんだ…」


「…はじめまして、ソフィア・コンラートと申します。ロラン君の恋人です…」


ソフィアの押しの強い挨拶に面食らったワーグはロランに話を振り戻した。


「…随分、元気のいいお嬢さんだな…ロラン…」


 ロランは右手を額に当て項垂れる。


「…ところで、ロラン何のようだ…」


「…ソフィアに似合うペンダントを作ってもらいたいなと思って…」

「…それと今ヘスティア商会で販売している商品を大量生産したいので親方に協力してもらいたい思って……」


「うむ、分かった……じゃがペンダントはわしが作るよりロランが作った方がいいと思うがの……」


「…これから色々なところを回りたいので時間がないです……」

「…では大量生産の打ち合わせは来週の光3日(水曜日)に行いたいので時間を開けておいてくださいね…」


ロランは一方的にワーグに要望を伝えるとソフィアを連れ鍛冶工房を後にした。


 これといったプランもなく大通りを歩いているとオシャレなカフェがあったのでカフェで休む事にした。


 ロランはソフィアと軽い食事を摂りながら会話を弾ませた。


「…僕はソフィアの事何も知らなかったんだね……」


とロランは呟くとソフィアは意外な返事をしてきた。


「…デートは一週間もあります。少しずつお互いを知っていきましょう…」


 一瞬だがロランはソフィアが大人の女性に見え"ドキッ"とする。


 たわいのない日常の話や将来の夢、趣味について話し込み、ゆっくりとした時間が流れていく。


『…ソフィアはこんな笑顔も見せるんだ…女性は色んな顔を持っているんだな…』


とロランは思うのであった。


 その後は、市場で果物や魚を見て回ったり、ロラン行きつけの宿屋で肉料理に舌鼓をうったりしながらデートを満喫する。


 夕方の6時にはヘスティア商会に戻りデート初日が終わるとロランは気が抜けたのかベッドで横になり、そのまま眠りについてしまった。


 夕食の時間になっても1階に降りてこないロランを心配したクレイグは2階のロランの部屋に行くと"笑顔で眠るロラン"を見てそのまま寝かす事にした。


 緩やかな時の流れとは対照的に何者かが声を上げていた。


 ≪…人生において幸せの量と不幸せの量は必ずバランスをとるものだ…》


 ロランは夢の中で絶世といえる魔人の美女がロランを助ける為、雷魔法最上級の【ケラウノス】を発動させる姿を見てしまう。


 その瞬間『理力眼』の能力により、魔族の中でも最上級の強者(つわもの)や神格化したドラゴンしか使用することができない雷魔法最上級の『ケラウノス』を取得した。


 同時にロランは『魔族の寵愛を受けし者』という称号をも手に入れるのだった。

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