幕間 あるぅ日、森の中
魔法の試し打ちを終えたエミリオ。
「いやぁ、魔物って、脆いんだね。
今度は5発同時打ちも試したい。
んー、アレなら当たりさえすれば、ディでもヤれる」
「お嬢様、まだコントロールが定まらないので?」
「うん、逆に一回当たっちゃえば、コツが掴めるかもねぇ。
ただ、威力がある分、どこ行くか分かんないのが怖いんだよねぇ」
「完全な不意打ちですよね、アレ。
どっから来るか分かんないのが、逆に兵士の訓練に使えそうですけどね?」
「いやぁ、ディが訓練とはいえ、人を傷つけるの嫌がりそうだよなぁ」
「落ち込む気がするっす。そんなにどこ行くかわからない自分の魔法?って。
んで、殲滅完了っす」
エミリオとサンショウの会話に割り込むワサビ。
「早かったね、ご苦労さま。
よし、まぁ、いいや、ディを早く迎えに行こう。
さて軍隊長さん、案内よろしく」
馬上から見回し、軍隊長を見つけるとエミリオに対は言うが、
「説明を、説明をお願いします。
我々も少年1人に負けたと、プライドがズタボロです…」
膝をつく軍隊長とその部下達。
「おおぅ、ゴメン?
でもディがどうなってるかも心配だから、話ながら行くから、サンショウ、まずは進めて!」
と馬を動かすように言うエミリオ。
「まず、彼はシラヌイ様。
今は僕の部下のフリしてくれてるけど、センバ辺境伯様の甥っ子さん。
普通の人間が勝てるワケないから、落ち込まないで?
ちなみに、ディにつけた馬車の御者役をしてくれたのが、センバ辺境伯様の妹君で、シラヌイ様の母上。
センバの直系だもの。ムリムリムリ」
「センバ……。
そんなすごい方達がエミリオ様に味方してくれてるので?
我々は用済みですか……?」
「なに言ってくれちゃってるの。
センバがこの地を乗っ取るみたいなことするわけないじゃん。
ディがね、認めたくないけど、ディがね、シラヌイ様の婚約者候補なの。「婚約者…」
シラヌイ様?候補です、こ・う・ほ!!
で、センバは身内を大事にするでしょう。だから手助けしてくれてるの。
で、僕としては、エアグラフ家を元の系譜に戻したいわけ。
軍隊長さんでしょ?
元々のエアグラフ家の人間。
だから、アレを排除して、軍隊長さんにエアグラフ家に入って欲しいの。
取り潰しとかしちゃうとさ、無駄に王家の横槍とか、横槍とか、横槍とか入りそうだから、アレは父親と同じ不幸な討伐の事故に合いました、親戚から軍隊長が養子に来ました、ってことにしたいんだよねぇ。
どう?
あぁ、ただ、問題が、生後5ヶ月の子供が居るって?
その子をどうするかだよなぁ。
あのクズの子供じゃなく、軍隊長さんの子供に家を継承してもらいたい」
「…情報量が、情報量が多すぎます」
頭を抱えながらも歩き続ける軍隊長の横で
「あのぉ、俺ら、その話、聞いても良かったんで?」
ガクブルしている部下達。
「ああ、君達は軍隊長さんが信用している部下達なんでしょう?
誰にも言わないよ、ね?」
目が笑ってない笑顔でニッコリ脅すエミリオ。
高速で首を縦に振る部下達。
「大丈夫、大丈夫。僕達を裏切らないかぎりは、ねぇ?」
…後に、森に熊よりも、魔物よりも怖いラスボスが降臨したと噂が出るのだった。




