憧れのセリフNo.1(あくまで個人の見解です)
伯爵様の先導で馬車を10分位走らせ連れてこられたのが、この粗末な小屋だった。
「こちらで迎えが来るまでお待ち下さい。
さぁお前達、戻れ!」
伯爵様は、馬車についてきてくれた兵士達を労ることなく言い放った。
馬に乗っていたのは伯爵様と他3人のみ。
そう、馬車を囲んでいた兵士さん達、馬に乗っていなかったのだ。
走ってついてきたのである。
膝をついてゼーハー言っている人達に、また戻れと。
ものすごい形相で伯爵様を見ている兵士の皆さん。
そんな中、イチミが口火を切った。
「ハァハァ、こ、こちらの警備はどのように?」
「そんなもの、私とこの3名で行うに決まってるであろう!」
伯爵様は、自分と馬に乗っている人間を指して言い切った。
「このような粗末な小屋に貴人をお連れして、警備は3名のみなどあり得ません!
そのために我々歩兵を連れて来たのではないのですか?!」
ウンウンとうなずいている歩兵の皆さん。
でも、イチミ、大丈夫?
「ただの一般兵が我々に口答えするというのか!!
キサマ、クビだ!いや、今、切って捨ててやる!ここへ来い!!」
おおぅ、クビって言うかとは思ったけど、伯爵様、沸点低すぎない?!
イチミ、逃げて!!
「ふざけるな!殺す、って言われて、ハイそうですか、なんて切られてやるもんか!
こんな所、こっちから辞めてやる!
オマエラも切られる前に逃げた方がいいぞ!
この伯爵、おかししすぎるだろ?!
軍隊長なら良かったのに!!
馬車に乗ってるお方!子供だったよな?!逃げて!!御者!逃げろ!!」
うわぁぁぁあーー、そう最後に叫んで、一目散に逃げるイチミ。
それに釣られて逃げ始める歩兵の皆さん。
迫真の演技でしたわ。
しかも、言いたいこと全部言い切りましたわ。
きっと歩兵の皆さんが戻ったら、とんでもない噂となることでしょう。
そして、兵士を追わない騎乗の皆さん。
なるほど?目的はやっぱり私ですのね?
「あのような下賤の者の言うことなど放っておかれませ。
さぁ、お嬢様、我々の言うことに従って下さい」
「私達が移動すればお兄様への援軍が出ると言われました。
それに従い、ここまで来ましたわ。
なのに、歩兵の皆へ援軍要請せずに帰しましたわ。
あの歩兵が叫んだ言葉の方が、よっぽどスジが通っていましたわ。
ですのに、これ以上、何を従えと?」
フンと鼻で笑ってやりましたわ。
馬車の小窓から伯爵様の顔を見てますが、いやー、欲にまみれた顔って、一目で分かるもんですのね。
そんな自分の顔に全く気づかない伯爵様。勝手な要求を繰り返します。
「まずは、馬車から降りて下さい。
そして、大人しくそこの小屋で待ってて欲しいのですよ。
もうすぐ迎えが来ますからな。
ええ、大人しくしていれば、こちらも何もしません。
しかしまぁ大人しく従ってくれないのなら、ねぇ?手が出るのもやむを得ませんよね?」
先生も目がつり上がってましてよ。
セリ、殺気が尋常じゃないですわ。
それよりも何よりも、ヒサギ様。小窓から見える横顔が、狂気の笑みです。
そんなヒサギ様に全く気づかない伯爵様。
「さ、我々の手を煩わせずに、出てきて下さい。
出てこないのなら、まぁ、この御者が最初の犠牲者になりますかね」
「1つ聞きますわ。迎えとは?どこに連れて行く気なのです?」
「ハハハ、まぁ、これから自分がどうなるか、気になりますか。
大丈夫ですよ、まぁ最初は?怖いかも知れませんが、慣れればイイコトになりますよ。
子供が好きな方が貴女を可愛がってくれます。ええ、隅々までね」
自分達が優位なのを疑っていないので、ペラペラしゃべりますね。
その〝迎え〞とやらも捕まえたいんですよね。
もうちょっと時間が必要かしら?
「私に、その〝迎え〞とやらが来るというのは分かりましたが、何処に連れて行かれるか、と聞いています」
「さぁ?綺麗なお嬢様は需要が沢山ありますから?大丈夫ですよ、お金持ちの所に行きますから」
フフフと含み笑いする伯爵。もう、様とかつけなくて良いですわよね?
ってか、コイツ、人身売買してますの?
「おお、迎えが来たようです。さぁ、大人しく馬車から降りてこちらに来てください」
ニヤニヤ嗤う伯爵。
フッ
フフッ
フォッフォッフォッ!!よもや、このセリフを言う日が来ようとは!!
「さぁ!!
ヒサギさん!セリさん!懲らしめておやりなさい!!」
「「ハッ!!!」」バタン!!
ちゃーんちゃんちゃん、ちゃちゃちゃちゃちゃちゃ、ちゃーんちゃーんちゃーん♪
あれ?このテーマ曲は白馬に乗った暴れるサンバの人?
「…お嬢様、馬車で仁王立ちは如何なものかと?」
だって先生、セリが勢い良くドアを閉めるんですもの。
悪党共へ、一段上から「カッカッカ!」って高笑いしたかったのに!!




