伯父様、怒る
商会へ、また決闘をすることになりそうだと報告しに行くと
ヒサギ様は「あんのクソガキャ!!」と怒りはじめましたが、
出来たら、王城、というか、殿下の宮に入りたい旨を相談。
今、ハジカミがイチミの元で修行中のはずで、
行けるならハジカミが、まだ無理なら、その決闘に誰が出るのか、あと、自称聖玉の剣さんも探って欲しい事を頼んでいると、
ドタドタと走る足音が聞こえて来ます。
お兄様、ヒサギ様と一緒に顔を見合わせていると
ばーーーーんと扉が開き
「緊急事態です!守護天使って、こういう時使うんですよね?!」
息をゼェハァ切らせて、アスビルの伯父様が駆け込んで来ました。
扉の陰からシュロスが顔を出しています。
…貴方、立ち聞きしてました?
「で?何ですか、守護天使って?」
冷たい水を従業員さんから受け取り、ごきゅごきゅと飲み干して「あ"ーーーー!」と息をついた伯父様にお兄様が尋ねます。
伯父様は、ヒサギ様を見ますが、ヒサギ様、口元がひくひくしてますわ?
「そんな事より!大変なんだ!!
君達も居るなら話が早い。後から報告するより一緒に聞いてくれ!!」
あからさまに話題を反らす伯父様。
「言うより、見せた方が早いか?
いや、説明させてくれ。
君たち双子が後継者から外されたと聞いて、契約について話し合いたい、と、ずっと面会を求めてたんだよ。
そっちの都合に合わせるから、って言ってたのは確かだけどさ、
そしたら今日いきなり来い、って言われたから、行ったわけだよ!
そしたら!」
「「「そしたら?」」」
「すまん、もう一杯水をくれ!怒らずに言える自信がない!落ち着きたい!」
そう言って、受け取った水を再度ごきゅごきゅ飲み干す伯父様。
「あ"ーーーー!!
良いか、落ち着いて聞いてくれ。
うん、俺が落ち着け。
すぅはぁ、よし。
あの現侯爵はこう言ったんだ。
〝借金は使ったヤツが払うべきだろう?
私が使っていないのに、何故払わねばならん?〞
って、は?ってなるだろう?
エアトル侯爵家とアスビル子爵家、家同士の契約なんだぞ?
〝双子が家を継げばなんの問題もなかったものを、破ったのはアンタじゃないか?!〞
って言ったら、
〝はぁ、分かってないのは貴様だろう?
私の父親とあの双子との契約なのだ、しかも、金を使ったのも父親と双子だ。私じゃない。
ならば、支払いもアイツらにさせるのが道理だろう?商人の癖にそんな事も分からんのか?〞
って、はぁぁぁぁぁあああああああ??!!ってなるだろう!!!
商売をしているからこそ、契約の意味を!契約書の重要性を!それこそ何十回と読み直し不備を確かめる、それ専属の人間まで用意している商人の契約を!!!
あんのクズは、商人の根底まで侮辱しやがった!!!」
ゼェハァと、伯父様は肩で息をしています。
ヒサギ様も、口をあんぐり開けています。
お兄様がため息混じりにつぶやきます。
「クソ親父は、クズ人間だったのに、もはや人間を止めたのか?」
「そのココロは?」
「心?それこそ、心もないだろう。
常識だけじゃなく、誰かの立場を考える事もないじゃないか。
自分の欲望に忠実、自分の優位性に固執、夜会に出たいとか承認欲求の塊、それを脅かしそうなものは排除するのに躊躇いもなく、手段も選ばず、その結果がどうなるかも考えない。
もはや人間じゃなくて魔物に近くない?「「「魔物……」」」
ねぇ、伯父様。それで、クソ親父は金は払わない、俺達の継承権も認めない、
すると、エアトルとアスビルの契約はどうなります?」
「そうなんだよ!!
いいか、よく聞いてくれ、今までは前座だ!!」
「え?これが前座?」
ヒサギ様もびっくりです。
「あんのヤロウ、
〝そんなに金、金って、疚しい下級貴族の商人はこれだから。
ならば、金の代わりのモノを渡してやろう。
そんなにあの双子が良いのならばくれてやる。
ちょうど見目も良いことだ。アレが使った金だ。アレで稼げば良かろう?〞
そう言って、これを渡してきたんですよ!
あのヤロウ!
自分の子を人身売買しやがった!!!
それを俺に持ちかけて来やがった!!」
そして、ダン!!と机を叩いた手には、1枚の書類がありました。
リア 人間ではなく、もはや魔物…
ヒサ 言い得て妙だわ…
ライ 魔物であれば討伐可能だが?
リオ ック、してしまいたいが、手を出すとこっちが悪くなるという理不尽!
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