怒れるフロスティ
「私としたことが。まずはお掛けになって」
フーティ様に促されて席につきます。
サッと差し出される紅茶とお菓子。
「あとはかまわなくってよ。下がっていて」
一礼して退出するメイド。
んもう、一連の流れが美しいです。流石公爵家で働く皆さん。
「では早速だけど、昨日、私達の身に起こった事をお話するわ。
尋常な事態じゃないわ。心して聞いてちょうだい。
殿下から口止めされていないの。
結論として、聖玉の剣らしきものが見つかったわ」
「「は?」」「「らしきもの?」」
「ええ、ええ、そうなるわよね、私もそうなったわ。
でもね、そうとしか言いようがないのよ。
聖玉の剣だ、とその少年は言うのよ。でもね、確かにね、魔物は倒したわ。
でもね、なんって言ったら良いのかしら、気配がイヤなのよ」
「えっと、順を追って説明してください?」
お兄様が軌道修正します。
「そ、そうよね、ごめんなさい、あわててしまったわ。
まずは、おととい、殿下に同行しろと言われたでしょう?ヨーク達には来るな、って言ったアレ。
だから、家に帰ってからお父様にお願いして、家として拒否して貰おうと思ったの。
あやしすぎたんだもの。
お願いを聞いてくれたお父様が王城に行って帰ってきたら、難しい顔をして謝られてしまったの。
〝すまん、殿下に同行して、見極めを手伝って欲しい〞って。
なんでも、〝聖玉の剣〞だという物を持った少年を殿下が拾って来たって。
ほら、あの殿下が固有魔法を披露して、粉々にされて、学園を飛び出して行った時。
一瞬殿下が消えたって護衛が言うんですって。
でもまぁ、路地裏なんて、いろんな物が置いてあるでしょうから、子供がひょっとしゃがんだら見失いもすると思うわ。
で、とある商会の裏口で少年と話す殿下を見つけて、保護しようとしたら、こいつも連れていく、聖玉の剣を持ってるって言い張るんですって。
それが、本当なら一大事じゃない?
だから一緒に連れ帰って来たんですって。
私達が会えなかったのも、その少年とのことで揉めてたから、らしいわ。
で、次の日から、少年の言うことの検証のために殿下が一緒に、護衛を沢山引き連れて、魔物を探してたらしいわ。
その時点でオカシイと思いなさいよ、
魔物が出た報告が上がってから、少年に来て貰えばいいのに、
なぜわざわざ一緒に探すのよ。
そしてその間、殿下の客人として扱ってるのよ?
なんか殿下がすっごい懐いて、もてなせ、って、自分の一番の理解者だ、って。
この話を聞いた時、私達の今まではなんだったの?!ってむちゃくちゃ腹が立ったわ!!ふざけるな!!
こほん、失礼?
で、王都の城壁外で魔物を見つけて、護衛達の前で倒したんですって。
で、スゴイ、やっぱり本物だ!!って殿下が騒いで私達にも見せたい、ってなったんだけど、
その少年が私とイーリーなら良いけど、それ以外はいらないって言ったんですって。
もう、殿下は信者化してるから。
で、ちょうど良い具合に私達4人で殿下に会いに行っちゃったもんだから、ヨーク達に暴言を吐いて、
王子命令状態で、昨日、殿下に同行するためにイーリーと2人で朝早くから殿下の宮に上がったわ。
そこで紹介されたのが、〝自称聖玉の剣に選ばれし者・レンヤ〞
で、連れて行かれたのが、城壁の外の森。
魔物がいたわ。あんなに近くで見たのは初めてだったの。
殿下が婿に来ようと来なかろうと、私が女公爵になるのだから、って、お父様に連れられて、魔物を見た事があるの。
でも、安全を確保された上で、遠目にしてくれた、って事が今回のでわかったわ。
あんのクソガキ!!私達に馬車を降りて、身近で活躍を見ろ、って言うのよ!!
護衛もいるし、殿下もレンヤが全部倒してくれるから大丈夫、とか言ってさっさと降りて〝いいぞレンヤ、切り刻め!!〞とか物騒なこと叫んでるし!
立場が一番上の殿下が出てるのに、私達が出ないわけには行かないじゃない。
しかも、イーリーも本当にスゴイ実力なら間近で見たい、とか言うし。
仕方ないから馬車から降りたわよ。
そしたら、ええ、本当に魔物を倒しては、いるのよ?
でも、何か違うのよ。
イーリーが、〝聖玉の剣は触れただけで魔物を倒せるのか?〞っていうの。
それで、ああ、確かに、剣で止めをさすとかじゃないのね、と思って。
そしたら、イーリーが
〝その剣は、レンヤ殿以外は触れる事も出来ないのだろうか?私に一度扱わせてもらえないだろうか?〞
って、頼んでみたのよ。そしたら、
〝んー、ムリだと思うけど、やってみる?〞
って、言い方もムカついたわ。
それで、剣を持たせてもらおうとしたら、
ブワッと黒いモノがでたの!!私、確かに見たのよ!
魔物のホネの手がイーリーの手をつかんだの!
〝ああ、やっぱりダメだったね。拒否された。僕だけが使える剣なんだ!!〞
って嬉しそうに言うのよ、あのクソガキ!
そしてイーリーの手に傷がついたのよ。
魔物に付けられたみたいに浄化しないと治らない傷が!!」
フーテ あのレンヤとかいうガキ!ムカつくわ!!
ヨーク フーティ、落ち着こう、ね?
ギーニ フーティが淑女の仮面を脱ぎ捨てて怒るの、珍しいな。それくらい腹が立ったんだろうなぁ。
フーテ そうなのよ、ギーニー!さすが私の未来の旦那さま、分かってるわね!
ギーニ うん、これはしばらく好きなだけ言わないと収まらないね?うん、聞いてるよ、聞いてるからね!レンヤってのがムカつくんだね?
フーテ そうなのよ、それでね、あ、ギーニー以外はお帰りになる?あらそう。それでね、ギーニー!
フロスティはその後1時間しゃべり続けた。
***************
お読み頂きありがとうございます!
よかったら、星をポチっと評価やブックマーク、リアクションなどなど頂けると、小躍りしながら喜びます。




