本当の愛情とは
「あ、すみません夫人、クソ親父のことから全部ご迷惑おかけして。
…で、どこから聞いておられたので?」
「悪かったなぁ、可愛げの無い子供で!の辺りからかしら?
もう、すっごく、可愛かったわよ?」
ウフフ、と笑った夫人に対し、お兄様の耳は赤くなった。
「あのお馬鹿さんには、オハナシをして、書類にサインさせたわ。
大丈夫よ、納得してくれたから。
ごめんなさいね、貴方達に先に話しておかなくて。
それがこの書類」
そう言って夫人が見せてくれた書類の中身は
1 エミリオ、ユーディリア両名にセンバ辺境伯が後見人としてつくこと
2 エミリオ、ユーディリア両名が15歳になった時、センバ辺境伯が後見人としてどちらかが仮爵位を継ぎ、18歳で本爵位を継ぐこと
3 エミリオ、ユーディリア両名が15歳になるまでは、この契約を締結した時点と同等の暮らしを保障すること
4 エミリオ、ユーディリア両名が15歳になる前に現侯爵になにかあった場合、中継侯爵となり、両名が15歳となった時点で爵位を譲ること
5 エミリオ、ユーディリアどちらかが仮爵位を継いだ後は、この契約を締結した時点と同等の暮らしを保障すること
6 この契約を締結した時点で庶子として認知しているナターリエの教育をしっかり施すこと
7 この契約を締結した以降に庶子が生まれても、エアトル・センバの両家と一切関係ないこと
「生活は今と同等であって、それ以上ではないわ。
つまり、何かを言ってきた所で、予算をこれ以上増やす必要はないわ。
アレは、わかってないかもしれないけど。
そして、アレは次期侯爵じゃないわ、〝中継ぎになるかもしれない侯爵〞ってことね。
これは、今回の顛末を王妃にも伝えるから、社交界にもすぐ広まるんじゃないかしら。
多分、これから社交界で総スカンを食うわよ。
そして、エミリオくんとユーディリアちゃん。
今回のお茶会での最後の挨拶、立派に出来ていたから、10年後、貴方達がエアトル家を継ぐなら大丈夫と印象付け出来たんじゃないかしら。
で、センバが後見に着いたのだから、堂々と護衛なり、人材なりを派遣するわよ!!
もし貴方達が死んだら、この契約が無くなって、アレが継ぐ事になるもの。
だから、エミリオくんだけじゃなくて、ユーディリアちゃんとの両名にしたわ。
一応、女性も爵位を継げるし。
エミリオくんが継ぐ、にしてエミリオくんに何かあった場合、
アレが継いでユーディリアちゃんが放り出される、なんてことならないようにね。
ほんっとうに、本当の本音は、貴方達を養子にしたかったんだけど!!
貴方達がエアトル家を継ごうとしてる努力を無駄にしたくなかったんですもの」
それを聞いた私は、涙が止まらなかった。
ふとお兄様を見ると、お兄様も目が潤んでいた。
「まぁまぁまぁ!!いらっしゃい!抱き締めちゃうわ!!
来ないなら、こっちから行っちゃうわよ!!」
…私達は、夫人の胸に飛び込んだ。




