プットブル……
GWは、投稿できないかも……
私は、プットブル・オフ。
偉大なる帝国の貴族の末席にして、魔法師団候補生の一人だ。
と、言っても、下級貴族の三男で、継ぐ貴族席もなく、どこぞの貴族への養子縁組の宛もない。ゆくゆくは平民と一緒に魔法師団で一兵卒として働くしかない身。
そんな俺に降って湧いたバカンス旅行。上手く行けば、その後の生活も安泰な案件。友人のチクナルデルが他国に義弟を探しに行くから付いて来いと言うのだ。
国外に出る。
その言葉に、私は震えた。
先の見えた未来。退屈な日常。くだらない全ての事から飛び出る事ができるように感じたのだ。
私は、話に乗った。
総数二十三名での出立。
皆、私と同じような貴族の次男三男。
見送る者は、何と思っているのか……厄介払いか?
リーダーは、チクナルデル・エンファ。私の家とそんなに格が変わらないエンファ家。
分からないのは、宰相家の三男が付いてきていることだ。頭が良く、家を継げなくても養子の口はあるだろうに…………。
北方の小国を経てリュンシハ国に入った。
異民族はまだしも、亜人種達が大きな顔をして歩いている野蛮な国。
私達も、慣れない旅路で疲れていたのだろう。
地域の亜人種グループと揉めて、追われる事となってしまった。
仲間の一人は死亡。三人は捕らえられた。
私達は、森へと逃げた。
魔獣が跋扈している森。
でも、じっとしている訳にはいかない。追手が迫ってくる。
森での魔獣との戦いは、私達の良い経験になった。
一週間もしないうちに、おそらくは魔法師団の正規メンバーくらいの力は得たであろう。正に、実践に勝る物はない。
ただ、途中で一人の仲間を再び失う。残り十八人。
そして、オークの群れに遭遇してしまう。
調子に乗っていたのだろう、数の脅威と地の利に押された私達は逃げるを余儀なくされてしまう。
そこで、二人が殺され、二人と逸れる。残り十四人。
そこでの救い。
兎人達に助けられた。
私達は、兎人の協力でオークの群れを圧倒する。
地の利があり、魔力が十分で、魔法の詠唱するたっぷりの時間さえあれば、オークの群れ如き問題ではない。
しかし、私達は許せなかった。
兎人共の馴れ馴れしさ、私達の事を認めてやったぞ的な口振り。
殺した。
犯した。
殺した。
亜人種の兎人共を殺しまくった。
私達、帝国人と同様等と考える亜人種に生きる価値はない。
仲間の一人、宰相の三男が兎人の子供を捕まえていた。見てみると、全員角がある。大人達には無かった筈。
聞くと、何故か子供達は魔族だという。
この大人達の子ではないのか?
疑問がわくが、話を聞くべき大人達はもういない。
子供に聞いても、分からない。
呪われた子供達。
だが、魔族とすると、大量の魔力を持つと話を聞いている。
この子供達を帝都に連れて帰れば。
そして、ダンジョンの餌にすれば。
私達は英雄。
その時、一人の子供が逃げた。
仲間が追っていったが、その日は見つからなかった。
そして夜になる。
チクナルデルは、以前事故にあって片目の視力を失ったらしい。その上、闇を異常に怖がる。
チクナルデルの指示で家屋に火を放つ。
明るい夜。
そして、次の日も代わる代わるチームを組んで逃げた子供を探すが、見つからない。
その翌日には、燃やす物が無くなったということで、チクナルデルと宰相の三男、その他の四人が残っている子供を連れて、帝都へ向かった。
私と仲間の四人は、未だ子供を探しに行っている三人を待って、後を追い、合流する手筈だ。
仮眠を取りながら待っていると、広場の方から音がした。何かがぶつかるような音。
慌てて向かうと、見知らぬ男と二人の子供。一人の子供は兎系の魔族、もう一人はジャリムス。この旅の目標人物だ。
合わせて駆け寄ってきた仲間と魔法を撃つ。
三人は男に、私はジャリムスに向けて。
攻撃は躱されたが、男の武器を一つ破壊するのに成功。間髪入れず次段を撃つ。
ジャリムスが走り込み、プルーノの手首を落とす。
驚いている隙に、男に胸を切られ、逃げられてしまう。
プルーノの治療をし、私達は追う。
失敗した。
何故、雷撃を出してしまったのだろう。確かに怪我をさせた、しかし雷撃では傷口を焼いてしまうので血が出ない。血の跡を辿る事ができない。
仲間の一人が人が通った跡を見つける。
逃げた通りに枝が折れている。
暫く追っていると、プルーノが倒れた。
見ると、白目を剝いて、泡を噴いている。
そして、手首の切断面には黒々とした蟲。夥しい数の蟲。
百足に似た長い蟲が傷の中に潜り込んでいる。ウゴウゴとした畝りが上腕部まで伸びている。
痙攣を始めたプルーノに魔法で止めを刺す。
ジャリムス殺す!
心に誓う。
その後も、血の臭いに寄ってくる蟲を引き剥がしながら廃坑の入口へと到る。
音がする。
獣の声。
戦っている。
私達は廃坑内に踏み込むと、暗闇に向けて魔法を撃つ。呪文詠唱を合わせた、オークの群れを屠った魔法だ。
激しい雷撃の光の中、大斧を持った少年とバックパックを背負った少女の姿が見えた。
クソッ 違ったか!
でもいい、どうせ異民族だ。殺せばいい。
雷撃の影響で坑道が崩れる。
坑道と共に落下した私は、蒼く光る広間にいた。
目の前には、落石に潰されたカルノと、巨大な百足に毮られているブルノラ。
私は逃げた。
細道へと逃げて、背後に魔法を撃つ。
天井が崩れ、来た道を塞ぐ
カルノはまだ生きていた。
ブルノラも生きていた。
もういい、どうせ私も死ぬ。
ここからは、出られない。
胸元につけられた傷口には、無数の蟲が蠢いている。
もういい。
もういい。
もういい。
もういい!
もういい!!
奴を殺せるなら…………!
モチベーションが…………。
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