ジャムの訓練と虚弱変態
『貿易都市リャンシャンテ』への道程、僕はひたすら訓練をしていた。
なんの訓練かって?
僕が一人で生きていけるようにする為の訓練。
今の僕みたいな身寄りのない子供が一人で生きていくには、どこかの工房なり農園での下働きか、冒険者しかない。
下働きは、奴隷同然な扱いを受けることも多いらしいので、冒険者一択。正直、ラチェアたちを見て、冒険者に憧れたというのもあるんだけど……。
幸いにも、小柄とはいえ十五になっているので、冒険者登録の年齢制限にはかかからない。(登録は十二からできるらしい)
それでも、冒険者稼業は、ハイリスクハイリターンな世界で、それなりの知識、戦闘能力がないと、一年を待たずに死んじゃうか、やっていけない事になってしまうらしく、ラチェア一行は、短期集中講座(実践型)で鍛えてくれてる最中。
「自分の力と相手の力をちゃんと把握しろ!」
「索敵の重要さが分からんのか!」
「地形を考えて動け!」
「自分が変態と気付くんや!」
「とどめを刺すまで気を抜くな!」
「相手が一匹と思うな!」
「お前は変態や!」
「空間を俯瞰でみろ!」
「相手の武器とのリーチ差を考えろ!」
「パーティーの場合は、常に仲間の動きにも気をつけろ!」
「変態!」
「怪我をしない位置取り!」
「休み時でも、すぐに動けるように!」
「変態。変態!変態!」
「飯時だからって、敵には関係ない!」
「眠れる時には寝ろ──起きろ〜!」
「常に足裏で接近を感じろ!」
「耳で肌で空気の動きを感じろ!」
ってなもんで、一日中。
なんか変な罵倒もあったけど…………。
唯一の休憩は、何故か一日一回行われる、ジャクダウと『客』であるマドゥの対決の時。
何故か、ラチェアたちは加勢することもなく、ただ闘いを見守っている。
マドゥが何者で、何故戦っているのかは、まだ教えてもらっていない。
人には、色々ある──みたいです。
で、今は、カリハ師匠のポーター講義。
「あんな、ポーターは、荷物持つだけや思てるやろ──」
つまりは、所持アイテムの把握や準備、獣の解体、魔石の取り出しもポーターの仕事。
当然、ポーターがいないパーティーでは、全員でしなければならない。
で、魔石なんだけど、大体は心臓付近にあるけど、絶対に有るというもんでもないらしく、胸を掻っ捌いても無駄いう事が多いらしい。実際、自分が倒したコボルト、ゴブリンからは、魔石が取れたのは三割程度。
また、野生動物、獣からは取れない。
魔獣からは、八割以上の高確率で取れた。
魔石は、どうも真珠貝の真珠みたいな感じ?
体内の魔素が体内で結晶化した物みたいな?
「なんでもええけど、魔石は金になるんや」
結果は。そこらしい。
ちなみに、カリハのバックパックは魔道具で、中身の重さが二割程度まで軽くなる。
しかし、担がせてもらったが、動けなかった。
まぁ、僕が虚弱気味(あくまで気味です)というのもあるけど、それ以上に中に入っているものが問題だ。
それは、鉱石。
ジャクダウとカリハは、マテリアルをハントしていて、その為、各地で見つけたマテリアルの鉱石がカリハの背丈以上のバックパックに詰め込まれており、たとえニ割の重さになったとしても、重い。
ただ、カリハのバックパックを持ち上げようと、悪戦苦闘していると、
「虚弱変態」
って、新しい呼称が増えてしまった。
カリハしか使わない呼称なんだけど…………。
そろそろ、リャンシャンテが見えてくる。
【昊ノ燈です】
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