プロローグ
「お人形の癖に口答えですって?!」
そんな怒鳴り声とともに、頭に衝撃が走り、体がフワっと浮いたのを感じた。
「あれ、私、死ぬんじゃね?」
そんな事を思った瞬間、体に衝撃が走り、意識を失った。
平々凡々な日々。
仕事に行って、残業して、たまにオタクな友人宅で大酒飲んで笑い合う。
そんなありきたりの毎日の中で、小さくても幸せを見つけていようと心掛けていた。
〝不満のタネを数えるよりも、美味しい物で笑って過ごす〞
これをモットーに、友人曰く「人生諦めてない?」なんて言われながらも、
食べる、飲むが楽しみの人生を送っていた。
そんなある日、友人が「死んだ、死ぬ、じぬ"ぅぅ~!!!」と、恐ろしく取り乱した電話なんてかけてくるもんだから、仕事を早退して、大急ぎで友人宅に向かった。
ピンポンを連打しても返事がないので、焦って、ドアノブに手をかけると、普通に開く。
名前を叫びながら部屋に入ると、
友人は焼酎片手に、机に突っ伏して、大号泣していた。
なんとか、なぐさめ、なだめ透かして理由を聞くと、
人生を捧げる程ハマっていた漫画の、最推しである当て馬悪役令息が物語上で死んだという。
あぁ、なるほどね、と思いつつ、
友人自体に何かあった訳では無いことに気が抜けて座り込むと、
壁に貼ってあったポスターが目に入った。
ああ、このキャラクターが……
目が覚めて、飛び起きようとしたら、体に激痛が走った。
心臓がバクバクしている。
今、見たのは夢?
ココはドコなの?
アタシは一体ダレ?
体が痛いのはナゼ?
ギモンばかりが浮かび上がって、余計に焦ってくる。
そうすると涙が出そうになるが、喉がカラカラなことに気づき、ひきつってくる。
ひっく、ひっくと、嗚咽交じりの声がでた。
するといきなり、バーン!!と扉が開いたので「ヒッ!」っと声にならない叫び声がもれると、ベットに何か小さな塊が体当たりしてきた。
「ディ、ディ、大丈夫?どこか痛い?あのくそババァ、ころ…」
「ぼっちゃま!!!お嬢様にご無理をさせてはいけません!!」
そんな声が聞こえたと思ったら、小さな塊はベリっとベットから剥がされて、後ろにいた男性にポイっと投げ渡された。
代わりに体格のいい女性が、自分の顔をのぞきこんでくる。
「お嬢様、お目覚めになられましたか。お加減はいかがでございますか?」
「あ……アン…?」
自分はこの女性を知っている…
「はい、はい、アンでございますよ、お嬢様。お嬢様がお目覚めになられて、アンは嬉しゅうございます。お医者様ももうすぐいらっしゃいますからね。何かご希望はございますか?」
「み……みず」
「ハッ!そうでございますね、お起きになることはできますか?
…では、今、吸い飲み口をご用意致しますからね、すぐでございますよ、お嬢様。
おぼっちゃま、お嬢様は、まだ、声も出ないご様子です。
お手をつなぐだけにいたしましょうね」
吸い飲み口を用意するためだろう。涙目になりながら、アンはそばを離れていった。
「うん、うん、ディ、ディ、良かった、良かった」
そう言って手が握られたので、そちらに顔を向けようとしたが、体の自由がきかない。
目だけ向けると、グレーの色の髪が見えた。
……グレーの色の髪?
……あれ、あのキャラクター……?
自分は再び意識を手放した。
なろうさんでは、はじめましてです。犬丸 大福と申します。
本日は20時にもう一話掲載します。
明日からは、朝8時と夜20時に一話づつ掲載します。
お楽しみ頂けたら幸いです。よろしくお願いします。




