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フェリーディビアの憂鬱 1
---時間は少しさかのぼり。
飛世がはじめて鳥として目覚め、茫然と空を眺めていた頃。
遠い異国の地、石を削って創られた厳かな場所で。
同じようにしんと静まり返った者たちがいた。
中央の陣を囲む4人の老人と。
水鏡をのぞく一人の青年。
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「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……」
「………来ないの」
「………来ぬな」
「………現れんではないか」
「……どういうことじゃ!?」
「失敗したんじゃないんですか」
「もう一度試みてみるかの」
「しかし、水鏡にも姿が見えぬぞ」
「なに?いなくなったと申すか」
「どういうことじゃ!?」
「失敗したんじゃないんですか」
「おぬし、そればっかりじゃの」
「まあ致し方あるまい」
「しかし、どうするべきか」
「……ええい、ぬしらノホホンとしてるでない!!若造っさがせ!!」
――――― 一刻も早く、娘を探し出すのじゃ!!