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体が地球。

作者: 牛さん

 一人ひとり違う種類に見えるが元は一つの受精卵からできあがってきたものであった。

みんな平穏に暮らしていたが、別の体と比較し今後のやり方について対立する。ステロイドを使えば体は急激に逞しくなるのだ。他の体と競うためにも臓器たちはステロイドを賛成する。脳だけはステロイドの副作用で体がボロボロになると反対した。臓器たちは他の体がステロイドでみるみる逞しくなっていくのを黙ってみていれなかった。脳が寝てる間に臓器たちは協力してステロイドを摂取する。たちまちムキムキになっていく体。脳はステロイドを摂取したことを悟り、その成長速度に驚かされていた。ステロイドの効果を実感した臓器たちは体に反動がきてもやめることはできなかった。体の末端から壊れていき、脳以外にもやめようと声をあげるが立場の高い臓器たちからは知るもんかと摂取し続ける。肉体は一時逞しくなり皆の羨望や称賛を得たがそれは長く続かなかった。臓器たちもひとつひとつ潰れていきとうとう脳だけが残った。脳は目先の短い幸福に囚われ、長い幸福を失った。いや、長い幸福を一気に味わっただけかもしれない。身体を犠牲に幸福を得ていたのだ。欲は力があるがその力は諸刃の剣である。本来は痛みを感じるから途中で理性が働き欲は止まるのだ。しかし、今回は末端の細胞から苦しみが始まり臓器たちは苦しまなかった。だから身を滅ぼした。少し考えれば自分の首がしまるだけだと気づくがそこまで考えがいたらない。臓器たちは想像力が欠如していた。脳以外は考えるという力がないのだ。脳は分かっていたが皆を理解させることはできなかった。臓器たちは今まで素直に脳の指示に従っていたが、ステロイド売りの商人たちにそそのかされたのだ。脳は気づく。自分もまた、身体の末端のようなものでステロイド売りが臓器という社会という脳を持った大きな身体の一部なのだと。

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