1話 目覚めよう
木の葉の擦れる音と鳥のさえずりが奏でる自然の音色、そして腹部からの痛みで少年は目を覚ました。
「うっ、ぐう……!」
ここは一体どこなのか、自分は何故ここにいるのか、自分はいったいーーそう考える前に、
「あいだだだ……!! 何これメッチャ痛い!!」
少年は腹部の激痛でのたうち回る。
体の内側がなにかでグチャグチャにかき回されているかのようだ。お腹をトラックに轢かれたらこんな痛みになるだろうか。
「あぐあっ……!! ふぅぅ!」
うつ伏せにうずくまり、荒い息を整えるように深呼吸を繰り返す。
それを何分も続けていると、痛みは少しずつ収まってくれた。
随分と長いこと意識がなかったのかとても気だるい。面倒臭がる身体に鞭を打って起こさせる。
状況を把握する前に、少年はまず服の上から腹部の安否を確かめた。
「腹痛じゃないよね、うん……」
手で触れて、お腹に穴が空いてないことだけを確認してホッと息をついた。
だが、服をたくし上げて見ると腹部には、横腹まで横一線に走る裂傷を詰め物で埋めてしまったかのような不気味な痕だけが大きく残っていた。
こりゃ酷いや。
ちょっとした病院でも痕なんて残さないのになぁ。このご時世にこんな粗末な民間療法を僕で試した失礼な人はどこにいるんだろう。
そう思っていると別の違和感が腹部に上がってきた。それは胃袋からであった。
要するにお腹が減ったのだ。
今度は腹痛ではないものだとわかって少年は少しだけ安心する。
「とりあえず、何かお腹に入れないとね……」
そこでようやく、少年は自分の置かされている状況に目を通し始める。
日は落ち、辺りは木々がこんもりと生い茂り見たこともない植物や葉がどこを見渡しても目に入った。
鬱蒼としている暗闇の森。その中で少年は地べたに座り込んでいた。
――自然が多い場所だなぁ。
最初に浮かんだ感想がこれだったことが少し可笑しくて、少年はふふっと笑みを溢した。
そしてそのまま顔中から猛烈に嫌な汗がドッと吹き出る。
――自然が多すぎる。
そうだ、自然が多すぎるのだ。この事実が少年にとってこの状況が只事ではないということを漸く理解させた。
何故なら、少年が暮らしていたところに、国に、惑星に本当の自然など殆ど残って無いのだから。
「えっ、これやばくない? ……僕どこに――あっ」
ここはどこなのか、何故ここにいるのか。わからない。
いや、その前の根本から少年は最も大事なことを確認し忘れていた。
「僕は……誰だっけ?」
なろうデビューをすると宣う友人が恥ずかしがっていつまでも投稿を渋るので、自分で先に書いて投稿して発破掛けちゃろう、と言うノリで書き始めました。小説を書くのは初めてです。
稚拙な作品ですが感想や評価ポイントを頂けると嬉しいです。