ガラハ大橋の検問所
リュンシハ国の国境でもあるガラハ大河を渡るには、二つの方法がある。街道の大橋を渡る方法と船で渡る方法だ
船は乗船料が高額なので、一般的には大橋が使われる。それに便も少ない。
今回の僕達も大橋ルートとなる。
「僕、身分証がないんですけど……」
僕には身分を証明する物がない。もしあったとしても、エンファ家のジャリムスは既に死んでいる事になっていると思うし、これからはその名前を使う気もない。僕は『ジャム』なんだ。
申し訳なさそうに言った僕に、ラチェアは優しげな目で告げた。
「Sランク冒険者の力を信じな」
Sランク?確か冒険者にはランクがあって、上からA、B、C、D、E、F、Gで、登録しただけのノービスってなるはず。Sって、Aの上?そんなランクがあるの?
疑問に答えてくれたのはヘンリス。
Sランクというのは、Aランク冒険者の中で特別に国から選任された者だそうで、各国家と関係ない独自のネットワークで運営する冒険者ギルドの中でも特殊なランクらしい。
「それでな、一国に選任された者がSランク、ニ国に選任された者がSSランク、三国以上の選任でSSSランクじゃ。SSSランクは過去においても伝説の勇者だけじゃろうのう。儂はAじゃ」
「俺もAランク。S・A・Aの三人でパーティーレベルA。パーティーでは、最高ランクだな。ちなみに、ジャクダウは、Dランク。カリハはFランクだ」
言葉を継いだバーントが、ジャクダウとカリハを指しながら言った。
「笑ってんやないで、ウチはポーターやからな。ポーターで一ランクでも上げるのは大変なんやで」
「いや、笑ってなんか……」
「ジャクダウさま〜。ノービスにもなってへん『へっぽこ変態』がウチを阿呆扱いする〜」
「こらカリハ、イジメたんなや」
特に何も言ってない僕を悪者にしたカリハは、新しい呼称を残しながら、お前のせいで怒られたとばかりに恨めしそうな顔を向けている。
◇◇◇◇◇
「なにポカーンと口開けてんねん。阿呆の子が?」
「いや、だってカリハ、ここ、橋の上──」
大橋の上には、多くの屋台が建ち並び、行商人達が所狭しと荷を開いている。
祭り?
まるで祭りのような雰囲気。
「ええ匂いやろ。でもな、ここで買い食いする奴はモグリや。中で食ったら、倍は食えるで」
「倍は言い過ぎだが、確かに少し高いな。元々、入国の検閲待ちの人を相手に儲けようって連中が、始めた市だからな」
「バーント様、少しやないです。ウチの知っている店やったら、倍食べれます」
「ハッハッハ。カリハの行く店はスゴイからな」
「バーント様は、お金の大事さを分かってへんから。なっ!」
なっ!って、急にこっちに振るなよ。
そんな事を思いながら、とりあえず笑顔を返す。
◇◇◇
大橋の先には検問所があったが、顔パスだった。
【昊ノ燈です】
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