ザフスはビックリ
俺の名は、ザフス。
元B級冒険者で、今は冒険者ギルドで指導員をしている。
今は、呼び出された訓練施設で、今日の新人を待っているところだ。
やってきた!
女の子?
かなり可愛い感じの女の子だ。
こんな子、子供に欲しいな~って、感じ。
男の子ばかり三人の我が家にいてくれたら、癒やされるだろな〜って、思ったら、つい口から出てしまった。
「あくまでも戦闘能力を測るものだ、無理に俺に勝つ必要はないから安心してくれ。って、お嬢ちゃん、冒険者登録は十二才以上だぞ」
アンナが駆け寄ってきて、説明してくれる。
全魔法属性持ちの魔力値六千オーバー。でも、有効使用率が限りなく低く、魔法威力は期待できない。それで、十五の男。
男?
あの容姿で?
十五?
どう見ても、十二行くか行かないかの女の子だろう。
怒っているのか、恥ずかしいのか、俺の言葉に真っ赤になってるのも可愛い。
って、俺はノーマルだ。ほら、その、親目線。親目線での可愛いだから。
クスクスとギャラリーから笑い声が聞こえる。皆、最大限我慢しているみたいだが、ほら、可哀想に縮こまってしまったじゃないか。
んっ、何、あの一群の髭軍団。
どこかで見覚えあるような…………ラチェア?
ヘンリスにバーント、ジャクダウ、カリハまで何してんだ。あの髭は何?
流石に分からんかったぜ。俺だから気付けたようなものの、他の奴らは気付いていないか。
イカンイカン、仕事に集中しなければ。
剣を手に、開始を宣言する。
「まあ、なんだ、すまんかったな。そろそろ始めようか、お嬢ちゃん」
ヤベッ!また、お嬢ちゃんって言ってしまったよ。
ゴメンよ。
少年が構えをとる。
逆手に持ったダガーナイフ。腰を落として、左手で地面を触る。
中々に様になっている。
地面を触ったのは、自分の姿勢を低いものに保持する為か?
ウン、良い。小さな身体がより小さく、狙い難くなっている。前後の動きより、左右のステップを重視するスタンスだろうな。
少年の左手に光が見える。
魔法陣か?
魔力値六千オーバーの魔法を見せてもらおうか──って、オイ!あの魔法陣動いてないか?
音もなく魔法陣が迫ってくる。
シュンって擬音が似合いそうだが、勢い的にはグオオオオォって感じ。
ヤベッ!ヤバイって、何この攻撃?
魔法陣って飛ぶの?
間一髪、躱したところで、魔法陣は消え、少年から次の魔法陣が撃ち出されている。
は?
速すぎね〜か?
何発撃つんだよ。
か、躱すことしかできない。
でも、なんで魔法陣を飛ばす?
飛ばすなら魔法だろ。
躱しながら、壁際まで、少年から距離をとる。
魔法陣の攻撃は、同時に二つ出すことができないらしく、動きは直線的だ。その上、光ってるから、距離あれば躱すのは難しくない。
本来、魔法陣に物理的特性はない。でも、何故かヤバイ気がするんだよなぁ。
と、その時であった。
ザフスが躱した魔法陣が、壁にぶつかった。
ドオン!!!
激しい音がして、壁が崩れた。
へっ?
一瞬、息を呑む。それまで飛ぶ魔法陣という非常識にザワついていたギャラリーの声も消えていた。
「何なんだよ、コレは〜〜〜!」
つい、大声をあげてしまった
少年は、応える。
「魔法陣アタック」
ドヤ顔だ。
とんでもなく可愛いドヤ顔だ。
はっきり言って、名前を聞いてもさっぱり分からないが、ネーミングセンスは最高だ。
「行きます」
少年は、再度魔法陣を放つ。
大きい。
今迄の魔法陣とは違い、人を包み込む程の巨大な魔法陣。
ちょ、ちょっとコレ、なしだろ〜。
巨大な魔法陣が迫る。救いは遅い事。
大きい分だろうか、先程までの魔法陣とは比べ物にならないくらい遅い。でも、威圧感は十倍以上。
ゆっくりと動く魔法陣を躱すと、ダッシュ。
遠距離の腕前は、わかった。
「接近戦ではどうかな?」
一歩に力を込めて、上段から少年を狙う。
パリパリッ
へっ?トラップ?
足元に魔法陣。地面に大きな魔法陣が描かれていた。それが今、強烈な雷気を帯びて、俺の身体を襲っている。
少年の右手は、ダガーナイフを地面に突き立て、地面の魔法陣に魔力を送っている。
やられた!
俺は、雷気に動きを制限された身体で、少年の頭部に木剣を振り下ろすが、力の入ってない振り下ろしは、ダガーナイフに簡単に弾かれ、崩れた体勢のまま地面に転げた。
少年は、すぐさま左手から魔法陣を出し、俺の顔の前で止める。
「降参。合格だ。少年」
【昊ノ燈です】
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