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アヤメちゃんの短編日記  作者: 深光
始まる為のエンディングノートの話
4/11

満ちない

第98部、九十六頁魂に刻まれた記憶のネタバレあり

 何かが足りない、何かが足りない。

 何が足りないのか分かってるのに、分からない。

 隣に誰かが必要なのは分かってる、誰が必要なのか分からない。

 その隣の誰かの隣に、紫色のアイツが居たのは分かってる。

 でもその間に誰かが居たのに、誰が居ないのか分からない。

 紫色のアイツはぼくは嫌いだ。

 どうして嫌いになってしまったかなんて思い出せないけど、最初は好きだったのは分かってる。

 その誰かについて、喧嘩になってしまった様な気がするけど記憶には無いから違うかもしれない。

 アイツもその誰かがすごく好きで、ぼくもその誰かがすごく好きで、その誰かの所為で喧嘩してしまったような気がする。

 ぼくがその誰かの為に何かをしようとしたけど、アイツが反対したから喧嘩になった様な気がする。

 でも本当かどうかなんて確かめられない、記憶にないから。

 ぼくの隣に居た誰かが居ない、それだけなのにそれがすごく大きい。

 ぼくにとっても、アイツにとっても、みんなにとっても必要なのに居ない。

 でもなんだかそれが凄く良いような気もする、居ないのは良くないのにすっごくそれが良い事なんだって思う。

 ぼくは、それがすごく寂しい。

 赤いムカつくアイツとかなんか違う気持ち悪い神様とか、緑色の変態とか黄色い牛が人間のチビを聖女だって言うけどぼくは違うと思う。

 あの人間のチビはただの馬鹿だと思う、どうしようもない馬鹿なんだと思う。

 見てるとソワソワして落ち着かない、あのチビは違う。

 あれは聖女なんかじゃなくて、もっともっと……違う何かだと思う。

 生き物は嫌い、あれは人間だったからもっと嫌いな筈なのに嫌いじゃない。

 そのちぐはぐが気持ち悪い、動かなくなれば良いのにって思った。

 でも実際に動かなくなると、心臓なんて無いけど心臓が止まったみたいな感じ。

 死んでも違う、でも動いてても違う。

 どうすれば良いのか分かんない。

 そのチビに死ねば良いとか、動かない方が良かったなんて言ったけど死んだら嫌だなって思った。

 ぼくの大嫌いな人間なのに、ちゃんと寿命まで生きてからいっぱい友達と家族に囲まれて死ねばいいのになって思った。

 凶器を突き付けたり、脅したりするとチビはちゃんと死にたくないとか死ぬのはイヤだって言うから、ぼくは安心する。

 もし死んでも良いとか、その方が良いとかそんな事を言ったら本当に殺そうと思うけど、嫌だって言うから殺さない。

 殺しちゃったらぼくの家に連れてって剥製にして飾ろうと思う、角とか着けたら良い感じになると思う。

 ぼくと同じ感じの尻尾を着けるとちぐはぐしなくなると思う。

 そしたらもう寂しくなくなると思うんだ、でもぼくはきっとそれはしないと思う。

 寂しくなくなっても悲しくなると思うから、それは出来ないと思う。

 ぼくは分かってたのに、本気で止めなかったのが悪いから。

 精霊は死なないって傲慢に決めつけて、何もしなかったから。

 神様にお願いしてまで寿命を貰うなんて思わなかったから、ぼくは何もしなかった。

 結局ちゃんと最後まで生きられないで、人間に殺されちゃった。

 予見と月の精霊って名前貰ってたのに、ぼくは傲慢にも先見しなかったからそんな事になっちゃったんだ。

 だからぼくの隣の誰かは居なくなっちゃったんだ。

 いつの記憶か分からないけど、それはきちんと覚えてる。

 ぼくは孤独だ、その誰かが居ないとぼくは孤独だ。

 ぼくの全てはその誰かだったから、その誰かが居ないとぼくには何もない。

 アイツだって同じなのに、アイツはぼくよりも物分りが良いからその誰かが居なくても世界に適応できる。

 ぼくは物分りが良くない、頭では納得しても心で納得できない。

 たぶん青くて弱いアイツもそうなんだと思う、ぼくと同じなんだと思う。

 でもアイツもちょっとだけ物分りが良いから、あのチビを受け入れてる。

 ぼくだけが、納得できてない。


「ぼくはいま一人なのに、どうして来てくれないの……やっぱりぼくを捨てたの」

「それは……ちがうよぉ、……だってぇルニャにはボクが居るでしょ?」

「何泣いてんのさー、泣くなよー。彩萌ちゃんならすぐに来てくれるよ!」

「……なんでお前ら居るの、それにぼくは彩萌ちゃんなんてどうでも良いから」


 気付けば紫色のアイツと緑の変態が居てムカつく。

 ぼくはあのチビじゃ嫌なんだ、戻って来てほしい。

 誰かが孤島を見てる、その中にあのチビが居るのが分かった。

 戻って来てほしいんだ、本当は一緒に夜空を見ていてほしいんだ。

 あのチビのいる方向を見ると、赤色っぽいなんかアンデッドと一緒でムカつく。

 赤い色は嫌いなんだ、あの不甲斐無いムカつく赤いやつを思い出すから。


「人間も魔物も赤いのも……命に限りがある生き物なんて大嫌いだ」


 本当の姿に戻って近付く、昔はもっと小さかったのに今は大きい。

 相変わらず、小さくて黒くて……そわそわする。

 早く納得できたら良いなって、ちょっとだけ思った。





 ――予見と月の精霊ルーナ

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