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―――お前は、男と同じ。
―――娘とは呼ばない。息子と呼ぶから、お前は男として生きなさい。
両親はいつもそうだった。自分が女だったから、嘆くことより男として生きさせる。けれど、血族を残さねばならないから、見合いだけは持ってくる。
何が大事かって、この血が途絶えぬことが大事だと。
自分の意思はまったく無い。けれど、それでもよかった。必要と、されていたから。
―――なんで……っ!?
―――お前が病にかかるなど、あってはならないことだっ!
強く言ってくる。
だってしょうがないじゃん。病気は病気だよ。自分には、どうにもできなかったことだよ。それで、なんで自分が責められるの?
そんなに……そんなに、大事?
―――あぁ…っ、せっかく決まりかけていたのに…っ
―――お前が………、だから……、相手は無理だといってきたじゃないか!
だから、しょうがないでしょう。わたしには、どうしようもなかったんだよ。
―――どうしてあなたが病になってるのっ
だから知らないってば。しょうがないじゃん。カミサマが選んだんだよ、きっと。
わたしは好きでこの病気になったんじゃないよ。この歳で、この病って…、早く命が消えればいいのにね。
そうしたら、あなたたちの汚いことば、聞かなくていいのにね。
そうしたら、あなたたちを嘆かせることは無いのにね。
そうしたら、あなたたちを見ることも無いのにね。
そうしたら、あの人のあんなに悲しむ顔を見ることもないのにね。
そうしたら、わたしはこんなに苦しまなくても、すむのに。ねえ―――?
◇ ◇ ◇