ホネの懸念
「あの忠誠心は、危ういぞ」
村での会合を終えた馬車の中、ホネマントがひょこっと出てきて言います。
「今まで何もしてこなかったエアトル家で、エミリオが初めて自分達に目を向けてくれた。
だから大歓迎。
でも、忙しくて対応が遅れたら?
そこよりもっとひどい場所を優先させたら?
期待値が大きいだけ落胆も激しい。
何かあって、対応が後手に回った時、不満が爆発したら、あそこの村から瘴気がでるかもしれない。
なんか、そんな下地のある村だ。
シンとか言う兵士がいたろ?こまめに確認に帰した方がいい」
「うわー、来週から行く場所なんて、そんな所ばっかりじゃん…」
お兄様が頭を抱えていますわ。
「エミリオの口の上手さにかかってるな」
「僕、詐欺師は目指してないんだけどなぁ…」
「あの商人の元締めぐらいが丁度いいな」
「商魂たくましい感じで、自分達で切り開いていく気概を持って欲しいんだけど、それだけの余裕もないほど、疲弊してるのかなぁ。
アスビル商会からの金、ほんっとうに、何に使ったんだよ…」
「お屋敷に何か残ってるか、って言ったら、残ってないですよね?
本当に、何に使ったか、調べてみますか?」
イチミが問いかけます。
「調べたら、戻ってくるか?」
「…来ないでしょうね」
「じゃぁ、無駄だ。違うことに時間を使おう」
そういって、お兄様は、これからの視察のための下準備の方をイチミに頼んでいました。
そして、お兄様が長期視察に行く当日。
「お兄様、本当にお気をつけてくださいませね。
ちゃんと帰ってきてくださいませね?
イチミ、サンショウ、ワサビ、お兄様をくれぐれも、くれぐれもお願いしますね?
ホネマント、いざとなったら、お兄様を連れて森に戻ったら、ロアあたりが気づかないかしら?」
ねぇ?とロアに聞いてみました。
「ワン…」悲しそうに、首を横に振られましたわ。
流石にロアも、森の中までは把握出来ないわよねー。
「我々センバの能力をエミリオ様に全振りしてお守りしてみせます!
ユーディリア様、どうぞ、安心してお屋敷でお待ちください」
サンショウ、頼みましたよ!
「私も全力サポートしますんで、お任せください」
イチミ、お兄様の負担を減らしてくださいませね!
「エミリオ様が心乱れるのは、ユーディリア様の事だけっす。
ユーディリア様も、くれぐれもお屋敷で大人しくしてて欲しいっす」
…ワサビ、私は何もしてないですわ。
「こんなに長い時間、ディと離れてたことないからね、僕も不安だよ。
でも領主になるため、ディとの将来のために頑張ってくるからね。
イチイ、ディをよろしくね?
ディの安全はイチイにかかってる。
…修繕費用の増減はロアにかかってる!!」
「ハイ!!」「ワン!!」
「「返事は満点」なんですわ…」
お兄様と苦笑いです。
「まぁ、では、行ってきます!」
「いってらっしゃいませ!!」
チィちゃんと、馬車が小さくなるまでお見送りです。
ホネマントの懸念が払拭されますように。
…フラグになりませんように。




