ジャクダウの過去
鉱山の麓でキャンプを張る事になった。
カリハは、火を起こし、一夜干ししたボア肉と木ノ実で晩飯を作っている。
料理を待つ間、僕はジャクダウと話しをしていた。
「なぁ、ジャクダウ。リャンシャンテを出てからマドゥさんを見てないね」
「ああ、護衛クエスト中だったさかいな。奴は、他人を巻き込むのを嫌うんや」
ジャクダウは、ちょっと言い難そうに言った。彼は、マドゥさんの話しをする時、いつも言い難そうにする。
「じゃあ、そろそろ来るかもね。周りに注意しておこうか?」
「いや、かまへんやろ。奴、この件には正々堂々やから」
「この件…………」
『この件』という、闘いの理由。
僕は、とてもデリケートな問題に感じて、言葉を止めた。
「…………俺な、小さな領地のボンボンやったんや…………」
ジャクダウは、語り始めた。
「少しくらいはカリハに聞いとるやろ?小さな小さな領でや、小さな炭鉱があるだけ。他にめぼしい産業も無うてな、大体は帝国と東方のもっと小さい国との中継で飯食っとるような領やった……。交通の要所。そんなところや。そない裕福ゆう訳やなかってんけど、貧しゅうもない、住みやすいところやった。でもな、そこがあかんかった。交通の要所いうんが。ある日、帝国に攻め入られてポシャッてもうた。外交やなんやなしで、一日で領はオジャンや」
「…………。」
「しゃあない。ろくな軍隊も持ってなかったしな。攻められるなんて、考えてへんかったから。でも、もしもや、大きい軍隊持ってたらやで、危険な国や言うて、もっと早う攻められとったかもしれん。だから、しゃあないねん。で、俺はゴーレムが欲しいんや。一騎当千の死なへん戦士。外から見たら、人おれへんし、軍隊持ってないように見えるやろ。それに、飯やら寝るとこやらの経費がかからん。最高や思わへんか、ゴーレムの軍団。それに、俺には『ゴーレムの核』があるしな!」
「…………ゴーレムの核…………。」
聞いた事がある。
鉱物からゴーレムを創り出すマジックアイテム。
ロストマジックとされる宝珠。古の魔法使いが作成したとされる品。
それ一つで城が買えるとも言われている。
何故そんな物を持っているんだ?
「でもな、生み出す最初のゴーレムや、最高の素材で創りたいやないか。そんで鉱石を探しとる」
僕の呟きに気付きもしないで、ジャクダウは言葉を続ける。
「確かに領はもう無い。家族やなんやは皆、殺された。クラフダンジョンの餌にされたんちゃうかな?ジャム、お前がされかけたように……。でも、領の人間は、散り散りになっても、何処かで生きてる。絶対に生きてる。俺は、皆を集めて、もう一度、領を起こしたい!」
「…………。」
ジャクダウの独白は、終わった。
僕は、何も言えなかった。ジャクダウの領を、家族を奪った帝国の出身であった事もある。
それ以上に、満足気に話しを終えたジャクダウに、『その話の中にマドゥさんが出なかったんですけど……』なんて言えない。
それまで調理をしていたカリハ。
「でも、ユンリゲン離れてから、もう二日やで、いつもやったら初日に出るやんか」
「何かあったんかいな?」
なんやかんやでもマドゥを心配するジャクダウ。
「諦めたとか?」
「「絶対ないわ!!!」」
僕の言葉に、揃って突っ込む二人。
僕は、マドゥさんとジャクダウの関係知らないんだから、そんなに強く突っ込まないでよ…………。
マドゥさん、早く来て。
◇◇◇◇
「ジャクダウ様、森の向こうの所、火が見えるんやけど?」
カリハが遠くを指差して言った。
日が沈んだのと逆側の木々が赤く仄めいているのが見える。
「集落でキャンプファイアでもしとるんかな?」
カリハの可愛い発想を、ジャクダウが打ち消す。
「違う。この森の中、集落があるいうても、大概が隠れ里や、あないに目立つ事する訳あらへん」
「山火事か?」
その言葉を聞いた途端、ジャクダウが風を見る。
「アカン、風下や。どれだけ距離があるか分からんけど、火が来るかもしれん。ココ離れるで」
僕らは、キャンプを仕舞い、風下から逃げるように山へと、廃坑へと急いだ。
コロナで会社に行けないから
目一杯打つぞ〜って思ってたのに……
いつもとテンポが違うと打てないもんですね(泣)
まあ、子供もコロナですからね。
遊んじゃいます。




