森③
おかしい。
ここ一週間ずっと歩き続けているけど、一向に森の終わりがない。
もしやこの森はとんでもなく広いのか?
そうだったらちまちま歩いていても埒があかない。
<探知>系の異能があればすぐに見つかると思うんだが。
持ってそうな魔物の目星はついてるんだけど、正直気が進まない。
探知が本当に必要になったら狩ろう、そうしよう。
ないと出れないってわけでもないしねー。
ん?ここの床なんかブヨブヨしてるような?
まさか、そんなわけないですよね?
わたしが回れ右して退散しようとした時、背後の土の中から4メートルはある巨大な虫が飛び出してきた。
わたしは間一髪でその攻撃を避ける
今さっき後にしようって言ったところだが?
スピナークラブ、地中から飛び出してきた巨大な幼虫は目のない顔でジロリとこちらを睨みつける。
目がないくせにこちらの場所は完璧に把握している。
やはり探知系の異能を持っていそうだ。
幸いこのあたりのトレントは狩り尽くしているから邪魔が入ってくることはない。
この幼虫は本来2メートルぐらいの虫で巣の周りに糸で罠を張って獲物を狩るのおとなしい虫なのだが、この森では異能があるからか目が見えないにも関わらずこちらの位置を把握して向こうから襲ってくる。
まじでビビるからやめて欲しい。
とにかくこうなったからにはやるしかない。
まずは体制を整えて、
わたしがそうするより先に幼虫が尻から糸を吐き出してくる。
あの糸に当たるとまずい!
<血盾>!
やむを得ず血盾で受ける。
最初の戦いと比べたらトレント狩りのおかげでだいぶ強度が上がった血盾だが、糸の前では無力。
たちまち幼虫に没収されてしまう。
技の強度や威力が上がった分だけ血のストックの消費も激しくなっていて、技は連続で三回ほどしか放てない。
さっきの血盾で最大を使ってしまったので技が使えるのはあと二回。
あと二回の技ででこの幼虫を倒してやる。
幼虫は次々と的確にこちらに糸を飛ばしてくる。
正直さけるのだけで精一杯で反撃の余裕なんてない。
だが相手の糸も無尽蔵ではないはず。
幼虫が隙をみせるまで攻撃を耐え続ける。
突然、幼虫が今までと比較にならないほど太い糸を発射する。
速い!
間一髪、血盾で糸を防ぐ。
あと一回。
今のでついに幼虫の糸がなくなったようだ。
なんとか耐え切った!
糸という攻撃手段を失った哀れな幼虫は、こちらに突進してくるが、わたしに届く速度ではない。
わたしは素早く背後をとり、幼虫目掛けて渾身の一撃を放つ。
<血弾>!
幼虫は体を捻ってかわそうとするも、血弾に貫かれる。
しばらくもがいていた幼虫だが、やがて力尽きた。
あっっぶねぇー!
あの一撃をかわされていたら本気でまずかった。
背後からの技に気づくとは、やはり探知系のスキルを持っていそうだ。
早速吸収しないと...ん?
すっかり忘れてたけどわたし今からこいつの血吸うの!?
虫だよ虫!
はぁ。
目を瞑ってガブっと行く。
味はまあトレントよりかマシかな。
異能が流れ込んでくるのを感じる。
これは...思った通り探知系の異能、<察知>だ。
探知ほどではないが、これでこの森の大体の大きさがわかるはずだ。
早速発動。
ん?
察知がおかしな物を検知した。
結界...だと?




