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3 ウチノイモウト
呆然としている俺の頭に、妹の声が響く。
「すごい! すごい!」
「何がすごいんだ?」
「お兄ちゃん!? いたの?」
「あぁ。とりあえず何か知っていることがあったら教えてほしいんだが。」
藁にもすがる気持ちとは正にこのこと。
すると、妹は全く緊迫感のない声で答えてきた。
「ここね、私のやっていたゲームの世界だよ。すごいよね~。」
「・・・はっ?」
ナンデスト?
「全くもう。すぐにわからないなんて・・・お兄ちゃん、ダメダメだね。」
知るかっ!
妹の頭に全力チョップを入れたくなった俺は、きっと悪くない。
「でね! 私、今、ヒロインの中にいるみたいなの。声が聞こえているってことは、きっとお兄ちゃんもなのね。
これって転生しちゃったってことなのかな?」
「転生?」
それって確か・・・他の世界に生まれ変わるやつじゃなかったか?
マジカヨ
「つまり、俺たち・・・死んじまったってことか?」
「う~ん。そうかも。困ったね。」
全然困ってなさそうな妹の声。
「・・・この世界で生きていくのも楽しそうかも!」
何、そのポジティブシンキング!?
ウチノイモウト、チョットオカシイ・・・