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星の栞 -慟哭するひとつの導‐  作者: 白石さくら
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     ◇     ◇     ◇



 ―――お前は、男と同じ。

 ―――娘とは呼ばない。息子と呼ぶから、お前は男として生きなさい。

 両親はいつもそうだった。自分が女だったから、嘆くことより男として生きさせる。けれど、血族を残さねばならないから、見合いだけは持ってくる。

 何が大事かって、この血が途絶えぬことが大事だと。

 自分の意思はまったく無い。けれど、それでもよかった。必要と、されていたから。


 ―――なんで……っ!?

 ―――お前が病にかかるなど、あってはならないことだっ!


 強く言ってくる。

 だってしょうがないじゃん。病気は病気だよ。自分には、どうにもできなかったことだよ。それで、なんで自分が責められるの?

 そんなに……そんなに、大事?


 ―――あぁ…っ、せっかく決まりかけていたのに…っ

 ―――お前が………、だから……、相手は無理だといってきたじゃないか!


 だから、しょうがないでしょう。わたしには、どうしようもなかったんだよ。


 ―――どうしてあなたが病になってるのっ


 だから知らないってば。しょうがないじゃん。カミサマが選んだんだよ、きっと。

 わたしは好きでこの病気になったんじゃないよ。この歳で、この病って…、早く命が消えればいいのにね。


 そうしたら、あなたたちの汚いことば、聞かなくていいのにね。


 そうしたら、あなたたちを嘆かせることは無いのにね。


 そうしたら、あなたたちを見ることも無いのにね。


 そうしたら、あの人のあんなに悲しむ顔を見ることもないのにね。



 そうしたら、わたしはこんなに苦しまなくても、すむのに。ねえ―――?



     ◇     ◇     ◇




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