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たとえ我が願いで世界が滅びようとも  作者: pu-
第七章 宝探しが始まる時、参加者は知らず集う
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エピローグ 主役不在の物語

 自分には逐一、ランゲルハンス島での情報が入ってくる。 

 聞く限り〔天命の石版(トゥプシマティ)〕の現出という真偽不明の事象を端とし、現在島の中央部にて月星隷シンナバグハクが召喚され、見境なく破壊の限りを尽くしている。

 島の混沌はますます激化し、もはや誰もが入島の理由など思い出す暇もない。


(我らの予想を遥かに逸脱しているが……)


 胸中で予測と現実の差異をすり合わせつつ、金髪翠眼の男――真星皇ジアスユエ・ザナハフューザ=エレルはただ、玉座にてランゲルハンス島で起こる事の成り行きを聞き続ける。


(これは誰の筋書きか?)


 ジアスユエが指す『これ』とは何も、ランゲルハンス島で今起こっていることだけではない。

 もっと大局的なもの。

 それこそ世界の命運そもののだ。

 ジアスユエは耳を傾けつつ、思考で過去と未来を繋ぎ合せていく。


(果たして、誰が筆を握っているか……)


 それは『天使』か。

 はたまた『魔法使い』か。

 それとも、別の超常たる何者かか……


(それらの内のどれかなら、まだ救いはある)


 思惑を持っての筋書きなら、その考えを見破り、反撃ができる可能性がある。かもしれない、という希望を持てる。


(だが、誰の話でもなければ……)


 誰かのストーリーの上で進んでいると思い込み、その流れに身を任せ続けているのだとしたら……

 残念ながら、自分は筆を奪える立場にはいない。

 そして、自分を中心に世界が回っているわけでもない。

 このアルトリエ大陸の真実を知っている以上。

『星約者』である以上。


(問題なのは、我々が何を知らないのかを知っているか、だ)


 自分達はこのアルトリエ大陸に住む一般人よりも、遥かに真実に近い場所に立っている。だがそれでも、真実に辿り着く道筋は未だに見えていない。

 真実に何があるのか。意味があるのか。それらすら明瞭ではない。

 だからこそ、その経過で起こる些末なことを知らなければいけない。


「……だからこそ、お前は島に行くなということだ」


 ジアスユエは目の前で跪き、頭を垂れ続ける男に声をかける。

 服従の態度にも関わらず、男からは全てを屈服させかねない威圧がある。それは四〇を超えてもなお衰えることのない。むしろ、齢を重ねるごとに増しているとさえ感じる。

【千星騎士団】の最高騎士位――大星将に就くこの男に、ジアスユエは釘を刺すように続ける。

 いや自制か。ジアスユエ自身の。


「お前が行けば全ての予測が破綻する。お前を中心に。誰よりも何よりも、世界を変え得る資格(・・)を持つ存在なのだからな――」


 一息吸い、その一言が答えだと言わんばかりに告げる。 


「――そうだろ? 〝ウルストラ(・・・・・)〟」

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