森④
どうやらかなり高度な結界だ。
範囲内の空間を歪ませ結界内の距離を通常の何十倍も長くしている。
人間どもの仕業だろう。
わたしをここから出さないためか?
どこまでも小賢しい奴らだ。
その時、察知が異常を示した。
なんだこの反応は。
速い、と思った時にはもう背後を取られていた。
まずい、血のストックがもうない。
ダン、と鈍い音と共にパンチがわたしのほとんどの骨を破壊し、追撃の爪に体を引き裂かれる。
ようやく相手の姿を認識する。
それは、黄金の狼だった。
山とも思える大きな体を持ち、銀狼共を従えるそいつの赤い目はわたしを餌としか認識していなかった。
わたしは銀狼に見つかった時点でもうこいつらに目をつけられていたのか。
わたしはハッと気づく。
この森に貼ってある結界はわたしではなくこいつを閉じ込めるためだ。
こんなところでこんなにもあっけなくわたしは終わるのか。
最後にせめてこいつらにいっぱい喰わせて終わってやる。
力を振り絞り血弾を放つが、狼達には届かない。
ああ、いやだ、死にたくない、誰か...
なんだこの感情は。
わたしは生きたいとは思うが死にたくないと思うことはないはず。
なんなんだ...もう訳がわからん。
バリィンと大きな音がして森を覆っていた結界が割れる。
わたしは薄れていく意識の中で、ブォォという奇妙な音を聞いた。




