反面教師
「あのぉ、決闘の日時の変更は不可能ですの?」
一応、お伺いしてみますわ。
「なんだ、妹の方、来週末では不都合だとでも?」
「不都合といいますか、今週末だと、助かるんですが?」
「準備をするから遅くしろ、ではなく、早くしろ、だと?!」
「ですわよね、お兄様?」
「あー、まぁ?今週末だと、確かに助かるわな」
「…何故だ?」
「センバの都合ってだけです。まぁ、別に来週末でも良いですよ。
というか、バストン様達のご都合は?
俺が勝ったら、殿下がまとわりつかなくなる。センバの後ろ楯がつきますけど、どうです?
家に持ち帰って、ご家族とご相談してみてください。
(殿下がまとわりつかなくなる、ってだけで、皆さんが殿下をかまうのは、アリです。
長年の情があるでしょ。これで反省したら良いんですけどね)」
お兄様がコソっと耳打ちします。
「エアトルくん…」
ヨーク様の目がちょっとウルウルしてますわ。
それを見た殿下、キッとお兄様を睨み付け
「オイ!私の側近に気安く話しかけないでもらおう!絶対に渡さんからな!!」
「クラスメイトにも話しかけんな、ってどういうことだよ…」
お兄様がため息混じりにつぶやきます。
「ディ、お昼ご飯食べに行こうか」
と言った時に
「エミリオ様!ユーディリアお嬢様!」
呼ばれたので振り返ると、廊下からものすごい数の生徒が教室を覗き込んでいます。
そんな生徒達の一番前にセリが居て呼んでいます。
「お昼はこちらにご用意しておりますので、どうぞ!」
「ありがとう、セリ、助かったわ」
そして、私達は教室を後にしました。
あーあ、これからどんな噂が立つんでしょう…
やって来たのはシュロスの花壇です。
既にミツバが居て、お弁当3つ用意してくれています。
「3つ?」
「エミリオ様、1つじゃ足りなくないです?私は学食に行って殿下達の動向を見てきますので。
セリここはお願いね」
セリは黙ってうなずきます。
「俺、2つも食わねぇよ。セリもご飯まだ?んじゃ、一緒に食おう」
セリは黙ってうなずき、お弁当を受け取ります。
「セリ、ハジカミって、まだ修行中?イチミからまだ合格貰えない?」
セリは黙って首をかしげます。
「ハジカミに王城探って貰おうかと思って?
殿下は、何であんなに自信あるの?今回は誰が出るの?まさか、殿下本人出ないでしょ?」
「では、2人に連絡します」
「ああ、頼んだ。
殿下、あんなに最初から悪意むき出しで、頑なだっけ?悪い方に向かってんなぁ。
あんなに周りに恵まれてるのに、なんで、無い物ねだりに拍車が掛けるかな?」
「恵まれすぎて、当たり前なんでしょうねぇ。
人間、一旦高水準に慣れると不便を忘れるものですから。
私も、チィちゃんやセンバの皆が居ない生活に戻れないです。
だから、感謝は忘れないようにしないと、ですわねぇ」
「…戻れないな。
殿下が反面教師になってるなぁ。センバに感謝を伝えないとね?」
お兄様と目で合図して、
「「ありがとう」」
とびきりの笑顔でセリに伝えてみましたわ。
不意打ちを食らったセリ、ボンっと顔が赤くなりました。
「「ふ、アハハハ」」
お兄様と2人で、笑いだしてしまいましたわ。
「不覚…」
セリのつぶやきもキチンと拾いましたわ。
「あ、セリ、今日の放課後、センバ商会に寄りたい。
ヒサギ様に今日の報告と、センバに帰るのを一週間ずらして貰いたいのを伝えないと。
あと、このイタズラ、ヒサギ様にもやってみたいね」
お兄様とクスクスと笑い合います。
そうですわ、これから2週間、憂鬱な日々になる前に、思いっきり笑っておきましょう。
リア チィちゃん、いつもありがとう!(にっこり)
チィ ぬふぉあッ?!
リオ おぉ!鼻血も失神も耐えたぞ!イチイ!成長したな!!(にっこり)
チィ ブッフォー…
リオ やっぱ、ダメだったか…
リア チィちゃん、白目は淑女としてダメですわ!目を閉じて倒れてくださいまし!!
リオ え?コントロール出来んの?
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