フレアマリーさんの火
彩萌が今手にしているのは、リイムの木の板と良い感じの固さの棒ですよ。
そんでもってしーちゃんの毛です、完璧ですよ。
……これで、本当に火がつくのかな?
これでぐるんぐるんするんです、なんかテレビでやってた。
でもしーちゃんの毛で平気かな?
そもそも、彩萌の体力で出来るのかが問題ですよね!
結果から言えば、ダメでした。手が痛くなっただけだった。
なんかざんがいを見てると、むなしい。
せっかくテスさんにお風呂とか鍋とか作ってもらったのに何も出来ないねー。
土鍋ですよ~、あったかい物食べたいじゃないですかー。
「おい、何してんだよ、そろそろチビは寝る時間じゃねぇ? 兄貴に文句言われんぞ」
「フレアマリーさん……彩萌はあったかいお風呂に入りたいんです、そしてあったかいものが食べたいんです」
「なんだそれ」と彩萌の発言を聞いて、フレアマリーさんは不思議そうな表情です。
フレアマリーさんは横暴だし、口も悪いし、自己中だけどとっても良いお姉さんしてます。
彩萌の面倒とか、むーちゃんの面倒を見てたりするんですよ!
メガネと三つ編みが良く似合う美人さんだと思います、ディーテさんに似てるけど。
「こんな木の板と棒で何ができんだよ?」
「あのねー、火をつけようと思ったんですけどー彩萌の体力じゃ無理でした」
「火ぃ? こんなもんで火が出来んのかよ? へぇ、現実世界って面倒な事してんだな」
あのね、うん。現実世界でも今はこんな方法で火はつけないと思うよ。
フレアマリーさんは、何故か木の板をばっきんばっきん折りながらふーんとか、へーとか言ってた。
「火ってどんな感じなんだよ?」
「えっ? 火はー……、フレアマリーさんみたいな色で、熱くて触れなくて、水に濡れると消えちゃう?」
「ほうほう……、ってーとこんな感じだろ?」
フレアマリーさんは、彩萌の話を聞いて人差し指を立てたんですよ。
その指の先から、ぼって火が出たんです。
すごいです! 本当に指の先から火が出てます!
「フレアマリーさんすごーい! どこのふぁんたじーの火の精霊なんですか!?」
「ここの幻想世界の太陽の精霊だろ」
ふーって息を吹きかけながら、ゆらゆら揺れる火をフレアマリーさんはながめています。
彩萌はさっそく板とかに火をつけてもらって、お風呂のお湯をわかし始めます。
それをじーっと見ながら、フレアマリーさんはにっこり、彩萌に笑ったんです。
「俺ちょっと火が出来た記念に聖火でもやってくるわ」
「……? はい、行ってらっしゃい?」
彩萌がお風呂を楽しんでいるころフレアマリーさんはというと、とある大陸を焼き払っていたそうです、フレアマリーさん……貴女と言う人は……。
その焼き払われた大陸は、時間をへて砂漠化し今はユヴェリア王子やフレンジアさんの故郷のヴァージハルト国が出来たとか。
焼き払ってよかったのかよくなかったのか、分からない感じですね。
後日、爽やかな笑顔を浮かべていたフレアマリーさんの顔が印象的でした。
放火は犯罪ですよ、皆さんも気を付けてくださいね。
――フレアマリー・バーミリオンの聖火のお話




